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鮮明な夢


 奇跡(きせき)は今日(きょう)も夢(ゆめ)を見(み)ていた。目(め)の前(まえ)は酷(ひど)く赤(あか)かった。

 奇跡(きせき)は夢(ゆめ)の中(なか)で両親(りょうしん)を探(さが)した。だが、何処(どこ)を探(さが)しても見(み)つからない。大勢(おおぜい)の人々(ひとびと)が倒(たお)れて山積(やまづ)みにされている。奇跡(きせき)はその中(なか)で両親(りょうしん)を探(さが)していた。

 奇跡(きせき)がようやく見(み)つけた時(とき)には両親(りょうしん)は既(すで)に力尽(ちからつ)きていた。奇跡(きせき)はどうにかして起(お)こそうとするが、二人(ふたり)は目覚(めざ)めない。奇跡(きせき)は二人(ふたり)を置(お)いて先(さき)を急(いそ)いだ。

 人々(ひとびと)を襲(おそ)ったのは、厄災(やくさい)としか言(い)いようがなかった。赤黒(あかぐろ)い空(そら)に何(なに)かが覆(おお)われている。それは人(ひと)のようにも見(み)えたが、それよりもおぞましい何(なに)かだった。



 それと戦(たたか)おうとしたところで奇跡(きせき)は目(め)を覚(さ)ました。外(そと)は明(あか)るかったが、奇跡(きせき)の心(こころ)は晴(は)れなかった。今日(きょう)も奇跡(きせき)は学校(がっこう)へ向(む)かう。生徒達(せいとたち)は普段通(ふだんどお)りだったが、これから先(さき)に厄災(やくさい)があると考(かんが)えると目(め)の前(まえ)の光景(こうけい)も虚構(きょこう)に見(み)えた。

 その中(なか)でも、なるべく奇跡(きせき)は普段通(ふだんどお)りに過(す)ごすようにした。誰(だれ)も奇跡(きせき)が戦(たたか)っている事(こと)を知(し)らない。だからこそ奇跡(きせき)は平常(へいじょう)を装(よそお)わなければならなかった。


 

 学校(がっこう)を終(お)えてから奇跡(きせき)は急(いそ)いで夢原(ゆめはら)神社(じんじゃ)へ向(む)かった。そして、夢(ゆめ)の世界(せかい)に入(はい)ると律花(りつか)に電話(でんわ)を掛(か)けた。今朝(けさ)の夢(ゆめ)を話(はな)すと律花(りつか)は驚(おどろ)いていた。

「それは本当(ほんとう)なの?」

「うん、近(ちか)いうちに厄災(やくさい)が起(お)こる。」

「そっか、奇跡(きせき)ちゃんの夢(ゆめ)は当(あ)たるもんね。」

「こっちとしては当(あ)たらない事(こと)を願(ねが)ってるんだけどね…」

奇跡(きせき)は電話(でんわ)を切(き)ると夢(ゆめ)の奥(おく)へと進(すす)んだ。



 …人(ひと)ならぬものに産(う)まれた者達(ものたち)には宿命(しゅくめい)がある。産(う)まれながらにして強(つよ)い力(ちから)を持(も)つ者(もの)は、その使(つか)い方(かた)を誤(あやま)ってはならない。奇跡(きせき)はそれを分(わ)かっていた。


 夢(ゆめ)の中(なか)にも怪(かい)が増(ふ)えている。他(ほか)の世界(せかい)の影響(えいきょう)だろうか。奇跡(きせき)はその怪(かい)へ向(む)かっていく。これから訪(おとず)れるであろう厄災(やくさい)に立(た)ち向(む)かう為(ため)に今(いま)出来(でき)る事(こと)をやらなければならないのだ。

「この世界(せかい)は誰(だれ)にも渡(わた)さない。私(わたし)が守(まも)るって決(き)めたから!」

奇跡(きせき)は大勢(おおぜい)の怪達(かいたち)に一人(ひとり)で向(む)かっていった。この様子(ようす)だと夢(ゆめ)の中(なか)に居(い)る人々(ひとびと)が苦(くる)しんでいるかもしれない。奇跡(きせき)は少(すこ)しでもそれが救(すく)われるようにと懸命(けんめい)に戦(たたか)っていた。


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