夢を繋ぐ
それから、奇跡は夢を見張り続けていた。夢の景色は日々変わり続ける。その中で奇跡は楔として夢と現世を繋ぎ留めている。
現世では人間として暮らしているが、奇跡の本質は神のものだ。何れ奇跡は現世での生活を捨て、人知れず夢を守るという責務を果たさなければならない。
だが、今は現世と夢を行き来しながら自分の役目を果たしている。今の奇跡が成長するにはそれが大切になると両親は言う。奇跡はそれを信じていた。
そんな奇跡の前に現れたのは、旅をしているはずの音羽だった。音羽は鎌を持って奇跡の方を向いていた。
「音羽君、どうしたの?」
「奇跡さん、こんにちは。」
音羽は何かを探しているらしく辺りを見回していた。だが、それは見つからないらしく、奇跡に話し掛けようとする。
その時、律花が二人の前に現れた。律花は音羽の姿を見て驚いている。
「律姉…。」
「音羽、まさかここで会えるなんて。」
律花は音羽に近づいた。二人は最近現実では話せないでいた。そこで律花は夢の中で話を聞く事にしたのだ。
音羽は二人にクォーツと居た頃のをした。封印された鎌を手に入れる為には、旅を続けなければならない。その道は始まったばかりで、しばらくは続くだろう。
「新しい鎌を探す為に旅をしてるの?」
「うん、これがあればもっと強くなれるんだって。」
「そっか、頑張ってね。」
「ありがとうございます。」
音羽は二人に礼を言った。
そして、音羽が現世へ戻ろうとした、その時だった。三人の前に怪が現れた。
「どうして急に怪が?」
「分からない。もしかしたら怪の夢を見ている人が居るかもしれない。」
奇跡は二人を下がらせ、錫杖を持った。そして、それを地面に突き刺すと、地面は光を放ち、怪は一瞬にして蒸発してしまった。
「ありがとう…。」
「これでしばらくは大丈夫だと思うよ。」
奇跡がもう一度錫杖を突き刺すと、三人の目の前に扉が現れた。これで現世に帰られる。
「私もそろそろ行かなきゃね。」
奇跡が扉を開けると、二人はその中に入っていった。そして、三人はそれぞれの生活に戻ったのだった。




