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鬼が棲む世界


 濡烏(ぬれがらす)松葉(まつば)()れ、どこまでも()んでいく。松葉(まつば)はたた困惑(こんわく)していた。二人(ふたり)(いく)つもの(そら)()け、(あか)(そら)()()りる。

 二人(ふたり)辿(たど)()いたのは『鬼界(きかい)』、(おに)(かい)()らす世界(せかい)だった。地面(じめん)溶岩(ようがん)(おお)われ、大気(たいき)瘴気(しょうき)汚染(おせん)されており、生身(なまみ)人間(にんげん)なら(はい)っただけで即死(そくし)する。そこには禍々(まがまが)しい姿(すがた)(かい)大勢(おおぜい)()る。



 濡烏(ぬれがらす)松葉(まつば)()せたかったのは、鬼界(きかい)()らす(かい)姿(すがた)だった。(かれ)らは(みな)自由(じゆう)()らしていた。ここには八咫烏(やたがらす)(さと)にあった規律(きりつ)存在(そんざい)せず、(すべ)てが混沌(こんとん)している。()わば無法地帯(むほうちたい)だった。

「ここは自由(じゆう)だ。だが、(よわ)いものは()(のこ)れない。」

松葉(まつば)は、(はじ)めて母親(ははおや)以外(いがい)(かい)()た。どの(かい)松葉達(まつばたち)敵意(てきい)()けているが、濡烏(ぬれがらす)(どう)じない。

「お(まえ)(かい)としても()きられるんだ。(ひと)つの()(かた)にこだわる必要(ひつよう)はない。」

(かんが)えます…。」

「もしここに()むなら松葉(まつば)使(つか)いとして(むか)えるんだがな。」

松葉(まつば)(みみ)(うたが)った。まさか濡烏(ぬれがらす)自分(じぶん)使(つか)いとして(むか)える存在(そんざい)()るとは(しん)じられなかったからだ。それに、濡烏(ぬれがらす)鬼神(おにがみ)だ。(くらい)(たか)(かみ)(つか)える(こと)は、八咫烏(やたがらす)にとって(もっと)(ほま)(だか)い。



 松葉(まつば)返事(へんじ)をしようと(くち)(ひら)いたが、それよりも(さき)濡烏(ぬれがらす)(くち)(ひら)いた。

緑丸(りょくまる)元気(げんき)か?」

緑丸(りょくまる)松葉(まつば)父親(ちちおや)()だ。かつて緑丸(りょくまる)(けん)(おし)えていた濡烏(ぬれがらす)は、(いま)(かれ)()にかけているのだろうか。

「お父様(とうさま)とはしばらくお()いしてませんが、元気(げんき)にしてると(おも)います。」

濡烏(ぬれがらす)(うなず)くと、(あらた)めて松葉(まつば)()た。その(ひとみ)(わか)かりし()緑丸(りょくまる)()ていた。



 そして濡烏(ぬれがらす)は、松葉まつばから(すこ)(はな)れ、羽織(はおり)(ととの)えた。

松葉(まつば)(けん)()たないのか?」

松葉(まつば)自分(じぶん)尾羽根(おばね)一枚(いちまい)()いた。すると、羽根(はね)(けん)()わる。それを()て、濡烏(ぬれがらす)自分(じぶん)(かたな)()く。

「どれ、手合(てあ)わせ(ねが)おう。」

松葉(まつば)()(さき)濡烏(ぬれがらす)(もと)()かい、(こし)()りかかろうとした。ところが、それを見切(みき)った濡烏(ぬれがらす)松葉まつば(うら)(うら)をつき、(かたな)()松葉(まつば)(あたま)()いた。(おに)(ちから)(すさ)まじく、それだけで松葉(まつば)地面(じめん)(たた)きつけられた。

流石(さすが)、お父様(とうさま)のお師匠様(ししょうさま)、お(つよ)いです…。」

(さと)での修行(しゅぎょう)成果(せいか)()ているな。これを使(つか)うといい。」

濡烏(ぬれがらす)自分(じぶん)羽根(はね)一枚(いちまい)()いて、松葉(まつば)()かって()げた。すると、羽根(はね)(けん)()わり、松葉(まつば)()(おさ)まった。

「これは…。」

「しばらく(おれ)(もと)修行(しゅぎょう)するといい。(さと)者達(ものたち)には(つた)えておく。ここには(からす)になれなかったくらいで仲間(なかま)(はず)れにする(もの)()ない。お(まえ)はもっと自由(じゆう)でいいんだ。」

濡烏(ぬれがらす)松葉(まつば)(かたな)()けた。松葉(まつば)はそれに(こた)えようと(あら)たな(けん)(にぎ)る。数多(あまた)(かい)視線(しせん)(なか)二人(ふたり)(けん)()(つづ)けた。


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