見習い騎士の冒険譚
プロローグ
あれは、まだ、俺が見習いの騎士だった時のことだった。その日、俺は、騎士団長に言われて、隣国との戦争に参加した。勇者様のお力添えもあり、戦況は、こちら側に傾いており、このまま行けば、勝てると誰もが確信していた。そんな時だった、あいつらが現れたのは。
「何だ、あいつらは・・・・・・!」
そこには、まさに人とは思えない姿の化け物が立っていた。それに加えて、一人一人の魔力量が、俺たちと比べものにならないほど、多い。それは、おそらく隣国の兵たちも気付いているだろう。隣国の兵たちだけではなく、優勢だった俺たちも攻撃の手を止めて、ただ呆然と奴らを見ていた。
「へぇ〜、中々良いところじゃないですか〜、人間界って。」
「ああ、魔界とは比べ物にならないほど、美しいな。自然も豊かだ。」
「はい、ただ・・・・・・少しばかり、小蝿が多すぎませんか?」
「確かにそうだな。特に、あの者は、かなりの傑物だぞ。」
「あー、確かに、中々の魔力量ですね〜。」
「我とも互角に渡り合えるかもしれんな。・・・・・・ふふふふ、久しぶりに楽しめそうだ。」
「楽しそうですね、陛下。」
「そりゃあ、楽しくもなるさ。ようやく、本気で闘える相手に出会えたんだからなあ!」
「ですが、こちらは、彼女を含めてもたった3人、対して、向こうは、およそ6万、これほどの差がある状況では、さすがの我々でも・・・・・・」
「いや、よく見てみろ、向こうの奴らを。一人一人が弱すぎる。この程度なら、むしろ3人は多すぎると思うがなあ。」
「では、私と彼女で向かいましょうか。」
「ふん、冗談が過ぎるぞ。それでは、我が闘えんではないか。」
「陛下がこの程度の連中に力を振るうことはありませんよ。」
「この程度、か。まあ、そうだな、我が相対する軍としては、力不足だ。だが、あの先頭におる者は、別格、我らに匹敵する力を秘めておる。だから、彼奴とは、我が闘う。それ以外は、好きにしてくれて構わん。ただし、我の邪魔はするなよ。」
「はい、心得ております。」
「うむ、では・・・・・・行くぞぉぉぉぉぉぉ!!!!」
あいつら、やっぱり、こっちに向かって来てやがる! しかも、たった2人だけで!? 正気か、あいつら! こっちは、敵国も含めて6万もいるんだぞ! いくら何でも無謀すぎるだろ! それとも、もしかして、6万の兵を2人で何とかできる自信があるのか? いや、たとえ、あったとしても、突っ込む奴は、普通はいない。でも、あいつらは、見るからに普通じゃない。将軍たちは、何してるんだ、もしかして気付いていないのか。いや、さすがに、気づいていると思いたいが・・・・・・
「将軍!! 西方より得体の知れない2人組が、進行して来ます!!」
「そう慌てるな、たった2人で、この数の差が覆されるはずがない。今は、目の前の敵軍を討つことが先決だ。その2人は、お前に任せる。」
「いえ、しかし・・・・・・」
「くどいぞ、それでも、我が国の将軍か? 早く行け!」
「は、はい、失礼します。」
将軍は、動く気配がないな。というか、全くあの2人に警戒していない。このままじゃ、まずいな。ここは、俺だけでも、奴らを止めに行かないと。
「ん? おい、そこの歩兵! どこに行く気だ?」
「いえ、ちょっと、お手洗いに・・・・・・!?」
「おい、どうした、後ろに何かいるのか? ・・・・・・な!? 何だ、あれは!」
いや、今気付いたのかよ! おっと、いかん、いかん。今は、ツッコんでる場合じゃない! この状況をどうやって打破するかを考えないと!
「よう、お前たち、随分と良いご身分だな。」
ゆ、勇者様!! どうしてここに! まさか、あいつらに気付いて!
「つーか、何なの、あいつら。マジで、意味分かんないんだけど! はぁ、面倒だが、片付けるとするか!」
遂に勇者様が動かれた! これなら、あの得体の知れない2人も倒せるんじゃないか!
「ふっははははは! ようやく、我と闘う気になったか。」
「あぁん? 闘う? 俺とお前がか? 冗談言ってんじゃねえぞ! そもそも、俺とお前とじゃ天と地ほどの差があるんだよ! 死にたくないならとっとと失せろ!」
「ふん、何を馬鹿なことを言っておる? 強者を目の前にして逃げるわけがないであろう! ・・・・・・!?」
「はぁ、本当にバカだなあ〜。・・・・・・!?」
「な、何だ、あれ!?」
突如、空に一条の光が現れ、まるで戦いを妨げるかのように、戦場を包み込んでいった。皆、悲鳴を上げ、慌てながら逃げようとしているが、逃げられない。光のロープのようなもので全身を縛られているからだ。そこで、俺の意識は途絶えた。
第1章 冒険の始まり
1 目覚め
うっ! うぅぅぅぅ〜。・・・・・・ここは・・・・・・そ、そうか、俺は、光に包まれて、意識がなくなって・・・・・・そういえば、他の人の姿が見えないな〜。もしかして、皆んな、俺よりも早く目覚めたから、もう帰ったのか? ・・・・・・俺は、見捨てられたのか?
「あ、あー、はは、マジ、かよ、クッ! うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
はぁ、滑稽だな、俺。仲間と思ってたやつに見捨てられて、挙句の果てには、泣きじゃくって・・・・・・本当に、情けねえ!
「はぁ、さて、これからどうするかな。見捨てられた以上、国に戻っても俺の居場所はないだろうし、やっぱり、探しに行く以外に方法はないかな〜。」
俺にとっての安住の地を!
「そうと決まれば、まずは、腹ごしらえだな! ここら辺には、どんな魔物がいたっけ? ・・・・・・!?」
な!? 何だ、いきなり! というか、誰だ、今俺を襲ったのは・・・・・・って、ウルフ! しかもこんなにたくさん・・・・・・あ! そういえば、昔、この辺はウルフの縄張りだと聞いたことあるような・・・・・・俺は、どうすれば良いんだ? 魔物といえど、この数では、流石に部が悪すぎる。とはいえ、逃がしてくれそうな雰囲気でもない。じゃあ、やっぱり倒す以外に助かる方法は無いわけだが、そもそも俺にこの数のウルフを倒せるのか? でも、たとえ、勝率が低くてもやるしかない!
「おらー! こうなったらヤケだ! かかってこいやぁぁぁ!」
「ガァァァァァァァァ!」
「グルルルルルルル! グワアァァァァァア!」
クッ! さすが、ウルフ! めちゃくちゃ速い! でも、これぐらいの速さなら、躱せないことはない!
「クッ! ハァァァァァァァァァ!」
こ、これが、生き物を、切る感覚・・・・・・気持ち悪い。皆んな、よくこんな感覚に耐えられるな。俺は、もう、すぐ吐いちゃいそうなくらい、やばいんだけど!
「グオォォォォォォォォ!!」
クッ! こいつら、一斉に向かって来やがった!
「ハァァァァァァァァァ! ヤァァァァァァァ! セイヤァァァァァァァァ! ・・・・・・これで、終わりだ! ハァァァァア!!」
な、なんとか、倒せた。それにしても、よく倒せたな、俺。最後ら辺、本当にもう死ぬかと思ったぞ。・・・・・・そういえば、ウルフの毛皮は頑丈って騎士学校の先生が言ってたな〜。こいつは、俺が倒した訳だし、毛皮ぐらいもらってもいいよな?
「・・・・・・って、硬っ! 何だ、これ、本当に毛皮か!? まさか、ここまで硬いなんて・・・・・・ったく、仕方ないな〜。風刃!!」
よし、上手く剥げたな。それにしても、まさか、魔法を使ってようやく剥げるほど硬いなんてな〜。もし、この倍ぐらいの数に襲われていたら・・・・・・想像しただけでゾッとするな。
それよりも、ここには、碌な道具がないからな〜。加工することはできないが、まあ、羽織るだけでも良いだろう。何も備えていないよりマシだ。さて、それで、どっちに向かえば良いんだ。辺りが平地になったから、俺たちがどっから来たか分からねえ! ・・・・・・こういう時は、あれの出番だな。その名も・・・・・・コンパス!! これで、方角が分かる。国に戻っても、居場所はねえから、まずは、故郷に帰ろう。たしか、南だったよな。そして、コンパスが南を指したので、その方角に向かって、1人の騎士は歩み始めたのである。
2 奴隷商人とエルフ
あれから、俺は、歩き続けているが、一体どれ程の時間が経っているだろうか。ようやく、荒れ果てた荒野を抜け、俺は今、森の中にいる。どうやら、この森には、磁気を歪ませる程の何かがあるらしい。そう思ったのは、つい先ほどのこと・・・・・・
「よし、ようやく、荒野を抜けたぞー! 後は、この森を抜ければ・・・・・・コンパスよ、道を指し示せ!」
あれ? 何も反応しないな、どうしたんだ? まさか、故障か! いや、冷静になって考えろ、俺のコンパスが故障する訳ない。ということは、ここには、磁力を妨げる何かがあるということか? そうだとしたら、何としてでもそれを見つけないと!
そして、その何かを探しに行った結果、俺は・・・・・・迷ってしまった。
「あー、何で俺は、何も考えずに走り回ってしまったんだ! これからどうしよう、誰かに道を聞けるわけでもないし、とはいえ、ここにずっと居るわけにもいかない。はぁ、何か良いアイデアは・・・・・・」
その刹那、誰かの叫び声が森中に響き渡った。それと同時に、爆発音も聞こえてきた。
「な、なんだ、一体、何が起こっているんだ!?」
というか、今のは完全に爆発系魔法が発動した時の魔力反応だった。こんな森の中なら魔物もいるだろうけど、あそこまで、強力な魔法を使うか? それにさっきの悲鳴も気になる。ちょっと、様子を見に行ってみるか。
「・・・・・・風走!!」
それにしても、本当にこの森は、魔物が多いな。こんなところ、1人で入ったら命がいくつあっても足りない。あー、良かった、高速移動を覚えておいて・・・・・・かなり近付いてきたな、この魔力は、間違いなく人間のもの、もしも、魔物ならもっと禍々しいというか見ていて気持ち悪くなるような色の魔力だが、この魔力は、透き通っていて、嫌な感じはしない。つまり、この先には人がいると言うことができる。
「うん? 何か聞こえてくるな。何の話をしてるんだ? ・・・・・・」
耳を澄ませるとどすの利いた声が聞こえてきた。
「ひひひ、もう逃げられねえぜ。さあ、神妙にお縄につけ!」
「や、やめ、て。だ、だれ、か!」
「兄貴、やっぱり、こいつ、偉い上者ですぜ! これなら、相当高く売れますよ!」
「ああ、だから、連れてきたんだよ! エルフは高値で売れるからな〜!」
「・・・・・・んんんん!」
「はははははは、ただ売るのももったいねえし、ちょっと楽しませてもらおうか!」
「良いっすね、兄貴が終わったら次は俺ですよ!」
そんな最低な会話が聞こえてきた。というか、やばいな。早く行かないと、とんでもない惨劇が広がってしまう! ・・・・・・いや、待てよ、ここから、風魔法を撃てば、ある程度は、こっちに注意を引くことができるんじゃないか?
物は試しだ!
「飛風!!」
頼む、当たってくれよ!
「な、何だ、この風!? う、うわあぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぐっ! ぐわあぁぁぁぁ!」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!」
「グハァッ!!」
「た、助けて、くれ・・・・・・うわあぁぁぁぁぁぁ!!」
1人仕留め損なったか。だが、たった1人なら俺が負ける訳はない! 待ってろよ、エルフの嬢ちゃん、今助けてやるからな!
「え? い、一体何が起きてるの?」
「ちっ! 俺としたことが抜かったな、まさか、俺たち以外にも人がいたなんて・・・・・・って、あいつら、どこ行ったんだ? ま、まさか、俺以外全員、あの魔法にやられたのか? そ、そんなはず、ねえよな! だって、俺たちは、金ランクの冒険者なんだ! そう易々とやられるわけ・・・・・・!?」
俺は、かつてない程の怒りに身を焦がしていた。自分でも信じられぬほどに・・・・・・。1人取り逃してしまったが、それがどうした、俺が直接倒せば良いだけだ!
「な、なんだ!? 何かが、来る!」
「お前、見た感じ、冒険者だろ? 何で、こんな誘拐紛いなことしてんだ?」
(な、何だ、なんなんだ! 魔力は大したことねえのに、なぜ、この俺がこうも気圧される!? クッ!)
「気に食わねえなあ!」
「何?」
「てめえの何もかもが気に食わねえ! そこのエルフは凄え金になんだよ! それなのに、何で関係ない奴が出しゃばって来やがんだ!」
「お前、どこまで・・・・・・」
「はは、ははははははは!! 貴様だけは、絶対に許せねえぞ! 必ずここで息の根を止めてやる! くたばれぇぇぇぇえ!!」
な!? 何だ、こいつ、さっきまでとはまるで、別人みたいだ。一体何が起きてるんだ!
「ほう、俺の剣を躱すか・・・・・・こりゃあ、久しぶりに楽しめそうだな〜。」
くっ! まずいな。あいつの剣撃、予想以上に速すぎる。これが、金ランクの冒険者の力なのか? いや、どんな奴でも必ず隙はある。それさえ、見逃さなければ、負けることは、ない!
「食らえ、風刃!!」
「風魔法か、中々の威力だ、だが、俺には効かない!」
魔力阻害のローブを羽織っているのか。少し面倒だな。あいつに魔法を放ってもあまり効果はない。なら、剣で倒すしかないってことになるが・・・・・・あいつの剣、かなり洗練されていて避けるのが精一杯だった。俺に倒せるのか、見習い騎士の俺に・・・・・・いや、倒さないといけないんだ!
「どうした? 来ないならこっちからいくぞ!!」
まずは、風の力を使って、相手の攻撃を紙一重のところで逸らす。
「な、なに! またしても俺の攻撃を・・・・・・!」
そして、躱した後は、頚椎に一撃、頸動脈に一撃を与える。
「ぐっ! ぐわあっ!! お、己〜、小癪な真似を!!」
最後に脳幹を貫けば、俺の勝利だ!
「うっ! ・・・・・・」
となるはずだったのだが、こいつ、予想以上にタフだな。顔に穴開けたのに、まだ立ってやがる。これは、少し、まずいかもな。
「ぐふふふ、ははははははははは! お前、中々やるじゃねえか。後少し結界を張るのが遅かったら、死ぬところだったぜ。」
「くっ! 化け物め!」
「それは、違うな。俺が強いわけじゃない。お前たちが、弱すぎるんだよ!!」
「ぐはぁっ! うっ・・・・・・!」
「ほらほら、さっきまでの威勢はどうした! もっと俺を楽しませろよ!」
「・・・・・・ウォーターウォール!!」
「な、何だ、この水、一体どこから・・・・・・!?」
「・・・・・・させない! これ以上その人を傷付けさせない!」
「・・・・・・無理、だ。早く、逃げ・・・・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おいおい、何勝手なこと言ってんだ! さっきも言っただろ、そいつは俺たちの大事な金蔓だ! 逃すわけねえだろ!」
くっ! このままじゃ、あの子が・・・・・・! 何とか助けないと! 何かないか、あいつの動きを止められる方法は・・・・・・!?
「こ、来ないでぇぇぇぇぇえ!! フローズンプリズン!!」
「ほう、やはり、さすがはエルフと言ったところか。だが、この程度の魔法では・・・・・・俺は止められんぞ!!」
な!? あいつ、マジか!? 魔法を、握りつぶした!? そんなのもう化け物なんてレベルじゃねえぞ!
「な!? うそっ!? 私の魔法を・・・・・・!?」
「おいおい、いくらなんでも俺を舐めすぎじゃねえか? こう見えても昔は真っ当な冒険者だったんだぜ。この程度の魔法、どうとでもなるさ。」
確かに、腐ってもあいつは、金ランクの冒険者、実力は本物ってことか。
「もう、いい!! 早くここから逃げろ!!」
「で、でも、あなたが・・・・・・!?」
「俺だけなら何とでもなる。君を逃した後、俺もすぐ逃げる!」
「・・・・・・くっ! すいません!」
「・・・・・・何、勝手に話進めてんの、お前たち? まさか、ここから逃げられると本気で思っているのか? だとしたら、傑作だなあ! よし、そのおめでたい頭に良く叩き込んでおけ! お前たちは、ここから生きて逃げれねえよ!」
「さあ、どうかな? やってみないと分からないだろ!」
「分かるさ、俺とお前たちでは、天と地ほどの差があるんだ。お前たちに、勝ち目はない。分かったら、大人しくしろ。そうすれば、楽に殺してやるぞ。」
「それは御免だな。生憎、ここで死ぬわけにはいかないんでね、そろそろケリをつけさせてもらうぞ!」
「ふん、戯言を! 貴様たちでは、俺に勝てぬというのがまだ分からぬのか?」
「ああ、生憎諦めが悪いもんでね。」
「お前、相当、損な性格しとるな・・・・・・」
「へっ! なんとでも言え!」
とは言ったものの、どうしようか。まず、あいつには、生半可な剣は当然効かないし、魔法も効かない・・・・・・あれ? もしかしなくても、俺たちに勝ち目ないんじゃ・・・・・・いや、諦めるのは、まだ早い! きっとどこかに弱点があるはずだ!
「どうした、来ないのか? では、こちらから、いくぞ!! 来たれ、流離の風、流浪の伴い、荒れ狂う荒野を駆け抜け、何者よりもとく走れ! 大爆風!!」
な、何だ、あの魔法は!? あんなもの見たことないぞ! というか、ちょっと威力おかしくない! 魔力が爆発して、風の刃が高速で拡散しているのは分かるけど、それにしても、この威力は流石におかしい! だって、普通風魔法で辺り一体を吹き飛ばすなんてできるわけないし、いや、今実際起こってるんだけども!
「・・・・・・仕留め損なったか。やれやれ、面倒だな。あれだけは、使いたくなかったのだが、そうも言ってられないか。」
何だ、あれって? 一体、何を言っているんだ?
「しかし、これを使うのは、貴様が初めてだな。下手をすれば、全て消滅するだろうが、まあ、こんな雑魚にやられるよりは、マシだな。」
こ、この魔力は!? まずい、早くここから逃げないと・・・・・・!
「クッ! 早くこっちに!」
「えっ!? ちょっと・・・・・・!」
「今更逃げたところでもう遅い! 食らうがいい、この俺様の最強の奥義を! 大爆炎!!」
クッ! 間に合わない!
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その炎は、止まることを知らずに、一瞬にして、森を焼き尽くした。そして、俺も・・・・・・!? な!? ここは、どこだ? 俺は、確か、焼き殺された、はず・・・・・・この子は、さっきのエルフ? もしかして、俺たち!助かったのか?
「おや、目が覚めましたか、お客人?」
そこには、さっきの盗賊が目の前にいた。俺は衝撃のあまり、気を失い、そのまま、情けなくもショック死してしまった。