97.相談しようそうしよう
レギオン戦から数日。
流石レギオンと言うべきか、やはりレギオンと言うべきか<指揮>系のスキル熟練度が溜まり、
<焚気><塞剣士>
<圧迫><軍卒士><武術士>
<探険者><体操士>
控え
<簡易調理><手入れ><治療士><死力><活性>
次は<死力>と<活性>育てるかな~って感じだけど、代わりに何外したらいいのか微妙なところ。
【訓練】で体を慣らし、魔将の事をついつい考えてしまう日々。
何しろ1000人指揮下で100人指揮をしなければならない。アンデルセンさんはそれこそ100人にバフをかけていたように見えたが、他に100人指揮できる人がそもそも思いつかない。
単純に自分の人付き合いが悪いのかもしれないが、不安が募る。
そんな折隊長に呼び出されたので【兵舎】の【食堂】の一角を占領して、話し合い。
本当にどこで調達してくるのか、飲み物は緑茶。会議には緑茶だろうってどういう発想なのか?
「さて、今回の戦いの核になるのは間違いなく自分とソタロー。個人の戦闘力としては騎士殿なんだけど、ちょっと大変そう」
「ちょっとなら頑張るしかないと思いますけど、具体的に聞いてもいいですか?」
「うんまず、騎士殿だけだと魔将は倒せない」
「ちょっとじゃない話出てきましたね。最早どういう切り口で質問したらいいか分からないです」
「あの、どうやら魔将って手下から力を吸収して無敵の防御力なんだってさ。それを斬り裂くのに必要なのが、あの剣の柄なんだってさ」
「でも鎧と一緒に剣も安置されてましたよね。アレは?」
「まあ、天騎士セットって感じかな。雑魚敵狩るには十分すぎる能力の武具だって!それであの剣の柄は率いてる人数に合わせて能力が高まるって事らしいんだよね~」
「つまり隊長も前線に出ないといけない訳ですか、1000人率いながら」
「うん、まあ出来ない事は無いと思うけど、ちょっと大変だな~ってさ」
それでちょっとって言うのがよく分からないんですけどね。
「でも隊長は天騎士装備出来ないんだから、魔将の攻撃喰らったらまずいんじゃ?」
「別に当らなければどうという事は無いし、そこはなんとでもなるんだけど、問題はどうやって前線に出ようかなってさ」
攻撃が当らないってどういう状態ですか?って聞こうと思ったけど、そもそも現状自分の攻撃が当らないので、言っても仕方ないと悟ってしまった。コレが悟ると言う気持ちなのか……。
「そうですね……騎士殿が雑魚敵を狩るのに十分すぎる力があるわけだから、後ろをくっ付いていくっていうのはどうですか?雑魚を狩れば狩るほど魔将の力も弱まりそうじゃないですか?今回の条件だと」
「なるほどね、一理ある。天騎士装備が無い場合は魔将の部下を狩って限界まで弱らせる事が条件になったのかもな~。でも騎士殿一人じゃ流石に大変だと思うんだよね。魔将の部下って異形の生き物で、しかもレギオン級10体ユニオン級50体いるんだって、笑うしかないよね~。ちょっとね~キレそう」
ただでさえいつも隙間風の冷たい【兵舎】に刺す様な冷気が吹き込む。
いくらなんでも急に絶望的な状態過ぎる。自分はレギオン一体を相手にするのがやっとなのに、どういうゲームバランスだ?
「どこの国でもいいからNPCの指揮官を借りる事は出来ないんですかね?」
「自分が一番困ってるのがそれなんだよね。長年墓の奥に封印していた所為か瘴気を纏ってるらしいのよ。分かりやすくいうとプレイヤーだけでやれって事、1000人戦闘をさ……もう少し100人率いれるプレイヤーが増えてからにすればいいのに、加減を知らなすぎるよね~……」
「全然ちょっとじゃないじゃないですか、どうします?」
「いくつか方法は考えたんだけど、ちょっとピースが足りなくてさ、そこで相談なんだけど、なんか超破壊力の武器でも道具でも知らない?高ければお金は何とかするしさ。超破壊兵器を大量に調達できれば、魔将復活と同時に部下を皆殺しに出来るんだけど……」
「そんな夢みたいな虐殺兵器存在する訳ないじゃないですか。きついですけど皆で力を合わせるしかないと思います」
「そっか~……そうだよな~。せめて自分一人前線の誰かと位置入れ替わりとか出来ればな~。前半は指揮で全体の様子見ながら動かして、入れ替わりさえ出来れば相手の無敵の防御力を斬り裂くことは出来るんだから、一気に決戦ってのもありなんだよな。いやそんな都合のいい事無いか、やっぱり指揮しながら前線を駆け上がる変態的な技量を求められてるとしか思えんな」
「あの入れ替えって、自分と隊長の位置を戦闘中に入れ替えられればいいんですか?」
「そうだけど、でも1000人戦闘のフィールドって広くなると思うし、そう簡単に入れ替えってね。無理じゃん」
「いや、丁度そういう道具手に入れましたけど?」
何故か天井を見て考え事を始める隊長、数分は動かないなと思ったら一言。
「やっぱり、今回のクエストはソタローのクエストだったんだな~。ボスは自分が斬る事になるけどMVPはソタローだ」
言いながら真っ黒い禍々しい旗を鞄から取り出し、自分に渡してくる。
「なんですか?これ」
「1000人戦闘で手に入れたものだから先払い。もしかしたら今回の切り札になるかもしれないし、ソタローが使ってよ」
いやいやいや!何言ってるんですかこの人!平気で1000人戦闘で手に入れた道具を預けるって意味が分からない!