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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
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9.自由狩り

 ガンモと連れ立って北門から真っ直ぐ丘を登っていくと、早々に<察知>に雪百足がひっかかる。


 「ガンモちょっと待って」


 「ん?どうしたんだ?」


 ガンモを呼び止め、雪百足に近づけば、いつものモーションで飛び出してきた!


 だが、サクッと盾で殴り飛ばし、剣を突き立てればあっさり倒せてしまう。


 「へ~よくこいつが隠れてるの分かったな……」


 ガンモはそんな事言いながらサクサク<解体>して素材を渡してくれる。


 「別に【兵士】になれば<察知>を最初に取らされるから、コレ位はね」


 そして、丘を登りきり橋を渡れば、早速最近メインで狩ってる雪鳥蜥蜴が2体登場。


 ガンモをちらっと見ると丁度向こうもその気だったのか、さり気なく肯いてくるので、二人でそれぞれ獲物を分ける事に。


 走り込んでくる一体を避ければガンモが追いかけるので、自分は空いたもう一体を相手する。


 こちらは間合いを読むようにゆっくり近づいてきて、急に飛び込んできた……が、


 ここ最近でこいつの動きは大体理解してるので、焦らずに顎下から剣を突き込んで脳まで貫通させる。


  強引に剣を横に振るい、雪鳥蜥蜴を横倒しにしながら剣を引き抜けば、それで倒れて動かなくなってしまった。


 まぁ、急所を確実に潰せばすぐに倒せる辺りが初心者用と言われる所以かもしれない。


 対するガンモは敵の体中を滅多刺しにしていた。とにかく噛まれないように距離を取り、横に回りちくちくとやって、確実に倒しきった。


 「ふぅ、なんかアレだな。ソタローはここ最近一気に強くなったな」


 「そうかな?あまり感じないけど」


 「いや、強くなったぜ、だってこの前まであんな小さい鼠にいい様

ようにやられてじゃないか」


 「ああ、でも剣の振り方とか盾の使い方が分かってきたって言うか、やっと慣れてきたのかもしれない」


 「装備は相変わらず支給品装備なのに、なんでそんな攻撃力出るんだろうな?」


 「雪鳥蜥蜴は顎下から頭に突き抜けばすぐ倒せるよ。多分弱点がそこに設定されてるんじゃない?」


 「いや敵の正面に立って弱点突けって、それは流石に度胸ありすぎだろ?」


 「そうかな?ああでも自分は盾持ってるし【訓練】で盾防御練習してるから、多少はそういうストレスが少ないのかも」


 「そんなもんかね~。まあいいや狩りを続けようぜ!」


 そうして、雪鳥蜥蜴や雪百足を狩りながら山を登っていると、灰色の狼が一匹佇んでいるのが見える。


 木々の多い雪山の中に狼が一匹というのは、中々趣があると言うか神聖な気持ちになるな~などと思いながら通り過ぎようとした時、


 灰色狼が一声遠吠え……。


 <察知>に引っかかるざわざわとした感覚に、囲まれている事気がつく。


 「ガンモ!これはまずい」


 「あ?どうしたんだ?」


 「完全に囲まれてる……」


 「は?何にだよ?」


 しかし、ガンモがその問いを発するのと同時に自分達を囲んでいるのが灰色狼の仲間だと理解してしまう。


 数は10匹程度だろうし、隙間を抜けることは出来るかもしれないだろうが、足の速さ的に逃げ切れるものなのかは不明だ。


 サイズは精々カピバラかその一回り大きい程度だが、凶悪な牙は比べ物にならない。


 「ソタロー……どうする?」


 「相手はやる気なんだから、戦うしか無いじゃん」


 「なんで戦う気だって分かるんだよ……」


 「そりゃ殺気発してるから!」

 

 その途端、一匹が自分に噛み付くように飛び掛ってきたので盾で突き飛ばすように大きく開いた口を殴る。


 更に右から飛び掛ってきた個体の口の中に剣先を突っ込み突き殺す。


 ガンモもいつの間にか応戦し、一匹を突いたが、もう一匹に足を噛みつかれている。


 しかし、すぐに首が伸びているその狼の頚椎を剣を振り下ろしぶった切ってやると、ガンモの足は自由になった。


 代わりに盾で突き飛ばしただけの狼に背中に乗るように飛びつかれ、振りほどこうと暴れると、他の固体が飽きずに足を噛み付いてきたので蹴り飛ばす。


 更に手近にいた別の個体は剣で目を斬り怯ませ、


 やっと背中から落っこちた狼が腹を見せた所で、剣を突き立て地面に串刺しにして、動かなくなるまで抉る。


 ガンモが片目狼のトドメをさして、コレで半分。


 蹴り飛ばした狼を切り払い、ガンモに噛み付いてきた狼を盾で突き放し、


 敵が近づく度に突き放すように戦い、ガンモが突き刺していくうちに、全ての狼を倒した。


 ゲームにも関わらず、いつの間にか荒く息をついてしまうのは何故なのか?


 「何とか倒しきったけど、山の方はまだ自分達にはきついね」

 

 「ああ、そうだな。ちょっと戻るか」


 手早くガンモが狼たちを<解体>してその場を離れる。


 素材は山分けして、一旦回復に専念して状況を見直す限り、なんだかんだ結構なダメージを貰ってしまったので、死に戻らなかったのは運が良かったとしか言いようがない。


 「アレだな。もしかしたらソタローはタンクに向いてるかもな」


 「そうかな?」


 「ああ、だってずっと魔物突き放してくれてたろ。他人を守るのに向いてるよ」


 そういうものなのかな?正直どういう方向に進めばいいのか迷ってたし、一考の余地ありかな?


 ただ、出来ればあの隊長の様に集団を率いてみたい気持ちも捨てられない。


 別に他人に命令したいとか、目立ちたいとかじゃなく、ただ自分の意思を他人に伝えてみたい。


 でも、伝えるだけの信念も目標も無い……。

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― 新着の感想 ―
[一言] どつかれても怯まないってのは確かにタンク向き
[一言] (//∇//)おぉ、進歩が見える ちゃんと成長してるぅ 頑張れ~(//∇//)
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