88.近況報告
【帝国】では騒ぎを起こしたばかり、
【王国】は流石に顔向けできない。
【教国】はきな臭い。
という事で【鉱国】で久しぶりの三人と再会。
初めての【鉱国】だが、ポータルで来てしまった為なんで都の上に天井があるのかよく分からない。
何とも賑やかだが、思っていたのとちょっと違う。
というのも、三人からは金属の発掘や鍛冶の国だと聞いていたから、
もっと、金属がぶつかり合うような騒がしさや、埃臭さをイメージしていたのだが、全くそんな事は無い。
ポータルの近くで待っていてくれた3人と落ち合って、適当な飲食店でジュースを飲みながら近況報告会。
というよりこの前の件どうなったのかを個人的に聞きたかっただけなんだけどさ。
「すまん、面倒かけたなソタロー」
「いや、別にいいよ。隊長が何とかしてくれたんだし、それよりも騎士団の方は謝りに行ったの?」
「ああ、あの重装備の……うちの代表いるだろ。一緒に謝りに行ってくれてな」
「そうなんだ。まあこっちはなんか平常通りだし、誰も気にしてないみたいだから、戻ってきても大丈夫だと思うよ」
「そっか、うちも捕まってる時はっきり言ってくれたお陰か、別に俺達も風当たりが強いとかそんな事はないんだ。なんか知らんけど、騎士団に謝りに言った時も別に何も責められなかったって言うか……、隊長には俺達の事言ったのか?」
「いや、詳しくは言ってない。ただ前に【帝国】にいたプレイヤーが関わってるとだけ」
「そっか、なんか隊長も俺達に先回って騎士団に話し通してくれてたみたいで、すんなり事が済んでな。ただ一言言われたのが【訓練】しないと強くなれないってそれだけ」
「ふーん、なんか隊長って面倒見がいいんだか悪いんだか、いい人なんだか悪い人なんだか、常識があるようでおかしいしよく分かんないな。それでこれからどうするの?」
「もう一つの最強【海国】に行ってみようかなと思ってさ。流石にこのまま世話になるって訳にもいかないだろ」
「本当に3人は世界を巡るね。自分はこの前隊長に付いてやっと【王国】に行ったばかりなのに」
「その代わり、あの試練を乗り越えて白竜に一歩近づいたんだろ?やっぱり【帝国】はソタローに合ってたんだな。この前だって300人相手に暴れまわろうとするの見て、遅れを取っちまったなって痛感したもんよ」
「どうなんだろう?あの時は勝てる気も何も無かったし、結局隊長の掌の上だったよ。しかも聞いたら、隊長って1000人率いれるんだってさ。完全に隊長が【王国】に呼ばれたのがクエストのトリガーじゃん」
「ああ、俺も聞いた。最強のプレイヤーってのが騎士団にいるんだろ?集団戦最強とプレイヤー最強が組んで、復活した魔将を倒すって訳だ。ソタローも一枚噛むのか?」
「うん、隊長がルクレイツァの正体を知ってたプレイヤーなんだから自分のクエストだろって……」
「そうなのか?」
「いや、自分の師匠がルクレイツァの兄って名乗ってたから、師匠に聞けば分かるかなってくらいの話」
「まあ何はともあれ、聞いたことも無い1000人の集団戦だろ。ソタローは100人率いれるし一角を任されるわけだから、胸熱じゃん!やべーな、うずうずしてきた」
「うずうずしてきたって、そうやって軽率な行動してこの前の結果になったんだから、今度は腰を据えて少し我慢も大事だよ」
「分かってるって!【海国】のクランはアンデルセンさんの紹介だし、顔に泥を塗るような真似はしないって」
「ああ、ガンモもあの人と知り合いだったんだ」
「そりゃあの人【帝国】の新人には一通り声かけてるだろ。コミュ力あり過ぎって言うかなんて言うか」
「それでいて普段何してるか分からないし、あの人も多分変人」
「なんか聞いた話だけど【帝国】プレイヤーは皆変人って言われてるらしいぞ。ソタローは気をつけろよ」
「え?うん。別に自分は何も変な事してないし、大丈夫だと思う」
「まあそうだよな。ソタローに限って変人扱いされる事も無いか!そうだ折角【鉱国】に来たんだし、何か装備の買出しとかどうだ?」
「いや、別に装備はクラーヴンさんの所で作ってもらってるから今の所問題ないかな」
「そっか、相変わらず鉄ばっかりみたいだけど、問題ないなら別にいいか。アクセサリーも着ける場所が無さそうだもんな」
「うん、全身金属で覆ってるからね。強いて言うなら術のダメージ量がちょっと多いから、いずれ何とかしたいとは思ってるけど」
「ああ、そう言うのだと術は術で相殺するか、折角盾持ってるんだから、盾術とかで軽減するのがいいんだろうな。避けたりは出来ないだろうし」
「なるほど、そうか術は術で相殺できるのか……、剣と鎧の術は手に入れたし、今度試してみよう」
そんなこんなお喋りしつつ、お互いの近況報告。
やっぱり同期がいると楽しいものだが、楽しい時間はあっという間。
【帝国】に戻ったら隊長と魔将対策。
どんな敵か分からないが、自分に活躍の場はあるのだろうか?