8.いつものクエスト
装備が完成するまで数日かかると言う事なので、取り敢えずクエストの日々。
そして今日は【料理番】!
なんでこのクエストなのかと言うと兵長がやれっていうから!それで別に問題はない。
【兵舎】の食堂に向かい任務票を渡す。
ちなみに自分も普段ここのお世話になっている何しろ【兵士】は無料で食事が可能なのだ。
食事をしないとどうなるのか?空腹度と渇水度が減っていき状態異常や生命力精神力を損なって死に戻りなんて事にもなりかねない。
死に戻りってのは設定した拠点に飛ばされ、一定時間ステータスなんかに制限をかけられた状態になり、
さらに持っているお金を落とす事にもなるので、死なないように細心の注意が必要だ。
さて、まずは手洗い。コレをしないとゲームだろうが容赦なく怒られるので、必須事項である。
そして、料理長に挨拶する。料理長の役職は実はよく分からない。みんながそう言ってるから、勝手にそう呼んでるし、
それについては怒られないので、気にしない。
「それで料理長、今日はなにします?」
「そうだな。いつまでも配膳と皿洗いじゃ飽きるだろう。下ごしらえをやって貰おうか」
そう言って、渡されるジャガイモの山。それをひたすら、皮剥きしていく事になった。
そこまで家庭科の点数が高いわけじゃないが、そこはスキルの補正もあってサクサク剥ける。
【兵士】になるにあたって取らされる<簡易調理>のスキルは多分趣味スキルの筈なんだけど、ゲームで料理ってのもなんか楽しい。
普段の生活でこつこつ毎日自炊しろって言われたら、手を抜いちゃうかもしれないけど、遊びでやる分には面白いのだから不思議なものだ。
ひたすら芋を剥いたら、ひたすら茹でる。何に使うかはよく分からないけど、そういう指示だからやるそれだけの事だ。
なんでも自分がこのゲームを始める前、運営主催のイベントで料理対決があったらしい。
その結果【帝国】のプレイヤーが一位になったって、ホームページにも攻略にも書いてある。
しかし、料理番で使う食材はひたすらジャガイモ!
ジャガイモ!ジャガイモ!ジャガイモ!ちょっとチーズからの人参。
それでも、料理長の手際を見て料理を少しづつ覚えていく。
結構行程自体は単純なのだが、味付けに使っている青い瓶の調味料はどうやって手に入れるのだろうか?
まだまだ、分からない事の多いゲームだ。
そして【料理番】が終わり、今度は【座学】!
今日はバフについて!
と言っても基本はちゃんとスキルを取得して、バフを受けたら確認しましょうって事だった。
でも一応分かったのは、精神系は頭の断面みたいな図。体に関するものは体の簡略図という事。
バフもデバフも色々と種類があるらしいが、色で何となく分かると、
しかし、バフでも攻撃力が上がる代わりに移動力が落ちたり、防御に特化する代わりに他の行動が出来なくなったりと、単純に全てを言える訳じゃないらしい。
デバフに関しては、何となく体調の異常で察する事も出来るとか、
色々と受けてる内に、自分が何の状態異常を受けたか分かるようになるって、なんか凄い。
それでも一応相当するスキルを取得して確認が一番大事。
どうやら【兵士】職は階級が上がるとヒトを率いる事になると、それに伴い<分析>って言うスキルが重要になってくるので、それをいずれ取得するようにって言うのが今日の【座学】の肝かな~。
うん、やっぱりちゃんと【座学】に出て話を聞くと、色々大事な情報が出てきて面白い。
大体クエスト二つを一日の目安にしている。後は狩りの時間にしてるので、北門へ向かう。
このゲームは無限にプレイできるわけじゃないので、時間配分が結構大事なのだ。一応一日8時間がゲーム側からかけられた限度となっている。
結構な時間出来ると思う人と、少ないと感じる人と両者いると思うが、安全の為らしいので仕方ない。
ちなみに自分は結構な時間出来ると思っている側だ。
何しろ、時間の流れがゲーム内は3倍となっている。つまり丸24時間ゲーム内にいるようなものなので、長いよね。
勿論ゲーム内時間12時間ごとに割っても良いし、ゲーム内時間8時間づつ割ってもいい。それでも体内時計と言うか、体の感覚が狂わないんだから不思議だ。
それが安全な範疇って事なのかな?
そんな事を考えながら都の通りを歩いていると久しぶりにガンモを見つけた。
最近は狩りはしても<解体>出来る人がいなくて、ただ魔物を狩る練習になっていたので、ガンモと組めたら助かる。
ちなみにカヴァリーさんは【騎兵】隊の任務であちこちの街や都に回ってるので、いつも一緒というわけにはいかない。
「おっ!ソタロー!久しぶりじゃん!」
「ガンモこそ最近顔見せなかったじゃん!」
「ああ、実はコレを新調しに【旧都】の方まで行ってたんだわ」
そう言って見せてくるのは一本の槍。スレンダーだが装飾の綺麗なガンモの身長の倍くらいはありそうだ。
「へ~格好いい!また装備更新したんだね」
「おうよ!これで魔物狩りが捗るってもんよ。それでソタローはどうなんだ?」
「自分は相変わらずだけど、今度自分の剣を買う事になったよ。今作ってもらってるところ」
「作ってもらってるって……オーダーメイドか?」
「え?うん、多分?この都の鉄具屋で修行してるプレイヤーに頼んだ」
「プレイヤーメイドなんて、クエストだけで買える物じゃないだろ?騙されてるんじゃないか?」
「いやでもただの鉄剣だし、多分ガンモのその槍より安いと思うよ」
「そうなのか、まあ安物なら損してもダメージ少ないしな。それで?これから狩りか?」
「うん、北門の方の魔物を最近は倒してるんだけど<解体>が出来ないから」
「なるほど魔物倒す練習だけになっちまってるのか!じゃあ一緒に久しぶりに一狩り行こうぜ!」