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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
75/363

74.【旧都】近くで狩り

 【黒の防壁】までの道のりは、安全そのもの。


 魔物は出たが、こちらはなにぶん大人数、瞬殺としか表現できない状態。


 姿を現した瞬間には槍で串刺しの魔物達、無駄なく<解体>されているのはきっとご飯に変わるんだろうな……。


 そんなこんなあっという間に【黒の防壁】に辿り着き、久しぶりにチータデリーニさんに会うと、隊長も知り合いだったらしい。


 「よう!隊長はなんか出世したみたいだし、ソタローももう俺と同格だろ?まったくこんな田舎砦に引き篭もってると、どんどん置いていかれるぜ」


 「そんなこと言いつつ、実家に預けてる奥さんに会いやすい、ここの勤務が気に入ってるくせに」


 「まあな~、隊長が何だかんだと手を入れてくれたおかげで、かなり生活しやすくなったし、気に入ってないって言ったら嘘になるな」


 「いつかは、お世話になりました。例のレシピ本見て料理少しづつ勉強してます」


 「お!そうかそうか!死蔵してたもんだから、役に立って良かったぜ。基本さえ押えちまえば、後は勝手に出来るようになるから、焦らずにな」


 「さて、自分達はこれから【王国】に向かうけど、変わりはない?」


 「ああ、いつも通りよ。偶に【黒の森】から出てくる魔物を狩るだけの日々。それでもまあ引退までは稼げるだけ稼いでおかなきゃな!」


 「じゃあ、また戻って来たら任務受けて交代要員として来ますので!」


 「おう!まあ気負わずにな~。怪我に気をつけろよ~」


 とまあ、あっさりしたもの。


 続いて南下し【旧都】の外側をすり抜けて、大河沿いへ。


 船着場で隊長が話を付けると一旦荷物を倉庫へ保管。


 何しろ大量の人員と荷物なので、船が出るのは数日後。それまでは荷物を預かってもらうが、


 いつも勝手な隊長が、こういう時は率先して荷物に間違いがないか、全て確認をはじめる。


 自分達は最低限やる事をやったので、どうしようかと思っていたら、ルーク達に声を掛けられる。


 ルークさん、ルーシーさんは荷物の【管理】をしたくないらしく。夕飯調達隊だそうだ。


 【偵察兵】が被ってしまうが、スルージャとチャーニンも一緒。ちなみに二人はいつの間にか小隊を率いてる。


 自分が一応中隊長、部隊長が二人、小隊長が二人の5人パーティ豪華布陣?で狩りタイム!


 「実はこの辺は詳しくないんですけど、何がおいしいんですかね?」


 「ん~自分が聞いた事あるのはリスですかね!」


 「リス食べるんですか?」


 「あ~俺も聞いた事あるわ。確かリスって凶暴なんだよな。走るのが速いだけじゃなくて、飛ぶわ、器用で道具は使うわって、さ」


 なんか自分の知ってるリスとは違うみたいだけど、魔物のリスだもんそりゃそうか。


 【旧都】近くの森に出ると言う事で、早速移動。街道沿いに出ないって事は凶暴な魔物で間違いない。


 気を引き締めて、慎重に行動したつもりだったが……。


 近くに魔物の気配があるのに、どこにいるか分からない。


 【偵察兵】の二人もすでに警戒態勢を取っているが、どうなっているのだろうか?


 雪の中にでも隠れているのかな?と一番防御力の高い自分が気配のほうに向かうと、


 木の上から尻尾を振り回しながら大きな影が降ってくる。


 思わず盾で殴りつけるが、もっさりとした尻尾で受け止められて、手ごたえがない。


 目の前には小中学生サイズのリス。ボスほど大きくはないが、尻尾の大きさは自分と同じくらいかもしれない。


 しかし、ふんわりした尻尾に大した攻撃力はなかろうと、じりじり間合いを詰め、袈裟斬り。


 何をどうされたのか尻尾で柔らかく受け流され、体勢が崩れた所に両手で持っていた大石でぶん殴られる。


 「ゲフッ!!」


 わき腹にはいり思わず、えづいたところでルークが矢を射て加勢してくれたが、それも尻尾で払われてしまう。


 何しろ柔らかい尻尾で絡め取るようにしてふんわり受けられ、ダメージにならない。


 【偵察兵】二人組みが、背後から忍び寄っても、どうやって気がついたのか尻尾で雪を巻き上げて目潰ししつつ、高速で移動。


 囲まれない位置に陣取る頭の良さ。武器は大石だが、十分な殺傷能力のある鈍器。厄介なふんわり尻尾。


 普通の魔物なのにかなり面倒なんだが、コレが【古都】周辺の初心者ゾーンを抜けた所にいる魔物なのか!


 それでも、何とか倒そうと自分が積極的に詰め寄り、剣の一発は狙わず徹底的な邪魔に徹する事で、生まれた隙にチャーニンの槍が尻尾を突き刺し、木に縫い止めた。


 そこで、今度こそトドメと剣を振り下ろしたが……、


 「ゲフッ!!」


 再びえづく……。


 尻尾を切り離したリスが、コレまで以上のスピードで走り回り一発腹に頭突きをくらってしまった。


 しかし、今度はそのままリスを抱え込み、リスの腹に膝蹴りを返してやる。


 そのまま肩口に噛み付いてくるリスをそのまま抱きつくようにズリズリと動かし、木の前で、


武技 撃突


 肩に付いた角でリスの腹にもう一度ぶち込む。逃げ場の無い場所で喰らわせた一撃に、動きが鈍ったリスを全員で一斉攻撃して倒しきる。


 「本当に凶暴でしたね……」


 「こりゃいい敵だ。回復したらまた狩ろうぜ。最近【古都】周辺に敵になる相手がいなくて弛んでたしな」


 「そうですね!よし!リス狩り修行でお腹すかせて、あとは隊長にリスご飯作ってもらうとしましょう!」


 うん、隊長も大概だが、こうやって勝手にご飯係にされたり苦労もしてるんだろうな……。


 ちなみに、リスか~とか言いながら普通にクリームシチューとか作っちゃう隊長は普段何食べてるんだろうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] チタタプ…チタタプ…
[一言] もっっふりした尻尾 何か、作れそう……………ww
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