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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
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70.変人と料理

 あくる日の事【料理番】をしていたら、隊長も今日は【料理番】らしい。


 若干いつも後から現れるのは生活時間帯の問題だろうか?


 しかし、世界救ったのに【料理番】てどういう事?もっとこう……軍上層部で働くんじゃないの?


 まあゲームだから、せめて100人連れてレギオンボス討伐を依頼されたりとかさ。


 自分は軍狼以来レギオンボス討伐はやっていないが、上層部ならそういう任務もありそうなものだが……。


 ちょっと聞いてみるか!【料理番】は慣れれば余裕のある任務だし、話しを聞くには丁度いい。


 「あの、この前はお世話になりました」


 「別にいいよ。そういうの苦手だからさっさと立ち去ったんだし」

 

 「そうですか。ところで、隊長は何か世界を救ったって聞いたんですけど、なんで【古都】で【料理番】してるんですか?」


 「え?任務だからだけど?あと世界救ったとかは大袈裟な話で、何か頼まれて世界一周ぐるっと巡ってきただけだよ」


 「はぁ、それでも世界を巡るのはちょっと考えられないですね。自分はまだ【帝国】しか分からないので、実際どれ位フィールドが広いかも分からないですし」


 「まあ、そこは自分の所属が輜重隊だからね。【輸送】任務が主なんで、歩くって言うか移動が得意だからじゃない?流石に歩きで世界一周は時間かかったし、大変ではあったかな」


 「歩きで世界一周だと【海国】とかはどうしたんですか?」


 「そりゃ泳いだよ。山や崖は登るし、海は泳ぐ。そういうロングクエストだったんだと思うよ」


 「船とかじゃないんですね。それはちょっとただ事じゃないですね」


 「まあ、海底とかも行かなきゃならなかったから、仕方ないね。<泳ぎ>のスキル鍛えなきゃどうしようもないじゃない」


 うーん、何か言ってる事がおかしいが、こうして隣り合って皿洗いしてるだけでも凄みが違う。


 何しろ、自分が皿一枚洗っている間に、自分が洗った皿を拭いて片付け。


 料理の下拵えをして料理長に渡し、戻ってきて何枚か洗い終わった皿を拭いて片付け、


 出来た料理を配膳している。


 訳の分からない処理速度だ。なんで今更【料理番】をする必要があるんだか。


 「そう言えば、クラーヴンさんから聞いたんですけど、隊長も装備が壊れたとか」


 「うん、まあクラーヴンに任せておけば問題ないから、全部ぶん投げた。でも出かける事もできないし【料理番】でもやろうかなってさ」


 「はぁ【帝都】とかで働くわけじゃないんですね」


 「ええ……嫌だよ。お偉いさんとか苦手なんだよね。まあ【帝国】はお偉いさんも皆偉そうにしないって言うか、実力ともなってこそって感じだし、まだいい方だけどさ」


 「そうなんですか。それでその装備を破壊する魔物なんですけど、自分はなんか瘴気生物っていうのにやられて」


 「死に戻ったの?」


 「いえ、勝つには勝てたんですが、装備全損です」


 「へ~!凄いじゃん!自分は始めて戦った時飲み込まれて死に戻っちゃったんだよね~。いや~最近じゃスライムも強くなったもんだね。自分が若い頃ゲームのスライムと言えば、最初の村付近の魔物だったのに」


 「瘴気生物ってスライムだったんですか?」


 「そうだよ?明らかに生物じゃないじゃん。普通は生物が魔素で変質して魔物って言われるんだけど、魔素つまり瘴気から直接現れるのがスライム。つまり純粋な瘴気生物なんだって、そのスライムが寄生するのか、魔物の変質が進むのか分からないけど、高濃度瘴気下だと魔物がどんどん異形化していくって訳らしいよ」


 「そうだったんですか、それにしてもスライム厄介ですよね。装備は壊されちゃうのに、何にも落とさないって言う……」


 「ああ、多分だけど身体能力の余力とかスキル熟練度に大量ボーナスが入ってるよ。自分はあまり戦闘しない方なのに、急激に身体能力が上がったの多分その所為だから」


 そんなカラクリが……。つい考え事をしている内に、大体の業務が終わってしまった。やはり隊長早過ぎる!


 「お蔭様であっという間に任務終わっちゃいました」


 「そう?こんなもんじゃない?さて今日は何食べようかな~。何食べたい?」


 「え?急にそんなこと言われても普通にこのまま食堂で食べればいいじゃないですか」


 「まあ疲れてる時はそうするけど、普段は自分で作る事が多いからな~。何でもいいからおいしい物と言えば?」


 「え?蟹とか?」


 「いいね!蟹にしよう!<解体>持ってる?」


 「いえ【狩人】のジョブは持ってないので、無いです」


 「そっか、じゃあ<採集>で、がんばるしかないか」


 「ちょっと待ってください!隊長が帰ってきたと思ったら、蟹の相談ですか!抜け駆けは許しませんよ!」


 いきなり食堂に現れたルークに何故か怒られた。


 「丁度いいや。蟹食べるから一緒に狩りに行こう。自分とこっちの……」


 「ソタローです」


 「ソタローは装備壊れてるから、支給装備になるけど大河の蟹なら何とかなるでしょ」


 「あれって淡水の蟹ですけど、食べれるんですか?」


 「多分いける。沢蟹も食べれるし、火を通せば足の生えてる物なら大抵いける」


 いやいやいや、やっぱり絶対おかしいこの人。


 「じゃあ、自分は人数集めてきますね!後二人いればパーティになるし、蟹食べたい人探してきます!」


 元気よく飛び出すルーク。


 そういえば、何で自分も蟹食べる事になってるんだろうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 隊長ちゃんと先輩してんなーとソタローくん視点だと思えてしまう不具合。ソタローの後輩力のせいかもしれんけど。 蟹食べて〜。
[一言] 普通(?)に会話してるだけなのに困惑巻き起こす隊長はさすがですわ、笑。 ソタローくん、諦めて一緒に蟹を食べようね。
[一言] 食欲に全力なルーク(笑) 運がよければ、何かを良いものを貰えるし、解体スキルは上がるし、良いこと尽くめ(//∇//)
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