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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
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69.変人と【訓練】

 それから目標に向かって任務をこなす日々、ちなみに新術はまだ取得してない。


 術の取得じゃなくて、いつでも取得しても言いように精神力のコントロールを徹底的に覚えさせられている。


 もしかしたら前にニャーコンが言っていたのはこの事かもしれない。


 なにしろ任意で術に込める精神力量を変えられるので、威力調節が可能なのだ。


 効果自体や効果時間、効果範囲など何が伸ばせるのかは術によって異なるのだが、それでもこのコントロール技術だけで、かなり違う。


 例えば <鋼鎧術> 彩光鎧 だと効果範囲が違う。何しろ効果範囲内の相手は強制で自分にタゲを変えてしまうので、範囲を調整できるだけで、どれだけ便利か。


 何ならフィールドで、広範囲に使えば一気に魔物が集まってくるので、罠張って蹴散らすだけで儲けが出る。今や【巡回】の定番になってしまった。


 本格的に装備を揃えて魔物を狩りつくす日が楽しみだ。


 そしてこの修行をする事で、術威力や精神力がぐんぐん伸びるので、今後術が増えるのが楽しみで仕方ない。


 まあ、ホアン師匠とも話したが、多分撃ち合いじゃ負けるし、デバフは相殺される。


 やはりセルフバフで身体能力を高め、なんなら状態異常にも対応出来たらこの上ないなと、妄想が膨らむ。


 ちなみに新術は取得していないが、術の【訓練】をしていたおかげで<鋼鎧術>は増えた。


鋼鎧術 空流鎧


 遂に来た動ける術!ただし両手に何も持って無い状態じゃなきゃ発動しない。


 動きが軽くなってフルプレートじゃ動きに制限がかかる筈の<蹴り>を軽々蹴れる。


 物凄く早くなるわけじゃないが、通常兵装のヒトと同等に動けるってだけでかなり助かるのは間違いない。


 なので、剣を仕舞い、盾を背負って発動して移動すれば、行軍がスムーズって事。まだ装備が出来てないので試してはいないが訓練場を走る分には間違いない。


 そんなこんな日常を過ごしていたら、


 今日は初心者服の人が訓練場に現れた。


 しかし到底初心者の佇まいじゃない。自然に立っているだけで、なんか教官に近い空気感。


 横目でちらちら見ていたが、まず訓練場を走るスピードが異常。


 馬か何かのスピード。何なら軍狼すらあんなに速くなかったんじゃない?


 それでも軽く慣らした程度のようで、全然疲れる様子すらない。ゲーム内の体力と言う概念どこに置いてきた?


 うん、あんな人と絶対やりあいたくない。そんな事を思っていると、


 「おーい!ソタロー!ニューター同士で1:1やれ!中々無い機会だし、楽しめよ!」


 まあ大抵そんなもんだ。


 「「よろしくお願いします」」


 嫌だなとは思いつつ、まあ【訓練】だしと思って中盾とブロードソードを持って、対面に構える。


 相手はショートソード一本の超軽装。


 とりあえず、剣を高く構えてじりじりと間合いを詰める。まずは相手の攻撃に対応して盾で迎撃しよう。


 そこから体勢を崩してこちらに流れを作る予定。


 何しろ相手はスピードタイプ。翻弄されないのが一番大事だ。どっしり構えて迎撃がいいと思う。


 軽くショートソードで肩を叩いたなと思った時には、剣先が迫っていた。


 反射で盾を使い防御したが、一気に冷や汗が噴出す。


 しかし、思ったほどの衝撃は無く軽くコツンと当てる程度。挨拶代わりだったのかなと思い、盾を開けば、もういない。


 一瞬前まで盾裏にシルエットがあった筈なのに……。


 いきなり盾を持つ腕に衝撃が走った。サイドに廻られて斬られたみたい。


 何しろもう何をされているのか分からない。


 とにかく振り向こうとしたら、盾を抑えられ振り向けず、膝裏に衝撃を感じ体勢を崩したら、


 後頭部から剣を突き抜かれる。


 体が硬直して動けない隙に背中を滅多切りにされて、


 やっとの思いで後ろを振り返れば目の前にいたのでとにかく必死で剣を振れば、軽く受け止められまた硬直。


 指をピンポイントで斬る神業を見せられ、教官のストップが入る。


 何かもう満身創痍。案山子の方がいい仕事するんじゃないかってくらい圧倒されてしまった。


 その後どうやら自分の評価を教官と相手でしてるみたいだけど、絶対初心者じゃない。


 何で初心者装備でうろついてるんだ?……自分も初心者装備だった。


 せめて支給の重装備にしておけばもう少し戦えたか……、無理だなもっと翻弄されて一発目の突きすら防御できなかったわ。


 「ナイスファイト!ソタロー!いい戦いだったよ」


 「いや、一方的にボコボコにされただけなんですが」


 「そんなことは無い。アレだけ早い相手にちゃんと攻撃を耐えていたって事は、反射で体を柔らかく使ってダメージを散らしていた証拠さ!成長したね!ピンポイントで指を斬られてしまったのは相手の技量が優れていたんだから仕方ない。後はもっと落ち着く事さ。あの大振りの斬りつけが無ければ、もうちょっとやれていた筈さ!」

 

 確かに、焦って剣を振ってしまったのがトドメに繋がったと見て、間違いないか。せめて盾や<蹴り>を一発でも当てられてればな。


 「何者なんですかね。いくらなんでも強すぎますよ」


 「何だ気が付いていなかったのかい?ソタローの追っていた隊長だろう?先日正式に『隊長』という名称が、彼を指すものだと決まったばかりだ」


 「え?じゃあ、部隊長とかの名称はどうなるんですか?」


 「それもそのままだよ。要は隊長と言えば彼を指す言葉になった訳だ。将軍と言えば【帝国】なら13英雄、【王国】なら護国の将軍を指すようにね」


 「なんか、凄い人なんですね」


 「そりゃね。非公式ながら世界を救ってきたらしいよ。ちょっと意味が分からないね」


 そんなこんな話ている内に、いかにも高官と分かる軍服の人が二人現れ隊長と対峙。


 アレだけ速かった隊長がボコボコニされてるのを見て、


 「やっぱり【帝国】の上の人は化け物なんだ……」


 「そりゃそうだよ。あの二人は憲兵総監と軍務尚書だもの、それぞれの役職では国のトップだ。勝てるわけが無い」


 まだまだ先は長いな……。

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― 新着の感想 ―
[一言] おぉ、ソタロー、初の隊長戦 善戦したなら、よし(//∇//)
[一言] ソタロー君ナイスファイト!
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