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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
68/363

67.偉いヒト

 試練と瘴気生物討伐を乗り越えた日はもうそれで限界だったので、翌日再ログイン。


 しかしまあ、改めて全部装備を失ったんだなと思うと、中々虚しいものがあるな。


 素材もお金もあるし、クラーヴンさんに頼めばなんとでもなるのは分かってるんだけど、どうするか。


 拘っても、また全損の可能性があると思うと、中々踏み切れない。寧ろ程々の装備でいいんじゃないかと。


 でもゲームってやっぱりその時の最高状態の装備で攻略したいもんな。


 ある程度の装備でもし負けたら、あの時ちゃんと装備をしっかりしておけば!って絶対後悔するもん。


 ……あれか、瘴気生物?と戦うクエストが発生した時専用のサブ装備を用意すればいいのか!


 まあ今回は授業料だと思うしかない。攻略が進めばきっともっと強い装備を使う事になるんだから、早めに装備破壊タイプの敵がいると分かって良かった。


 そうと決まれば、まずクラーヴンさんの所へ!と思って【兵舎】から出かけようとすると、カウンターで見た事のない身分の高そうな服装の男性が兵長と話していた。


 邪魔しちゃ悪いと思って、後ろをさくっとすり抜けようとした所で、兵長に声をかけられてしまった。


 「ソタロー!お客さんだぞ」


 お客さんって!何か身分高そうなヒトにお客さんだぞって!


 ああ……兵長も東部司令官だし偉いんだった……。


 「はじめまして、ソタローと申します」


 「そうか、君か。私は一応国務尚書という役職に付いている者だがね。長年に渡り【帝国】民達がやきもきしていた問題である白竜様の楔を抜いた英雄である君に直接会ってみたくて訪ねてきたのだ」


 「そうでしたか。すみませんコクムショウショと言うのが、どういった役職か存じ上げないのですが、お忙しい所お越しいただきまして……」


 「ああ、別に無理しなくていい。急に来てしまって私の方こそ悪かったね。どうしても直接この目で君を見てみたかったのでね。難しい話をしにきたわけではないのだよ。功には賞で、罪には罰で報いる事が政治の根幹であり、平等と言う物だ。つまり、君は何が欲しい?」


 ぐぅ……一番苦手な問いをしてくる。


 今は装備を更新するつもりだけど、別に素材もお金も伝手もあるから、そこまで欲しいのかって言われても困るし、隊長と会うのは自分で何とかするつもりだし、他に……。


 「いや、特にはないです」


 「ふむ、面白いな。無欲と言うわけではなさそうだが?そうか他人に頼って何かを手に入れるとか、どうしても成し遂げたい事が無いのか。若いうちはよくある事だ。じゃあ、逆に他人の為に何か権力を使えるとしたらどうしたい?」


 他人の為に自分の出来ない事を変わりにかなえてくれるって事?なんだそりゃ?


 でもそれなら一個ある。


 「スルージャって言う【兵士】が絵の勉強をしたいらしいんですけど、何とかなりますか?」


 「ふむ、他人の事はあっさりと答えるのだな。分かった手配しよう。もう一個だけ質問しよう君は今の【帝国】をどう思う?」


 「どうって言われても、寒いですかね」


 「確かに、寒く厳しい地だ。それ故先祖は白竜様に願って人々が協力して暮らせるように国家統一を成した訳だ。そして白竜様の望みに応えるべく力をつけようとする民の純粋さも私は好んでいる」


 「力といえば……何か筋力ばっかり鍛えすぎですかね。そんなこと言う自分も筋力が物を言う金属プレート装備ですけど」


 「ほう……筋力重視の問題点に気が付いているのか……勿論筋力は重要だし、私自身も鍛錬を欠かした事はないが、なるほどな。ふむ有意義な時間だった。一応君自身は別に望んでいないだろうが、国として君に何も褒賞を与えないというわけにも行くまい。十分な金銭及び壊れてしまった装備の代替素材を提供しよう。何よりまだ一つ目だ。君さえその気なら引き続き白竜様の復活の為に尽力してもらいたい。では失礼するよ」

 

 そう言って、颯爽と立ち去るコクムショウショ?


 随分と身分高そうだけど一人でフラッと出歩いていたので、どうなのだろう?


 何より以前ルークが言ってたけど【帝国】の上のヒト程細身だけど強いって話しだし、多分あのヒトも強い。


 「まあ、随分と目をかけられたもんだなソタローも」


 「そうなんですか?」


 「そりゃ内政のトップが直接見に来るなんてそうそう無いぞ?非公式の対面て事にする為に一人で来たんだろうがな」


 「いやトップって宰相じゃなかったでしたっけ?」


 「ああ、そりゃ古い言い方だな。白竜様を頂点とした時の名称だぞ。宰相家って言い方は今でもするけどな」


 「ええぇぇぇぇぇ……一人で出歩かせちゃ駄目じゃないですか」


 「まあ、勝手に出歩いちまったんだろう。偉い奴らは割りとそういうところあるからな。なまじの【兵士】より戦闘力があって、雪道の走破能力も高い。ついでに地方査察もこなしちまおうって言う……」


 「いやいや、普通に忙しいでしょうに、何言ってるんですか!」


 「だから、そういう手配すらも人任せにするより自分でやったほうが早いから偉いんだろ。あらゆる意味で上に行くほど化け物なんだよこの国は」


 もう、本当に意味分かんない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 宰相さん ソタローは国務相じゃ無くて、コクムショウさんだと思ってるなんて、思いもしないんだろうな……………ww ついに、ついにであってしまった コクムショウVSソタロー…
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