60.反省と祭壇
ニャーコンにかかった凍結デバフを解除し、ガンモの第一声が、
「悪かったなソタロー足引っ張っちまった」
何で自分に謝るのか分からない。
「いや、自分こそちゃんと皆守れなかったし、まだ【訓練】不足だった」
「そんな事無いだろ!俺が最初にソタローの盾にバフ掛けておけば、あのツララダメージの硬直は無かったんだから、俺の判断ミスだよ」
「いやそれは開幕なんだから仕方ねぇよ!俺が連射用の短弓使いのクセに撃ち負けて潮目が完全にあっちに向いたんだから、俺の所為だわ」
「おい!皆で俺が悪い俺が悪いなんて言ってても、話が進まないだろ。俺の目から見てソタローだけは優勢に戦えると思ったぜ。だけど俺達が完全に足を引っ張って、その対応でソタローは振り回されただけだ」
「えぇぇ……、でもまあ今回相手の動きは分かったんだし、準備を整えてもう一度やれば、何とかなるんじゃ?」
「……ごめん。正直今まで術ってのは必要に応じて使えばいいって思ってたけど、何か今回の相手は別格だったわ。緩急があるって言うか……正直勝てる相手には思えなかった」
「俺も是が非でも弓術を身につける事とボウガンに勝てる方法調べねぇえと……当分はやっぱり無理かな」
「すまん、俺も一瞬で間合い詰められて串刺しで、どう対応していいのかさっぱり分からなかった」
自分は、どうだったろうか?
いつの間にか間合いを詰められたり、速いなとは感じたが、元々遅い自分にしてみれば誰でも速いし、
対応できたのかな?
せめて剣型のあの一体だけなら、戦えたのかな?
でも一発当てる度に崩れて、すぐに復元する相手をどう倒せばいいのだろうか?
そんな事を考えながらつい無口になって、今日は一旦引き上げ。
何も喋らぬまま【古都】に辿り着き解散。
【兵舎】に向かい兵長の顔を見て、つい相談してみたくなる。
完膚なきまでに負けた相手と戦うヒントが貰えればと、それだけのつもりだったのだが、
「あの北西に遺跡?みたいなのがあって……」
「あ?白竜様の祭壇の事か?」
……流石、東部司令官。全部知ってるのかよ!
「分からないですけど氷の中に鏃?が安置されてる建物です」
「じゃあ、間違いないな。なんだ、興味あるのか?ソタローももうそういう年頃か~」
「いや、年頃とかじゃなくてですね!」
「なんだなんだ?勢いづいて、何かあったのか?」
「片手が剣の何かと戦って逃げてきました」
「ほぅ……そうか試練を受けたのか。単独ならまあいい勝負だったんじゃないか?」
「いえ、4人で挑んで完膚なきまでにやられました」
「あ~~なるほどな。まあそれは【訓練】して実力つけて再挑戦するしかないだろうな。結局実力が物を言う場所だ」
「なんか普通に知ってるみたいですけど、あそこは一体何の祭壇?なんですか」
「だから白竜様の祭壇だよ。大昔【帝国】がまだ統一されてなかった頃から白竜様は信仰の対象だったわけだ。その頃からある遺跡だな」
「それが、何で試練なんか?」
「書いてあったろ?楔を抜く者ってよ。白竜様を眠りから解き放つ為に必要な事なんだよ」
「信仰の対象を眠りから目覚めさせるのに放置なんですか?」
「あの奥は瘴気で満ちててな俺達じゃ到底入れない。【教国】の力を借りれば入るだけは出来るかもしれないが、この国の問題に首を突っ込まれたくない。そして祭壇は一つじゃない」
「ないない尽くしですか……」
「だが、ソタロー……お前さんはニューターだ。解決できる可能性はある。もしその気が有るならいつ挑戦してもかまわないぞ」
「いやいや、国の大事じゃないですか。白竜様を目覚めさせるって!そんな重責負えないですよ!」
「別に責任を取らせようとかそんな事は考えてないぞ。ただ白竜様はヒトの子を待っているんだ。強くなったヒトの子をな。しかし強いも弱いも瘴気の所為で阻まれたんじゃな……」
うぅむ、何とも大事に巻き込まれたぞこれは……。
ガンモ達がなんか変な石見つけたってだけの話だと思ったのに……、
まぁ、元々は白竜の像が向いている方向に何かあるかもしれない!って所から始まってるから白竜関連かもしれないとは思ったけど、
こんなあっさりと白竜の眠り関連のイベントって……。
クリアしたら白竜とご対面!って事?そりゃ会いたいとは思ったけど……。
「そうだ!奥の様子が分かるってことは、試練自体はクリアしたヒトがいるんですよね?攻撃しただけで崩れ落ちて、復元する相手をどうやって倒すんですか?」
「ん~それを考えるのも試練だと思うが、まあいいか!その手の相手を倒す方法は限られてくる。一つは術で削る。もう一つは核を見つけて何とかするだな」
「自分は今防御用の術しか持ってないので、無理そうですね」
「頑張って核を見つけるんだな。これからも色んな魔物を相手にするんだったら大事な事だぞ」
ふむ……次の挑戦がいつになるか分からないけど、ホアンさんに相談して【訓練】つけてもらうしかないか。