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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
52/363

51.【訓練】(キラキラ)

 意味の分からない所も多かったが、なんだか胸が熱くなる動画に、もっと鍛えねばと湧き上がる衝動。


 そうなればやる事は決まってる【訓練】だ!


 ログインしてすぐ兵長の所に向かい任務票を受け取り、訓練場へと向かう。


 「教官!よろしくお願いします!」


 「お!ソタロー!気合入ってるじゃないか!丁度いいタイミングだぞ」


 「え?タイミング?」


 「そうだ、前から言ってたろフルプレートの師匠を探してやるってな」


 「見つかったんですか?」


 「まあな。相手が相手だけにあまり期待はしていなかったんだが、フルプレートの【兵士】を育てたいと伝えたら、それはもう積極的にそれはもう熱量を持って応えてくれてな」


 「ええ……どんな相手ですか?」


 「僕だよ!!!」


 現れたのは靡く綺麗な金髪から光る何かがキラキラと流れ落ちる様な幻覚を見せてくる。


 イケメン?


 「はじめまして、ソタローです」


 「うん!いいね!ちゃんと自分から名乗れるなんて好感度急上昇中だ!僕はルクレイツァの兄……ホアンだ!」


 「よろしくご教授お願いします。【帝国】では数少ないプレートメイル装備の使い手と伺いました」


 「うん……うん!とても礼儀正しい!だが今日から僕と君は師と弟子。そんなに堅くなる事はない!何でも打ち明けたらいいさ!」


 「はぁ……あの、ありがとうございます?それで一体何から始めますか?」


 「まず、何故ヒトはフルプレートを身につけるのか?」


 「え?問いかけですか?え……?…………愛?」


 「パァァァァァァフェクト!!!そう、全てを受け入れる覚悟。それがフルプレーーーーートだ!」


 「いや、生身で受け入れたほうがいいんじゃ?」


 「……ソタローは神にでもなる気かい?いや気持ちは分かる。僕も若い頃はそうだった。誰でもきっと分かり合えるとね……ソタローは純粋だね……」


 額に手を当て、空を仰ぐホアンさん。悪い人じゃ無いんだろうが、気持ち悪い。


 「あの~それで何からやりますか?」


 「ふふ、ソタローは若いね。とてもいい事だ。分かったその若さに応えようじゃないか!まずは全力で攻撃してきたまえ!」


 「ええェェ……何で一方的に……」


 「さっきも言っただろう全てを受け入れる覚悟だと、手本を見せないでどうするんだい?そうだな、もし僕が君の全てを受け入れられないなら、師匠と認めなくていい」


 「じゃあ、受け入れられたら?」


 「何も無い。このまま僕の教えを受けて一段強くなってくれればそれでいいさ」


 凄いいいヒトだ!気持ち悪いけど、ここまで底なしにいい人なんているのだろうか?


 「じゃあ、行きます」


 盾を構えじりじりとにじり寄り、


武技 盾衝


 手ごたえと同時に盾から出て剣を振ると、思った以上に飛ばされてるホアンさん。


 思いっきり空振りし、体勢を崩した所にホアンさんがいつの間にか再び間合いを詰めて言う。


 「うん、慎重に距離を詰めてから相手の体勢を崩して、更にパワーの乗った一撃。見事だが、それは大型魔物だから通用する戦闘法だね。ヒト相手じゃ君の筋力では吹き飛ばしてしまうよ」


 なんと……散々魔物を狩って鍛えてきた戦闘法じゃ、ヒトには通用しないと……。


 「え?じゃあ自分は対人戦にむかないって事ですか?」


 「いやいや、そんな事はない。ただヒト相手では戦い方も変わるからもっと学んだ方がいいって事さ!」


 再び、距離を取り、


 「行きます!」


 「うん待とうか。盾を構えて前進するのはとてもいい。多分盾裏の状態も確認できている動きだ。そこでいきなり武技を使用しない事だね。武技は強力だし戦闘を組み立てるのに使いやすいが、もう少し性質を見極めた方がいい。ソタローの武技は距離を取る物だ。つまり密着されたくない時に使う」


 「じゃあ逆に距離を詰めて戦いたい自分にはいらない武技でしたか」


 「いや、相手が近接で強力な攻撃を仕掛けて来たらカウンターで使えば回避できるかもしれないし、悪くないだろう」


 今は自分が一方的に攻撃を仕掛けるターンなので、武技は必要ないって事か……。


 しかし盾を前に構えている以上、まずは盾で一発当てたい所。


 真っ直ぐ盾で殴り、剣で相手の左脇を抉るように水平にフルスイング、


 そこから追撃のローキック。


 「うん、いいね~いいね~!もっと来なさい!」


 一々気持ち悪いんだが、仕方ない。


 相手の胴に前蹴り、からの剣で唐竹割り、


武技 衝突


 ……気持ち悪くてまた突き放しちゃった。


 「あのなんか一方的に殴っていて悪い気しかしないんですが……」


 「そうかい?でも僕は大したダメージを貰ってないよ?いくら能力に差があるからと言って、ソタローの攻撃力で殴れば大抵怪我してしまう物だがね」


 「う……え???」


 「ふふ、コレが受け入れるという事さ。僕達の様にフルプレート装備の者からすれば、大抵の相手はとても早い。攻防の出入りが早くて追いつかないのが当たり前なんだ。じゃあ逆に僕達の利点は?」


 「防御力って事ですか?」


 「ご名答!全身どこでも防御可能な上に<防御>スキルでその能力を上乗せできる。相手だって攻撃せねば僕達を倒せない。でも攻撃してくれば絶好の間合いに入ってくる。受けると同時に攻撃。僕達はダメージを殆ど貰わないのに、相手にはソタローの筋力の乗った重剣が降ってくる。これは脅威だね!」


 「なるほど、しかしホアンさんはとても細身に見えるのに、よくアレだけ攻撃してもビクともしないですよね。やはり受け方にコツが?」


 「う、うん。コツはあるけど、筋肉の事は言わないでくれ。母に似たのかどれだけ筋トレしても筋肉がつかないんだ。僕はもっと熱く汗臭いマッッッチョになりたいって言うのに!こんな細身の体で仲間の前に立ってもきっと仲間を不安がらせてしまっているに違いない!」


 いいヒトなんだろうが、どうにも気持ち悪い。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルークの本名がキラキラだったw そしてルークが女の子で良かったと兄を見て思った
[一言] 謝れ…!細身のカッコいい男性目指してハガ◯ンの肉屋のおっさん体型になった私に謝れ…!(私念は止めましょう)
[一言] ソタロー…………… 教師が すごいな(笑) う~ん、フルプレートなら、本当は隊長のおじぃちゃんとかに教わったら、正統派の重戦士になれるけど、国、違うしな~ 雪国…
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