50.楽しいサバイバル(見学)
装備を整えて後は行軍がグッと楽になり【輸送】も害獣【駆除】も楽々と進む。
自分の成長も十分でスキルもまた二つ合成できた。
<軍術士>=<指揮>+<戦陣術>+<戦法>+<策戦>
戦闘教義・・・指揮及び士気管理補助
戦力運用・・・<戦陣術>強化
率先垂範・・・指揮官として直接戦闘するほど士気上昇
<探険者>=<言語><分析><歩法><難路>
探険心得・・・ヒント発見、状況分析、悪路走破
地形適応・・・特殊地形走破補助
状況把握・・・戦闘状況<分析>補助
<焚気><塞剣士>
<圧迫><軍術士><武技士>
<治療士><体操士>
控え
<簡易調理><手入れ><行軍><探険者>
とまあ、こんな感じ。
ようやっと落ち着いたな~なんて思ったら<統法>覚えろって言われたけど……。
まあ<戦法>の人数多い版?みたいな感じだし何とかなるだろう。
そんなこんな過ごしていたら、次のイベント『楽しいサバイバル』が始まった。
これはどうやら各ダンジョンの初クリア者が参加出来るようだが、そもそもクリア者が少なく、クリア出来るだけでも一つ上のプレイヤーだと認められている様で、特に不満や非難も無くイベントが始まった。
イベントはただでさえ3倍速のゲームに上乗せの倍速なので、運営が編集した動画しか見ようが無いのだが、
どのプレイヤーも禄に装備すらない状態からのスタート。
だから生産プレイヤーが必要だったのかという納得とイベントのエグさ。
初めはビエーラさん達を応援しようと見ていたが、隊長が参加していた。
装備の無いほぼ素のステータスとスキルでのぶつかり合いが見れるのかと、興奮し思わず見入ってしまう。
最初は誰もが順調だったが、一日目夜になる頃には食事を作れるかどうかで運命の別れ道。
ビエーラさんや闘技場プレイヤー?多分素手使いと見られる集団が、一斉に隊長達に襲い掛かる……。
と思いきや、何故か和解して隊長の作ったご飯を食べ始めるという謎展開。
隊長のパーティだが、隊長含めても3人しかいない。
あのダンジョンを3人でクリアしてしまったというのだろうか?だとすると誰が生産プレイヤー?
……隊長か……せっせと拾った武器防具手入れしてるもんな。
一応隊長と一緒にいるお爺ちゃん?も草をむしっているが何かを作っている様子は無い。
隊長パーティの三人を見ていると明らかに異常だ。
隊長は何しろ戦闘になると残像しか見えないほど早い。カヴァリーさんも早かったがあくまで剣が見えないという程度、姿がぶれるって完全に何かおかしい。
そして一緒にいるなんかやたら爽やかでアンニュイな王子様の雰囲気を醸し出すプレイヤーもおかしい。意味分からないほど早い。って言うか消える。
最後にお爺ちゃんプレイヤーだが、スピードは普通。だけど筋力が異常……。
自分もそれなりに鍛えられてきたつもりだけど、お爺ちゃんのパワーは異常。筋力鍛えてきた自分だから分かる。
ユニオンボスを弾き飛ばすって、化け物だから……。
もう……この三人は世界最高戦力探してそろえましたって言われても信じるしかない。
この三人と比べれば、ビエーラさんは遠距離攻撃に徹して、アンデルセンさんも補助要員。非常に渋い役どころ。
素手のパーティも真っ赤な髪のお姉さんは底知れないが、他は普通。
ん~料理も手入れも探索もこなしつつ、戦闘指揮をしていざとなれば直接戦闘も可能。
コレが自分の目から見た隊長の評価。
ホントに訳がわからない。
途中崖も簡単に登ってたし、どういうスキル構成ならこんな事になるんだろうか?
汎用スキル中心の【兵士】だから出来る事なんだろうと思うが、汎用にもほどがあるし、
何なら特化すらも倒せそうなの……なんで?
しかし、今回のイベントのクリア方法は脱出。
一番最初に脱出した者勝ち。
隊長達は途中で行き詰ってしまった。どうなるのかな?と思ったら、
時は数日遡り嵐の岬ダイジェストに変わった。
バルトさんにもお世話になっているし、コレも注目だと見ていたが、何にも起きない。
普通に海岸で魚とってご飯を食べて、適当な魔物を倒して装備を充実させるだけ。何にも進まない。
結局何を思ったか、池にはまったイルカを助けようと堰きとめられた川の流れを直すべく、川に詰まったバリケードを破壊し始める。
途中ボスらしき敵が出てくるが、あっさりと倒してそのボスから奪った鈍器で結局バリケードを破壊。
川が流れ始めると、皆で小屋で休んで、起きたらイルカに会いに行き、
バルトさんがイルカに誘拐されて、終了。
……一体何を見せられたのか全く理解できなかったが、
現状一つ上のプレイヤーと言ってもいいダンジョンクリア者達の戦闘や日常の動きを勉強できたって言うことにしておこう!
何より自分にとって隊長の能力や動きって言うのは特別な意味を持つ。
今でこそすっかり見なくなった、隊長目的のプレイヤー達。
自分は今でもずっと意識している。しかし今日その動きを見て、頭を抱えている。
あんなスピードで動く相手とどう戦おうか……。
ゲームを始めたばかりの頃は、ただ隊長の事を知りたかっただけなのに、今は戦ってみたくなっている。