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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
343/363

342.治安悪化?

 元皇帝派との衝突の報が入り、町での戦いという極小規模なものとは言え、コレは今後を占う大事な一戦になると全身に力が入る。


 ローシャの【騎兵】隊は既に出発し、自分も一番行軍の慣れた【古都】で部下だった者達と中隊を組んで進軍開始。


 向う場所は狭いし、1000人も展開したら寧ろ町を潰してしまうので、少数精鋭で向うことを薦められたが、正直二中隊でも多い気がする。それ位【古都】に近づくほど道は狭く険しく来るもの拒む地となっている。


 兎にも角にも自分に出来る最速で現地の町へと向かい辿り着くと、既に戦闘は終わっていた。


 と言うか【騎兵】隊どころか敵と遭遇した筈の【歩兵】部隊もこれと言って被害はなかったようだ。


 「状況は?」


 丁度目に映ったローシャに聞いてみる。


 「将軍!お疲れ様です。どうやら現地では戦闘はなかったようです」


 「でも、元皇帝派と衝突したんじゃ?」


 「はい、対峙する所まではいったそうなのですが……」


 ローシャの歯切れが悪くなった所に、地味な【歩兵】が前に出た。


 「報告します!この町は宰相派に入りたいとの事で、戦闘前に町の代表と話がつき、皇帝派はこの町の占領を諦めました」


 「諦めましたって!そんな簡単に出来るの?命令違反にならない?」


 【歩兵】が小首をかしげた所に、今度はローシャが話し始める。


 「双方の勢力がそれぞれに少しでも支配地域を増やしたいのが現状ですし、戦後の事も考えて無体な事はしないでしょう。それよりこの町の代表に会いましょう」


 ローシャにうながされ町長の家にお邪魔すると、白髪に綺麗に整えた白い髭のおじいさんが待っていた。


 「これはこれは、ご足労戴きまして、お出迎えもせずに……」


 「いえ、お気遣いなく。それよりこの度は宰相派にご協力いただけると言う事で、お礼を申し上げます」


 「そうでしたか。我々も皇帝派につかず時間を稼いだ甲斐があったというものです」


 「東部に属するこの町が皇帝派の傘下に入っていなかった事に疑問を感じていたんですが、何か上手く時間を稼いでたんですね?」


 「いえ?単純にのらりくらりとかわしてただけですね」


 「それで、占領されなかったって……一体皇帝派にはどんな目的が?」


 「さあ?ただ【古都】近くならいざ知らず、この辺はそんなものですよ?噂の域を越えないですが、日に日に治安が悪くなっているとかで、その対応に追われて占領にあまり力を割けないとか?」


 「戦力を集める能力では皇帝派の方が優れてると聞いてたんですけど、そんなに東側は酷い状況なんですか?やっぱり内乱の所為で?」


 「どうでしょう?内乱ともなればそりゃ多少は治安も悪くなるんでしょうが、この辺は何だかんだ【旧都】に属してる地域ですし、もっと東側に行かないと詳しい状況は分らんですね」


 何だか、お互い疑問符だらけのふわふわな会話になってきてしまったので、一旦話題を変えよう。


 「ところで、町で宰相派を選んでくださったと聞いたんですけど、また何でこちらに?」


 「それはもう、この辺は先ほども申した通り普段は【旧都】に属する町ですから、白竜様の霊廟にもお参りした事ある者が多いですし、白竜様を後ろ盾にしている宰相派につきたいのが人情でしょう。それに町民にも生活がありますから、他の村や町との取引が有利なのも助かりますね」


 「そうですか!分りました。こちらについて頂いたからには、不便をお掛けしない様にすぐに通達します。現在内乱最前線になってしまいましたから、速やかに周辺の町村も占領して、安全も確保しますので、よろしくお願いします」


 「ああそれでしたら【旧都】が落ちた時に、近隣の町長や村長にも会って話したんですけど、この周辺は宰相派で固まってますから、誰か向わせればすぐに占領できますよ」


 ……またか~~~。


 白竜様って言う後ろ盾が大きすぎて、何もするまでもなく全部勝手に落ちるじゃん!


 いや、まあ、そりゃ民に被害が出るとかそういうのは、違うと思うけど、内乱が乱になってない!


 予定調和の様に全部勝手に味方になっていく!


 いいんだけど!いいんだけど!でも自分の望みは、戦うことだ。


 皇帝派と雌雄を決する集団戦をさせて欲しい。


 自分を内乱の中心に据えたんだから、そろそろ大軍のぶつかり合いを!


 気が高ぶり、普段なら他人に言わないような思いが膨らんでいく。


 それでも、次から次へと自分に届けられる知らせは、近隣町村占領の知らせばかりだ。


 しかもどれもこれも、小競り合いの一つもない。


 明るい声の明るい知らせに自分の気持ちは鬱々としていく。


 そんな折、不穏な報せが入り周囲に緊張が走る中、自分はこっそりフルフェイスの冑の下でほくそ笑む。


 「将軍!占領した村が賊の被害に合いました!ご命令を!」


 「速やかに被害状況の調査をお願いします。住民の保障については宰相の判断を仰いでください!賊への対処は、自分がします。おおよそでいいので規模を教えてください」


 「村に侵入したのは小隊程度、ただ近隣にも似た被害があるそうなので、部隊程度の戦力を保持している可能性があります」


 「分りました。賊殲滅に向います。自分が先に出ますので、自分の直属隊は準備で来次第現地集合お願いします!」


 「いや、あの!お一人で?!」


 「ああ、賊を捨て置く事はできない。速やかに対処する必要がある」


 「だからと言って、お一人では……」


 「賊には厳しく対処していい筈だ。まだ大丈夫だろうと思っている内に奇襲をかける。【旧都】は有能な【将官】に任せてある。じゃあもう、行きます!」

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[一言] 賊「八つ当たりの気配を察知」
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