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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
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33.牧場への道のり

 依頼のあった牧場は【古都】西側、まだ行った事のない【旧都】地域との境目辺り、向かうだけでかなりの時間がかかるが、仕方ない。


 今迄本当に【古都】周辺のみの任務を受けてきたんだなと、遠出にちょっとワクワクする。


 なにしろダンジョンに向かうのにもアリェカロのソリで引かれるだけだったので、自分の足で遠距離を移動すると言うのは何気に初めてだ。


 大きな通り沿いは魔物も大した事ないから大丈夫と言われているが、緊張しないわけがないだろう。


 【帝国】は年中雪が降り、ヒトの少ない場所は本当に深く降り積もる地域だ。正直な所、重装備はかなり足が深く埋って移動すら困難である。


 いや、なんなら現状体半分埋ってしまった。いつの間にこんな深くまで埋ってたんだ?


 さて、どうしようか……。


 よく考えたら【古都】の【重装兵】って綿入れに全身チェインメイルだから、自分ほどの重量じゃないじゃん。


 しかも靴も埋りにくそうな雪用長靴みたいなやつだし。


 フルプレートって移動向きじゃないな。どうするか?


 本当にどうしよう。雪の中で立ち往生なんだけど……、


 近くの大きな木下にセーフゾーンがあったので、何とかそこまでは重い体を引きづり、這いずりながら脱出。


 一先ずプレート装甲だけは外して鞄にしまう。内着の毛皮の服だけだが、逆にこれが無いと寒さで移動できないだろう。


 セーフポイントは焚き火で温まる事が出来るが、それこそ移動する事も考えれば、最早この毛皮服で移動する他ない。


 剣と盾、毛皮服、問題は靴だ。支給装備を借りてきてないから、プレートの靴で歩くしかない。


 勿論雪国に合わせて内側は温かい毛皮だが、それでも出来る限り重量を減らしたい。


 まあ仕方ないか。まさか裸足で雪の中を歩くわけにも行かないし頑張るのみ、そして今後は外を歩く用にもう少し装備について工夫しよう。


 ただ歩くだけでかなりの体力を消耗したのか、空腹度が不安な状態だ。


 せめてフライパンと包丁と日持ちする食材だけでも持ち歩くべきだった。ちなみに完成品の料理はすぐ駄目になるって言うのは流石に攻略情報の初心者でもこれだけは知っておけっていうトピックにあったので、分かってる。


 攻略情報も全てを頭に入れているわけではない。最小限必要そうなところだけ斜め読みしただけなので、正直もう少し勉強が必要かもしれない。


 まあ一応味も何も無い店売りの携帯食料だけは持ち歩いているのでこれでお腹を満たす。


 しかし普段は一応それなりにちゃんと作られた物を食べている所為か、全く味の無い物でお腹を満たすと言う事がなんとも物足りない。


 これはなんとしても、外に出たときの食事について改善するべきだ。


 まだまだ課題は多い。


 一休みして、気合を入れなおして牧場に向かう。


 篭手も手袋とくっ付いてるので、足と手は金属のままだが、それでもアーマーや肩当、腰当が無いだけで、かなり体が軽くなり、ちゃんと雪の中でも歩ける。


 雪を歩ける重量制限でもあるのかな?


 そして、村や町を見つけてはマメに逗留し、牧場へ向かう。


 割と大きな道を通ってきた所為か魔物は河鼠と変わらない程度。何なら初心者服でも倒せるので、問題ない。


 脇道に入ってからは多少手ごわい魔物も出てくるが、逆に雪の量が減ったのでフルプレートを再装着して、戦闘を乗り切る。


 どうやら、木の多い場所は多少雪が少ない仕様なのかな?


 出てくる魔物が強くなる分、多少装備重量に関しても配慮してくれてるとか?


 そして脇道沿いの村や町に立ち寄りつつ、気がつくとなだらかな斜面のある広い牧場?


 雪に埋もれた開けた地なのだが、アリェカロが何匹もそこらをうろついているので、牧場だろう!


 入り口と見られる柵の切れ目にある木の門をくぐり、牧場に踏み込むと同時に、


 腰まで埋ってしまった。


 木陰が無いからか、凄い雪が深い。


 何とか這い出そうともがいていると、一匹のアリェカロが近くに寄ってきて、冑を鼻先でトントンと叩いてくる。


 何の事か分からなかったが、あまり金属を鼻先でつついちゃ可愛そうなので、冑を外し胴当てと腰当も外すと、


 ぐいっと自分の服の襟を噛んで引っ張り上げてくるので、その力を借りて、アリェカロの胴体に掴まる。


 体が雪から抜け立ち上がろうとするも、アリェカロが自分を体に掴まらせたままずんずん進む。


 そのまま引きづられていき、家の前に投げ出され、どこかに去ってしまうアリェカロ。


 倒れたまま呆然とアリェカロを見送っていると、


 「ん?行き倒れか?」


 家から住人らしき男が現れ、尋ねられる。


 「いえ、牧場に出る魔物を狩るように料理長から言われて来ました」


 「おう!そうなのか!まあ上がっていけよ」


 そのままアリェカロ同様、自分の襟を掴んで立たせ、家に招き入れてくれた。


 家の中は機密性が高いのか、はたまた暖炉の熱を効率よく家中に届けているのか、ただの仕様なのか。


 とても温かい!


 先ほど自分に尋ねてきた男と奥さんと思われる女性。そして似た男とその奥さん風と、二人の男の両親に見える二人。


 なにぶん奥さん二人以外は顔が似てるので、見分けやすい。


 が、なぜ父親と母親まで顔が似てるのだろうか?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] フルプレートで雪原移動、どうするんですかね? シミュレーションゲームだと雪原タイプユニットがいたりするけど [一言] 農場に着いたのに行き倒れの危機w
[一言] 魔物討伐の舞えに(自分が埋まらないように)雪かきかなぁ(笑) ガンバレソタローww
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