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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
301/363

300.楔高速攻略最終

 いつも通り階段を下りていけば、いつも通りの祭壇、


 氷の中に封じられてる白い欠片に触れれば、氷の壁が砕けて破片が散らばる。


 渦巻くように集まる氷片が、核となる白い破片にまとわりついていく。


 試練の敵はいつも侵入者と同じ数しか生成されない。


 これまではヒトに近い姿を取っていた筈の氷片だが今回は妙に腕の長いゴリラ型?


 唐突に振り回される腕を


殴盾術 獅子打


 盾で迎撃すればあっさり弾き飛ばして崩れ落ちていく。


 やはりこのクエストは邪神の化身戦以前用の物だったのだろう。強度が余りにも低すぎる。


壊剣術 天荒


 重剣をふるって、頭から胴体まで真っ二つに斬り割りながら思う。


 先に高難易度のクエストをクリアしてしまってから、道を引き返して低難度クエストに取りかかる作業感。


 再び元の形に戻ろうと氷片が集まる中心に核がある筈なので、渦の真ん中に


武技 踏殺


 足を差し入れ踏み潰せば、足裏にどうあがいても潰せない塊を感じ取って拾い上げた。


 〔竜の頭骨片〕と言う事はヘルムかな~?と思いつつ一応確認する為に握りこむと案の定、頭がヒヤッとするので、間違いなかろう。


 その奥はいつもの暗い通路、天井を這う蜥蜴の奇襲や、何処から侵入してきたのか獣の攻撃を受けるものの、自分のスキルなら暗くてもシルエットだけは見えているので、あっさりと撃退。


 魔物ってこんなにも弱い生き物だったかな……?


 通路を抜ければ、いつものホール天井には水が見えるが、向きと距離からいって、チーリィ川かな?


 まあ、いいかと水路を下っていく。瘴気の所為で異形化した水中生物達を片っ端から狩り取る。


 蟹が出てきた時は泡を吹く前に、


壊剣術 天崩


 重剣を巨大化してぶん殴るのみだ。


 狭い水路の中蟹の逃げ場は無く、自分も振りきる幅もないのだが、もう伸ばしてゴリゴリやるだけで蟹を倒せてしまう。


 【王国】の平原や【馬国】の高原に住まうレギオン達を作業の様に狩り倒してしまった結果、歯ごたえのある敵というモノが居なくなってしまったのかもしれない。


 せめて、せめて邪神の尖兵だけは強敵であってくれ!


 そう強く願いながら、邪神の尖兵が待つ広間に下りて、そのまま両手に竜の○○シリーズを握りこんで近づいていく。


 そこに待つのはまた虫?明らかに幼虫としか見えない複層の甲殻が折り重なり蛇腹状になって、とげとげしいだんご虫とでもいったところか。


 サイズだけは圧巻で、大型のユニオン~小型のレギオンという所だが、自分一人で討伐を任されるのだから、多分お察しの能力だろうとは思う。


 寧ろ的がでかいだけ、押し潰されるのは困るが、いまや全身に邪神の尖兵特効の凍れる装備を纏っている自分を押し潰せば、寧ろ相手の方がただではすまない気がする。


 一歩近づくなり、口と見える蛇腹の先端の突起部から黒い液体状のものを吐き出してくるので、氷の盾で防ぐ。


 飛沫が足や冑や鎧に跳ねるものの、ノーダメージ……。


 その後も液体を連射してくるが、これと言って何の痛痒も感じない。


 とりあえず距離を詰めると、甲殻の隙間から触手が伸びてきたので、


壊剣術 天荒


 氷の剣で斬り飛ばす。


 無数に伸びてくる触手だが、全身に対邪神の尖兵兵器を纏う自分に触れるだけでダメージが嵩んでいく始末に、面倒なので強引に顔面部を斬りつけた。


 とにかく体積を減らさねば核を露出しないだろうと、顔を中心に掘り進むように、剣を叩きつけ、ドバッと溶けて蒸発していく邪神の尖兵の部位。


 再生が追いつく前に更に奥に掘り進み、囲むように迫ってくる触手は無視して、鎧で受ける。


 液体の吐き出し口を失っている幼虫型邪神の尖兵は攻撃手段が乏しく、何ももう怖くない。


 盾、剣、蹴りの連打を叩き込み、邪神の尖兵はどんどんとサイズを縮めていく。


 核が露出してからも、何となく湧き上がるイライラに任せて、体積を減らす事に集中していると、


 最後には核に何やらべたっと黒い物がまとわりつくのみで、ピクリともしなくなったので核を潰す。


 「ふぅ……弱い」


 思わず一言発して、その場を後にする。


 これで次は白竜復活か……願わくば強敵が待っていますように。


 奥の通路を抜ければ、街外れのチーリィ川沿いに出たので、


 そのまま川沿いに歩いて街中に戻っていくと、カトラビ街の兵長が待っていてくれた。


 「よう!随分と早かったな!何代も【帝国】人が苦戦する相手だったってのに……」


 「それは瘴気の問題だけですよ。そこさえ克服すれば、誰でも狩れるたいした事無い相手です」


 「いや~そりゃ無いだろう~多分?まあいいや!それこそ大したもんじゃないが【兵舎】の食堂に飯用意してるから食っていけよ」


 「そうですね。ご飯食べて今日の所は寝ます」


 「おうおう!そうしろ!頼むぜ!白竜様の件は本当に誰もがずっと願い続けてきた事なんだからよ」


 「はい。全力を尽くします」


 そう言って【兵舎】の食堂に向うと用意されていたのは、これでもかって言うくらい普通なのに、


 妙に染みるクリームシチューだった。


 全身に体温が戻り、全身の細胞に栄養が行き渡るのを感じる。


 これなら、どんな強敵でもやれる。

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― 新着の感想 ―
[一言] クリームシチュは美味い(゜ー゜)(。_。)ウンウン
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