29.期待が重い
ガンモ達と別れてからは後れを取らないように北砦で【巡回】任務を受け、それはもう必死で時間いっぱい魔物を狩り倒す。
スキル熟練度を上げて行くには魔物を倒す事と上げたいスキルを使用するのがいいと、
これに付いては攻略及び兵長の意見も一致していたので、間違いない。
もしかしたらもっと効率のいい方法もあるのかもしれないが、自分にそんな柔軟な考えも天啓も降りてこなかったので、
脳筋式鍛錬法発動。
ひたすら魔物を見的必殺。小隊を組んだNPCが疲れれば砦に戻ってメンバーを交代からの狩り続行。
ちなみに<観眼>がいい仕事をしてくれる。障害物裏の敵が見えるという効果だったが、盾裏でもよく見える。
障害物裏の敵はシルエットしか見えないが、それでも今何をしているのか分かるというのはかなり有利に働くし、盾を構えて更に冑の陰で見えない敵もちゃんと視界に捉えることができる。
そんな有用スキルを使いこなし、狩りを続けていると、お蔭様でスキルがかなりまとまった。
<塞剣士>=<重剣>+<総金属>+<中盾>+<防御>
塞戦士心得・・・フルプレート装備可能、重量許容補正
全身防御・・・金属部で防御可能
移動要塞・・・重装備移動力補正、ノックバック耐性
とまあ<片手剣>と<重甲>がなくなった分強くなったよと、多分ね。
<焚気>=広域把握(気配+範囲拡大)+威力(筋力+感応力)+闘争心+不屈
焚力・・・敵が多いほど筋力及び術威力補正
激昂・・・敵が多いほど士気上昇補正、生命力全損ダメージ耐久時身体能力補正
周囲にって言うのが取れたのは、集団戦でも敵が多いほどって事になるのかな?
<圧迫>=剣撃+迎撃(バッシュ+加速)+受容力(耐久力+生命力)+気合
剛激・・・防御貫通ダメージ及びデバフ発生補正
耐撃・・・ダメージ量減少補正
ここでやっと生命力をくっつけられた。更に<戦形>の加速をくっつけた事で、以前より使いやすくなった。
<体操士>=<蹴り>+<体当>+<身体操作>+<観眼>
体技心得・・・<蹴り><体当>関連武技取得及び使用可能
衝撃・・・怯ませ及びノックバック効果補正
視覚・・・視覚保護
<焚気><塞剣士>
<圧迫><指揮><武技士>
<治療士><体操士>
控え
<簡易調理><言語><手入れ><戦法><戦陣術>
とまあ、こんな感じ。あっという間の事だが、これだけスキルが纏れば文句ない!
流石にこれ以降はスキル熟練度も溜まりにくいだろうし、地道にやっていくしかないな。
だって殆どのスキルが合成された訳だから、熟練度の溜まる速度もその分遅くなるって言う寸法だ。
まあ指揮系はまた別だし、ヒトを率いる人数が増えればまた代わるだろうけど、
自分は最近戦闘ばかりだし、まさかいきなり昇進って事はないだろう。
何より管理の仕事も積極的にやらないと昇進しないって話だしさ。
「よう、最近かなり鬼気迫る様子で戦闘をこなしているらしいじゃないか」
と、兵長。
まあ言われても仕方がない。あらゆる仕事を他所において戦闘を繰り返してたのだ。
それでやっとスキルも纏ったし、普通クエストでも久しぶりに受けようかなって【古都】の【兵舎】に顔を出したのだった。
ちなみにガンモ達の首尾はいまいちらしい。
「ええ、まあでもかなりスキルも纏ったし、何か任務ありますか?」
「そうだな。じゃあ役職は今のままだが20人ほど率いてもらうか」
「へ?なんで?」
「そりゃ相応の実力が付いたと思ったからだな」
「いや、でもただ魔物との戦闘を繰り返しただけで率いる人数が増えるとか」
「世の中には西から東、東から西に荷物を運ぶだけで昇進する奴もいるんだ。【兵士】なんだからそりゃ戦闘能力の高い奴が昇進するだろう」
そんな人いるわけないじゃん!
「いや~戦闘能力が高いだけじゃ、駄目な気がしますね~」
「分かってる。でもお前は戦闘員として期待してるし、そろそろ本格的な指揮を覚えてもいい頃合だろう」
「そう言えば<指揮>取得しても禄に使ってませんね」
「そりゃ、小隊の器じゃないって事だ。もっと大人数を率いてこそ輝く器だってことだな。良かったな」
「良かったなって、それは率いれる人数が増えるのはありがたいですけど……」
「そうか、じゃあ<策戦>と<行軍>、それに……<分析>も取っておけよ」
あ~やっぱり……スキルをやっと纏めてすっきりしたと思ったのにこれだよ……。
「了解……頑張ります。だけどダンジョンの方もやらせてもらいますよ」
「そりゃ構わないぞ。いつでも任務出してやるから言えよ。今から行くか?」
「いや、一緒にダンジョン攻略に向かう人の都合が合わないので……」
「じゃあ、【訓練】だな!」
「別に断る気はないですけど、なんで【訓練】なんですか?」
「そりゃ、お前さんが魔物を倒してばっかりで、余力がそれはもう余りに余ってるからだ」
「余力ですか?」
「ああ、ニューターは身体能力が伸びやすい。特に魔物なんかを倒すとな。だが使いこなすには、まず伸ばしたい身体能力を使う必要がある。更にその力を使いこなす為に【訓練】が必要だ」
「段取りがあるんですね」
「そうだな。能力を伸ばして使いこなす。両方ないと強くはなれんぞ」