286.ロボ?
さて折角休みだし、装備のメンテナンスを頼もう!もしかしたら新要素の新素材とかでアップデートも出来るかもしれないし、クラーヴンさんにお任せだ!
ちなみに報酬については現状保留中、何しろ邪神の化身報酬は運営イベント並みに特別感のある物だったし、それ以外にも普通に【帝国】からの報酬もある。
お金に関しては随分と貯まってしまったので、どんどん使えと圧も受けている。
使えといわれてるのに、素材関連は国務尚書からの報酬で天井知らずにレアな物がどんどん供給されてるらしく、じゃあ何に使えばいいの?状態。
装備にしたって現状の物でも十分な性能だ。
耐性&軽量の雪国装備の白
重量&フォーマルの足場がいい場所で着る黒
集団戦用の魔将盾と初代皇帝(複製)剣
個人戦闘用の黒剣と白方盾
組み合わせで色々戦いに適応できるし、なんら不満がない。
まあそれでもメンテナンスは欠かせないので、ゴドレンの店へ向う。
「イラッシャイマセ ゴヨウムキ ヲ オウカガイシマス」
え?
ゴドレンの店へ入るなり聞き慣れない声がしたので、あちこち見回すと、
見ようによってはロボットの頭部のような物の目が光って点滅している?
「えっと、どちら様ですか?」
「個体名・・・不明 所属・・・不明 階級・・・不明 任務・・・不明 状態・・・最悪」
「ええと、じゃあ何でこの店に?」
「クラーヴン技師長 ニ カイシュウ シテ イタダキマシタ ハソン前 ノ キロク 調査 ノタメ 後方支援隊武器科 ゴドレンの店 ニ 所属 主要任務 ト シテ 外部者 トノ レセプション ニ 着任中 直接上司 ハ クラーヴン技師長 報酬 ト シテ 調査用 ボディ ノ 製作 及び 情報収集 ノ 手伝い ト ナッテオリマス」
「なるほど、記憶喪失だから、情報収集を手伝ってもらう代わりに受付として働いてるんだ」
「ソノ 認識 デ 問題 ナイカト ソレデハ 個体名 所属 階級 ゴヨウムキ ヲ 入力 シテクダサイ」
「ソタロー、【帝国】軍所属 任地は【古都】 階級は【上級士官】で大隊長してます。クラーヴンさんに装備のメンテナンスを頼みにきました」
「……検索結果 【上級士官】 及び 大隊長 ハ 称号名 隊長 ト 同等 ノ 役職 デ オマチガイナイデショウカ ?」
「役職的には同じですけど、隊長は国外の任務にも対応してるし、皇帝に直接謁見する立場に対して、自分は国務尚書から仕事を請ける事が多いし、あくまで【帝国】所属として動く事が多いです」
「……処理中……処理中 隊長 ハ 国家トップ カラ 直接命令 ヲ 受諾 多国間 ノ 問題 ニ 対応 ……処理中 ソタロー ハ 国内内政トップ カラ 直接命令 ヲ 受諾 国家代表 トシテ 対応 双方共 ニ 軍 ノ 将校位 ト 同等 ノ 権力 ヲ 所持 シテイルト 判断 シマシタ
ドウゾ ゴ命令 下さい」
「いや、自分は直接の上司じゃないですから、今はゴドレンの店所属なんですから自分が命令する立場ではないですよ」
「非常 ニ タカイレベル ノ 政治的判断 ガ カラムアンケン デ アルト 認識 シマシタ 上司 ヲ ヨビダシマス」
「ん?どうした?ソタロー何遊んでんだ?」
「あ!クラーヴンさん。このゲームにロボットなんていたんですね」
「ああ、そいつな。メンテ後に早速受けたクエストで拾ってきたんだ。古代のゴミリサイクルクエストってんだが、歯車やらなんやら妙に機械的なゴミが山になってるから片付けつつリサイクルするって言うな」
「へ~アップデートの新要素なんですかね?それでこのロボットに新しいボディを作ってるとか?」
「そうなんだよな。新スキルで<機工>ってのがあってこの手のハイテク系を扱えるんだが、まだ熟練度も材料も足りなくてな~」
「でもなんだか楽しそうですね。自分も早く新要素を試したいんですけど、今日の所は装備のメンテナンスをお願いします」
「なんだ、ソタローもスタートダッシュは装備メンテナンスか。それで装備直したら何するんだ?」
「まあ、まずは【訓練】ですかね?何しろ邪神の化身を倒して体がフワフワするので、まずは定着させて使いこなさないとどうにもならないので」
「そうかそうか、ソタローまで何処か旅に出るのかと思ったぜ。まあ旅が悪いわけじゃないんだが……」
「誰か旅に出るんですか?」
「ああ、隊長が指名手配が終わった傍から旅に出るとか言ってやがってな。今回は金を稼ぐような【輸送】でもなさそうだし、どこに冒険に行くのやら」
「そうですか、もう次の目的地を決めてるんですね。本当にどんどん置いていかれる。困ったな……」
「別に困る事なんてないだろ。腰を据えて力をつけてるんだから、実力ならそろそろ隊長を越えてたっておかしくないんじゃないか?好き放題フラフラするより、じっくり着実にクエストこなした方が実力つくだろ」
「あのおかしな隊長は指名手配中もクエストこなしてたんじゃないですか?じゃなけりゃあんな人間離れしてないと思うんですよね」
「なんだ、ソタローから見てもあいつは人間離れしてたのか?俺の見間違いじゃなかったのか」
「まず捉えられないスピード、異常すぎる正確性、謎の装備の数々が強みと言われてますけど、実際は無尽のお金にコネクションと使い方に、意味不明な行動力と問題解決能力もかなりおかしいレベルです」
「随分と高く買ってるな。でも俺から見てソタローもいい勝負だし、隊長は邪神の化身専用と見られる装備は全て【帝国】に預けちまったぞ」
「何でまた?」
「どうせ、面倒くさくなっちまったんだろ。初心者服に銃一丁腰に差して旅に出ようってんだから、謎の装備の数々が強みだと思ってるのは、周りの人間だぜ」
自分はとにかく強くなろうと必死なのに、寧ろ力を手放して何処か知らぬ場所へ向い、きっとまたおかしな程強くなっているであろう隊長に、モヤモヤとした感情を抱いてしまう。