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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
286/363

285.肉体?疲労

 数日間かかった大型アップデート後、意気揚々とログイン。


 ゲームを始めた時に最初にアバターを決めた白いだけの空間で、アップデートの内容説明があったものの、多すぎて覚え切れなかったので、抜粋。


 ・新フィールド実装

 ・新スキル実装

 ・新武技実装、連携武技実装

 ・新装備実装

 ・新素材実装

 ・今まで無かった場所に遺跡やダンジョンが出現

 ・クラススキル専用セット枠増加及び通常スキルのセット枠増量

 ・サブジョブ枠増加

 ・騎乗生物種類増加及び、携行道具実装

 

 やたらとハートの絵文字が多用されたピンクで変な文章だったが、大体内容はこんな物だろう。


 何から試していこうかと【兵舎】で起きてみれば……。


 「あれ?何か駄目だ……」


 何故か体に力が入らない?立てるし、歩けもするのだが、フワフワとして体が軽いと言うより軽すぎる。


 一歩歩くたびに風船が浮くみたいで、地面を踏みしめる感覚がない。


 ユラユラと【兵舎】の廊下を抜け、受付に向うと兵長がいつも通り立っていたので、


 「おはようございます」


 「うん……大丈夫か?」


 心配されてしまったので、素直に答える。


 「いや、何か体に力が入らなくて……」


 「そうか、邪神の化身相手に緊張状態が続いたし、特にソタローは働き詰めだったからな」


 「一体どうなってるんでしょうか?」


 「取り合えず休むといい。何も心配する事はない!成長期の筋肉痛みたいなもんだからすぐに体が慣れる」


 ゲーム内でも肉体疲労ってあるんだな~とフラフラ食堂に向かい、定食を注文。


 大河で取れる魚のてんぷらと、野菜スープにパン。


 しっかりお腹を満たしたのに、体に力が戻らない。


 いや、体は動くのだ。ただ、地を踏みしめる感覚がなくて、足場の安定しない不安を感じているというのがより正確な状態だろう。


 妙にソワソワとした不安に駆られ、こういう時は師匠に相談するしかないと、訓練場に向う。


 訓練場につくなり師匠達の顔を探して、キョロキョロしていると、


 「ソタロー?どうしたんだい?死に場所を失った不死者のような顔をして?」


 ホアン師匠だ!例えはよく分らないが、それでも今自分がもっとも話したかった相手に会えた!


 そんな他愛もない感動で、ホアン師匠の両腕を掴む。


 「し、師匠!何か体に力が入らないんです!兵長は成長期の筋肉痛だって!」


 「う、うん!ソタローの愛は伝わったから、一旦手を放そう!い、痛い~!耐守鎧!」


 師匠の術で鎧にエフェクトがかかるが、今はそれどころじゃない。何しろ折角鍛えた筋肉に力が入らないのだ。


 これは一体どういう事なのか?不安でお腹が空いてきた。


 「ソタロー!お疲れ様だね!そしてその手を放すのだ!」


 相変わらず謎のキラキラを撒き散らしながらセサル師匠が現れ、ホアン師匠を放す様に言われたのだが、今の自分にそんな心の余裕はない。


 「いや!でも!」


 「うん、分る!ソタローの不安は分るが、この私が!ソタローの悩みを解決しよう!」


 そう言われてしまっては、セサル師匠の言う事にしたがう他無い。


 「せ、セサル師匠!自分は!自分は一体どうしたらいいんですか?体に力が入らないんです!」


 「それは違うぞソタロー!筋肉はいつもソタローを裏切らない!もっと筋肉を信じて、筋肉の声を聞くんだ!」


 「筋肉を信じる……」


 「そうだソタロー。この世の誰がソタローを裏切ろうとも、筋肉だけは裏切る事はないのだ。ソタローの筋肉は今、なんて言ってる?」


 え……そんなの……。


 ゆっくりと呼吸を整え、雪に溶け込む音のように、あらゆる音を遮断していくと……。


 「筋肉が喜んでる?」


 「そうだ、ソタローの筋肉は喜んでいる。邪神の化身と言う強大すぎる敵を倒した事で、筋肉に膨大な力が注入され、それ故ソタローは困惑しているんだ」


 「じゃ、じゃあこれは筋肉に力が入らないんじゃなくて、寧ろコントロールを超えてしまった筋肉の歓喜?」


 それを知覚した瞬間に心の奥底にストンと腑に落ちる感覚があり、急に体の制御を取り戻した。


 だが、制御を取り戻した事で逆に手先が震え、全身に無駄な力が入ってしまう。


 「そういう事だよ。今のソタローにはまだ制御しきれない力を無意識下に抑えてくれていたのさ!もう一度筋肉を信じて全てを任せてごらん」


 セサル師匠からキラキラと光る何かが一層多く発せられ、それが自分に降りかかると何故か震えが止まった。


 「このキラキラ、一体なんですか?」


 「さあ?生まれた時にはキラキラしていたんだ!そう言えばソタローはキラキラしていない……何故だ?」


 「キラキラは置いておくとして、ソタローはまずゆっくり休みなさい。体が落ち着いたところでしっかりと【訓練】をすれば、ちゃんと定着して使いこなせるようになる」


 「そうですか……ありがとうございます。またお世話になります。……そうだ!自分の奥義って『筋肉を信じる』でいいんですよね?」


 「勿論だとも!そうでなければ『脳筋』の称号を得る事はなかっただろう!だが究極の筋肉への道は長く遠く険しい。まずはゆっくり休み、邪神の化身を倒した事で得た力を己の物にするんだ!」


 と言う事で、当分はお休みとする。


 そして、落ち着いたところで気になった事を一つ確認。


 今のスキル。


 <八陣術><>


  <焚鬼><塞剣士><圧迫>

<><武術士><探険者>

 <体操士><医術士><野天者>

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― 新着の感想 ―
[一言] 筋肉痛でふわふわする……………ww
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