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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
278/363

277.決戦予定地

 【馬国】で大型魔物を掃除する事数日、予め生かしておくと決められていた餌用のレギオンボスを除いて、おおよそ片付いてしまった。


 一旦NPCの【兵士】達はロデリックに任せて、自分は決戦予定地に向かう。


 邪天使との接触は次の祝日じゃないかと予想が出ている。


 いまだ姿の分らぬ邪天使分体の今の姿だが、所々で巨大な生き物が這いずった跡が見つかっていて、その進行速度から逆算すると、ほぼ間違いないのじゃないかと。


 プレイヤーが集まれる祝日を運営が狙っているのか、もしくは今回のボスを起こした隊長に合わせた日程になっている。というのが有力な噂だ。


 決戦地には既に多くのプレイヤーが集まっていた。事前に決戦地を下見と言う所だろうか?


 そうでなければ、ワンチャン予想が外れた場合、抜け駆けできると言う見込みでもあるのだろうか?


 正直な所、まだ半分の力を残した邪天使をトッププレイヤー抜きで倒せるとは到底思えないのだが、取らぬ狸の皮算用が楽しい事も分らないでもないので、そういう人はそっとしておく。


 歩いてみると起伏の激しい【馬国】高原地帯だが、接触ポイントと目されている場所は、かなり開けていて見通しがいい。


 今レギオンボスと接触してしまうと、餌効果が台無しなので上手く距離を取りつつ、周囲を観察していく。


 地面はゴツゴツとした岩が飛び出ているものの、かなり固い足場だし自分としては最大重量で挑めそうだ。


 無骨で荒涼とした高原に冷たい風が吹きぬけ、身が締まる。


 本当に所々雑草のような物が生えているだけで、全く何もない。これなら思い切り暴れられるなと、まだ見ぬ敵とやりあう未来を想像して、思わずにやけるのを止められない。


 まあ、黒装備で顔が見えないし、表情が読まれる事もないので、別にいいだろう。


 その場から、小高い丘になっている所を見上げると、クラーヴンさんが作った狙撃台が設営されていた。


 一体いつから建設に取り掛かったのか不思議に思うほど立派な作りだが、多分あっさり作ってしまったのだろう。


 生産トッププレイヤーの変人ぶりに突っ込んでいたら、きりがない。いい物を作って貰えたのだからそれで良し。


 狙撃台には以前嵐の岬と一緒に【帝国】の巨大な鳥ボスを倒した時の物に似たバリスタが設置されている。


 だから狙撃台と呼ばれているのだが、実際には隊長やアンデルセンさんもそこで待機しつつ、場合によっては指揮に加わるようなので、実質指揮所でもある。


 ただ、極力前線に出てるプレイヤーに任せるつもりらしいので、指揮所という言葉は使っていないようだ。


 何をしてくるか分らない邪天使に対する為のバックアップ要員として、隊長、アンデルセンさん、クラーヴンさん、ビエーラさん、カヴァリーさんの【帝国】【古都】古参メンバーが集結する。


 そんな頼もしさを背に今回も前線指揮は自分に任せてくれると言う。


 第一戦の時もそうだが、ある意味一番重要な場所を任せてもらえるのは【帝国】【古都】を拠点にするプレイヤーだから、つまり今回の戦いの総指揮者にして、発起人である隊長の身内と見られているからであろう。


 そうであるならば、適当な事は出来ない。立場に胡坐をかいていては身内でしかない。


 隊長を超えられるかと言うのは早いと思うが、まずはまともに戦える様になりたい。


 現状の対邪天使戦の戦績を見る限り、まだ越えるのは難しそうな壁だけれども、折角見つけた目標に近づかないのでは意味がない。


 「隊長を見てるのですか?」


 不意に声をかけられたので振り向くと、相変わらずの軽装に高原の風が吹きつけ、薄い白茶色の髪がなびく、美少年?


 「剣聖の弟子ですか、久しぶりです。今回は参戦するんですね」


 「ええ、折角ですからね。隊長は奥義を習得しましたよ」


 「奥義ですか?」


 「その習得を手伝わされていました。おかげで僕も奥義の意味を深く理解する事が出来ましたが」


 「えっと……奥義と言うのは?」


 自分が尋ねると、何故か目を丸くする剣聖の弟子。


 「そ、その実力でまだ奥義に達してしなかったんですか?せめてヒントだけでも出てるのかと……」


 「そうなんですか?いやあの……初耳です」


 奥義を知らないのって、何かまずいのかな?


 ただただ焦燥がつのる。何しろほんの今さっきまで、まともに戦えるようになりたいとか思っていたのに、全く知らない何かを習得されたとか言われても、どうすればいいの?


 「まあ大丈夫でしょう。師がいるなら、時が来れば、自然と教わる事です」


 「師から教わる事なら、自分には信用できる師が二人いますし、他にも色んなヒト達から教わっていますから」


 「……なる程、それでかもしれないですね。僕の師は剣聖、隊長の師は剣鬼ですから、隊長も複数の師がいるようですけど、メインは氷の剣鬼の筈ですよ」


 「ああ~教官ですね。そうか一人の師の教えも極めていないから奥義に辿り着けないんですかね」


 「いえ、多分迷いがあるからですよ。僕と隊長の奥義が違うように、ソタローの奥義はソタローに最も合った物になると思います。それが何か、ゲーム側が選びかねてるんじゃないですかね?」


 どうなのだろう?剣か鎧か、もしくは盾か?いずれにしても隊長はまた強くなり、自分もまだ強くなれるのだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 駆け足育成中のソタロー もしかしたら、早足すぎて色々間に合ってないソタロー 堅さか、重さかで、悩むソタロー 作戦とか、対策は悩まない さすが、脳筋(笑)
[一言] 一番迷ってるのは作s…げふんげふん
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