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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
272/363

271.死者の平原掃除

 整列する自軍の1000人を前に、今後の方針を説明する。


 「それでは自分達の仕事は各国の宿営所建設となりました。地味な仕事ですが、大事な仕事です。頑張りましょう」


 「了解です!でもそれだとあちこち転戦する事になりそうですよね?自分達の宿営所はどうするんですか?」


 「それに付いては、自分達用の宿営所を設営して、移動時に他国に引き渡す事になります。現状既に設営している死者の平原北部の宿営所は代わりに傭兵をはじめとした戦闘集団が入る事になります。自分達は速やかに北西部に移動し【鉱国】の陣地を設営します」


 「【鉱国】は【帝国】以上の技術者を大量に保有してる国ですが?」


 「先方はまだ予算組が出来ていません。この間に宿営所の土台だけでも作って【帝国】がちゃんとこの戦いで仕事したという証拠を残す事が政治的に意味があると聞いています」


 「政治的意図で軍を動かすのは分るけど、我々は戦う為に来たんじゃないか?」


 「勿論です。職人達を保護して宿営所設営に障害が起きないようにするのが、自分達の任務です。もし障害となる者がいれば排除します。幸い死者の平原の魔物は殆ど中隊級まで、という事です。つまり大隊を組んでいる自分達の敵ではありません。全て平らげましょう」


 と言う事で、早速出発する。何しろ大急ぎで移動して、次の地点で宿営所の建設をしなければならない。


 作ったばかりの宿営所は放棄しておけば別の戦闘集団が入るので、掃除だけして放置!


 西に移動すれば懐かしの酒の町と湿原に到着。


 流石に足場の悪いこの地にドワーフ達は入り込んでいないが、今回の任務の主要目的は邪神の化身分体を探す為に魔物を狩りつくし、どこかに異変が起きないか監視する事だと聞いている。


 つまり、こういう魔物が潜みそうな場所ほど、きっちり狩り出すべきだ!そうに違いない!


 「200人はミランダ様にお任せします。湿原西部で【鉱国】の宿営所設営をお願いします」


 「ソタローは、どうするんじゃ?」


 「自分はこの湿原の魔物を狩りつくして、邪神の化身がいないか確認してきます」


 「(宿営所設営が任務じゃなかったか?)」

 「(でも、邪魔する物は皆殺しとも言ってたし)」

 「(まあ戦いに来た事は間違いないんだし、やるしかないんじゃないか?)」


 なんかざわついているが、これも任務の内なのだから仕方ないだろう。


 「それでは皆さんこれから湿地帯狩りをはじめます!この地には馬を食べるとされる大蛙が大量に生息していますので、それらを狩り尽くします。邪神の化身を倒す為には仕方ありません。蛙を絶滅させましょう」


 さらに、何かざわついているが、ここはまず自分が一歩踏み込むしかあるまい。足場が悪い所用の白装備に切り替え、


 あえて橋の上でなく沼に踏み込むと、さっそく蛙の舌が足に巻きつき、沼奥に引き込んでくる。


 それを強引に筋力で耐え、重剣を引き抜いてぶった切ると、一杯まで引き伸ばされた舌が弾ける様に戻っていく。


 追いかけるように更に踏み込むと、今度は二方向から舌が絡みつくが、これも筋力で耐えた。


 大体蛙の舌の力を理解した事で、奥に踏み込む余裕が生まれ、ずんずんと進む。


 かつてはボスサイズの蛙を一人であっさり倒す隊長に驚いた物だが、今の自分には同じ事が出来る。


 隊長のように傷口を凍らせたりはしないが、油では塞げない深い傷と、脳を潰す打撃力があればどうという事もない。


 ただひたすら沼に入りこみ、片っ端から蛙を圧し斬っている内に、蛙が少しづつ逃げはじめ、自分に絡まなくなってきた。


 自分の後をついてきた【兵士】達にすらちょっかいをかけなくなる頃には、湿原の半分は占拠していたであろう。


 ただこんな魔物が密集する土地にボスがいないはずもなく、巨大な亀が沼底から現れる。


 扁平な亀の甲羅に妙に長い首がミスマッチな亀が、沼に雷を呼ぶ。


 広がる雷撃で、沼に足をつけていた【兵士】達が一斉に状態異常に掛かるが、治療鞄から黄と赤の薬を取り出して、


治療術 範囲回復


 自分と手勢の【兵士】で突貫しつつ【衛生兵】に回復を急がせる。


 そこで巨大亀が大きく息を吸い込むので、


八陣術 魚鱗陣


 動ける【兵士】を集めて隊形を整えるものの、ダメージの無い衝撃が貫き、士気低下攻撃だと察した。


 まあ、結果オーライだ。


 そのままの隊形で亀に突っ込む。何なら扁平で巨大なので、甲羅の上によじ登る者も現れる始末だ。


 自分は亀の正面に立ち、その頭での攻撃を


殴盾術 獅子打


 盾で殴り返す。


 当然ながら、質量の関係で押し込まれてしまうが、足場が沼地なので仕方ない。


 重量を上げられない事が、自分に不利に働くものの、戦闘に参加できる人数で言えば、中隊級ボスに対して、こちらは状態異常が直るたびに一人また一人と参戦人数が増える。


 完全に数の暴力である。


 当然ながら中隊級ボスに100人以上で仕掛けているので、周りの敵も引っ掛けてしまうのだが、数で圧倒しているので、ちょっとやそっとの敵がいくら攻撃を仕掛けてきたところで、瞬殺。


 気がついた時には亀も倒し、自分は扁平な亀の甲羅を手に入れた。


 どうやって使うかは、クラーヴンさんにお任せだ。


 それよりも乱獲した蛙から手に入れた〔蝦蟇の油〕だが、これが中々薬作りに良さそうなので、カピヨンさんに習って、薬にしてしまおう。


 取り合えず、湿原を平定し宿営所建設を進めていく。

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― 新着の感想 ―
[一言] 新しい服を作って着ては脱ぎ捨てる作戦(笑) 野営地に行って、家、作って、回りの安全確認して家は、放置して次に行く 衣替え作戦←マテ
[一言] 邪神に滅ぼされるまでもなく兵に滅ぼされる蛙さんェ…
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