26.ダンジョン
数日いつも通りクエストをこなしていると、運営からメールが、
-運営からのおしらせ-
皆様イベント参加ありがとうございます。
今回の優勝国及び優勝者は
【帝国】 クラーヴン様です。
賭けに勝った皆様は賞品との引き換えをお願いします。
また、次回イベントについてはまだ詳細は未定ですが、
イベント連携クエストとして、ダンジョンが発生いたします。
各国に一つづつ発生するダンジョンはこれまでの自然系フィールドや採掘用フィールドとは違い、
邪神の手先が管理する悪意と欲望の建造物となり、フィールドとはルールが変わりますので、十分に気をつけて攻略してください。
との事だ。
一応自分は誰に賭けたらいいのか、よく分からなかったのでクラーヴンさんに金貨一枚賭けた。
ここ最近の狩りで魔物素材を売ったお金だったが、一揃い装備を整えた事で、別にすぐお金が必要と言うこともなかったので、ほんの遊び程度のつもりだったけど、
まさか50倍になって戻ってくるとは……。金貨50枚なんて何に使うか……。
まあ、お金の使い道なんてその内いくらでも出てくるだろうし、いいか!気にしてもしょうがない。
それよりもダンジョンが気になる所、自分の手に負えるようなものでは無いだろうけど、折角だし一回くらいは挑戦してみたい。
「おい、手紙の内容は確認出来たろ?」
運営からのお知らせを読みながら考え事をしていたら、兵長に声を掛けられた。
ちなみに手紙、プレイヤー間だとメールって言ってるけど、自分のジョブの拠点ならどこでも受け取れる。
自分の場合だと【兵舎】で受け取り可能。他国の【兵舎】でも受け取れるかは不明。
「はい、確認しました」
「とりあえず、賭けの金は預かっておいていいのか?それともいくらか引き出すか?」
「いや、とりあえず使う予定も無いので、そのまま預かって貰っていいですか?」
「おう、いつも通り預かっておくぞ。後はダンジョンだな。一応軍でもダンジョン踏破は推奨されている。もし挑戦したければ、任務として出してやるぞ」
「え?じゃあ、お願いします!」
「まあ、そう焦るな。任務は出してやるが、ダンジョン踏破用のスキルを持ってないだろ?」
「そう言われましても、もうスキルセット枠が……」
「そこは上手くやりくりするんだな」
だって今の状態って……ほとんど控え状態ですよ?
<噴気><重剣士>
<位取り><指揮><武技士>
<治療士><蹴り>
控え
<簡易調理><言語><体当><手入れ><身体操作><重剣><方盾><総金属><精神強化><戦法><戦形><戦陣術>
<噴気>と<重剣士>は必須だ。何しろ装備と察知系だもん。
<武技士>はまあ無くても何とかなるか?<蹴り>も一旦諦めるか……それで二つ分探索系スキルはセット可能になるし。
兵長からスキルのリストを見せてもらうと、ダンジョン探索用と見えるものが格安の貢献度で手に入るようになっている。しかもいつもよりスキルの説明が丁寧で、絶対取得させようとしてるじゃん!
その中で気になるのは<観眼>かな?
このスキルだけで暗い場所でもよく見えるようになったり、視野が広がったり、物陰の相手の様子が見えたりするらしいが、アビリティで更にどれを特化するか選べる。
後は罠を外したり鍵を開けたりするものなんだけど、どうしよう。ダンジョン……。
一先ず<観眼>だけ取得して、ダンジョンに行くだけ行ってみるか。もしかしたら他のスキル持ってる人と合流できるかもしれないし!
<観眼>
立体視・・・物陰や障害物の裏の相手の動きが見える
と言うわけで<観眼>をセットして表に出れば、いきなりガンモと鉢合わせた。
「よう!ソタロー!ダンジョンの件運営からメール来てたろ?」
「うん、一応<観眼>だけ取得して、後は現地で誰かいないかなって」
「なるほどな。シラッキーの奴が発見系と解除系取得したから、魔物の事はソタローに任せるぜ。確か察知系とか持ってたもんな」
「分かった。行ってみよう!」
大急ぎで、準備をして集合。待ち合わせ場所はゲームのスタート地点、竜の彫像のある広場だ。
ダンジョンまでは馬車ならぬ、アリェカロのソリが出ていて、のんびり引かれて自動で到着を待つのみ。
国からの補助で出ているらしいので無料!
ダンジョン周りは既に賑わっていて、簡易的な小屋が幾つも作られ暖を取れるようになっている。
宿屋や【教会】に道具屋と諸々揃っていて手厚い。更にはすでにプレイヤー達が素材買取を始めているのがなんとも逞しい。
普段は過疎でどうしようもない【帝国】だが、珍しい事もあるものだ。
もしかしたら過疎の【帝国】のダンジョンだからこそ一番乗りでクリア出来るかもしれないという人もいるのかもしれない。
さあ、ダンジョンアタックだ!と入ろうとすると入り口には謎の文字?
気になったので【教会】で<言語>をセットして確認すると『色欲』のダンジョンとある。
なんとも不穏な響きだ。
「なんて書いてあったんだ?」
「色欲だってさ」
「……え?」
「でもここって革とか手に入るらしいぜ?そこで買取してる人に聞いたけどさ。何で色欲なんだ?」
「分かんないよ。そう書いてあるから」
「まあ、アレだろ?七大罪とか八枢要罪とかから適当に取ってるんだろ。いいから行こうぜ」
そして、ダンジョンに潜り込む。ちなみに入るのも出るのも自由らしい。