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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
262/363

261.邪神教団再び

 霧攻略に多くのプレイヤーが【王国】の平原に集まる中、霧に酩酊効果があるという理由で未成年は近づいちゃ駄目と正式にお触れが出た。


 流石にゲーム側もその辺は配慮があるだろうし、霧の効果も何か別の物に置き換わっている筈だが、未成年の中には子供や未成年も含まれる為、お酒に酔うという事に誤解がない様に未成年は禁止ときっちり線引きした結果だ。


 そんな中、祝勝会の次のログイン時【兵舎】を受付に降りていくと、嫌な予感と言っては申し訳ないが、面倒事の予感に無意識に武者震いが起きた。


 何しろ受付に国務尚書がいるのだが、今の所白竜関連のクエストは進められていない。つまり厄介ごとの持ち込み以外ありえない。


 「おはようございます。何かありましたか?」


 「ああ、ソタローにしか頼めない仕事だ。邪神教団は覚えているな?」


 「勿論覚えてますけど、また何かこそこそとやってるんですか?」


 「うむ……今回は【教国】第10機関から直接の依頼なのだが、どうやら水面下で邪神教団と戦っていた者が【教国】の手の者らしくてな。だが敵の四天王相手に苦戦を強いられているらしい」


 「ブラックフェニックスですか?マダム・アリンの時は罠にかかって一緒に脱出しましたけど……」


 「邪神教団の事を知るものは少ない。何しろ下手に情報を広げればどこから漏れて、向こうにつく者が出るとも分らないからだ。その点私はソタローを信用している。すまないが再び共闘してもらえるか?」


 「ちょっと唐突ですね。そもそも【教国】がなんで邪神教団と戦っているのか分からないですし、それがただの宗教対立なら、【帝国】は白竜様を信じてるじゃないですか?」


 「そういう事ではない。この情報は【教国】から知らされたのだが、どうやらあの邪天使の原型を作ったのは【教国】第12機関だそうな。伝説にある聖石が揃った事で邪進化して起動したそうな」


 「???つまり【教国】が悪いって事ですか?」


 「いや、作った者達は対邪神兵器のつもりで開発していたらしいが、それも邪神の核から出来た聖石の力に洗脳された結果だそうな」


 「もっと情報が増えてよく分らないんですけど?結局【教国】が邪天使を作って、邪神教団と対立する理由が分らないです」


 「そうだな少し説明を焦りすぎたかも知れん。【教国】第12機関はそれが邪天使になる素体だと知らずに作り、邪神教団は邪天使を利用して世界に破滅をもたらそうとしている。これで少し整理できたか?」 


 「分りました。【教国】内の尻拭いをさせられてる末端がブラックフェニックスなんですね?それで協力者を探そうにも邪神教団と繋がりどころか、因縁のある自分に白羽の矢が立ったと。いいですよ今邪天使は酩酊する霧に包まれてて、未成年の自分はやる事がないですから」


 「そうか、それだけの戦力がありなあがら邪天使と戦えない事には忸怩たる物があるだろうが、私としては本当に助かる。ちなみに敵は【闘都】に潜んでいるらしい。今回はソタローにも土地勘のある場所だ。頼むぞ」


 まさか【砂国】での因縁が、この大事な時に巡ってくるとは思わなかった。


 しかしそれも必然だ。何しろ邪神教団の目的が邪神の化身に関わる物だったのだから。


 前回罠にかけられ、エイリークさんが騙されかけたお返ししてもいいだろう。


 そう思い出かけようとすると、


 「おいソタローちょっと待て」


 兵長に止められてしまったのだが、何事だろうか?


 「なんでしょう?今国務尚書から話があったように、自分は【闘都】へ向いたいんですけど」


 「その前に邪神の化身と戦った報酬を受け取っていけ!二つの核を潰したこの前の戦いを正式に第一戦勝利と認定し、報酬が出ているぞ」


 「別に今の所特に困っている事はないので、後日受け取りにしたいんですけど?」


 「これから強敵と戦うのに、切り札の一つも持たずに突っこむのか?」


 言われてみればその通りだ。だが既に頭の中はいくらでも回復するカイジンとやらと戦う事ばかり考えてしまい、何か報酬選びに身が入らない。


 「何かおススメありますかね?」


 「何かって、だんだん隊長に似てきやがったな。嫌な顔しても、そんな顔すら似てきたぞ?まあでもそんな事もあろうと思って、一個は考えたおいた。〔黒鋼の盾〕だ」


 「黒い盾って事ですか?盾は集団戦用の魔将から手に入れた物と、白い方盾の二つを使い分けてますけど?」


 「お前の事だから重量制限がない所では黒い方の装備をするんじゃないか?だったら盾も黒い方がエレガントじゃないか?」


 「エレガントって……今回は社交界に行くわけじゃないんですから!」


 「勿論性能もかなりの物だ。赤竜の化身復活の記念として【砂国】【帝国】の技術の粋を集めて作った逸品中の逸品だ。伝説に残る秘法と秘宝のコピーを使い、混ぜ合わされ作られたんだが、渡せるに値する勲功を上げたのがソタローしかいないんで、これを選んでくれ」


 「自分が他の物選んだらどうする気だったんですか?」


 「何かにかこつけて、結局渡す気だったぞ?」


 相変わらず兵長は他人を食った様な事を言っているが、今回はありがたく受け取ろう。


 いつもなら高性能品を貰うとちょっと遠慮してしまうが、今はあっちもこっちも大事だらけだし、少しでもいい装備はありがたい。

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