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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
247/363

246.新術と気付き

 久しぶりに盾の師匠に教えを受ける為に移動する。


 ガイヤさんとの闘技のあとで疲れているのは確かだが、同時に感覚を忘れない内に足りない部分を補強したい気持ちもある。


 モチベーションが高い内にしっかり己を高めて、もし次があるのならば、恥ずかしい結果にならない様にちゃんと成長を見せられる様にしたい。


 ちなみにガイヤさんはたらふくご飯を食べたら、ログアウトすると言って拠点に帰っていった。


 どこかのご飯食べて寝る人を思い出したが、きっとあの人は今日も図太く、指名手配にもかかわらずマイペースにこのゲームを楽しんでいるのだろう。


 いつもの簡素な木造の建物の前にある土を引いただけの広場には、何人か【訓練】中と見られるヒトがいるものの、広さだけは十分に確保されているので、周りを気にせず暴れられる。


 「うんうん、面構えからうずうずしているのは分るが、闘技の興奮は一旦抑えて、しっかり精神力操作する事に集中せんと思わぬ事故に繋がるからの」


 「すみません、やっぱり負けたばかりと言うのもあって、早くもっと強くなりたいと思ってしまって」


 「いいさいいさ。早速術を教えてやろう!取り合えず盾に精神力を込めて地面を殴ってみなさい」


 これは、確か以前上級【闘士】のヒトが使っていた術か?と思いつつ、言われるまま盾に精神力を込めて、盾の縁で地面を殴る。


 すると周囲が揺れて周りで【訓練】をしていたヒト達もバランスを崩してヘタレ込んでしまう。


 やっぱりあの術かと思ったが、同時に弱点と言うか、一点疑問も頭をよぎった。


 「あの、これって地面に対する術だから、地面系の術で相殺されちゃうんじゃ?」


 「よく気がついた、よく気がついた。そうなのさ地面対応の術は種類が多いから相殺しようと思えば簡単に相殺されてしまうんじゃ」


 と、なんだか楽しそうに話す盾の師匠だが、もしかして続きか搦め手でもあるのかな?


 確かにこの術を上手く通す事が出来れば、相手は動けなくなるから追うのは容易くなるし、動きを止めてその間にバフを掛ける事もできるのだが?


 しかし、師匠の含みが一向に分らない。何か気がつかないか?とばかりの余裕の表情なのだが、なんだろうか?


 何となく盾に精神力を込めたまま、もう一度地面を叩いてみるが術のクールタイムが終わってないので、残念ながら何も起こらない。


 そして、もっと深く考えようと無意識に上を向いた時、何となく盾の重さがわずらわしく、地面に放る様に盾の面部を地面に預ける。


 すると、急に体が重くなり地面に引かれ、何事かと周囲を見回すとやはり【訓練】中のヒトも重さを感じるのか地面にへたり込んでいた。


 「もしかしてこの術って、盾の当る場所が変わると効果も代わるんですか?」


 「そうじゃ、そうじゃ、よく気がついた!縁を当てれば 獅子揺 面を当てれば 獅子錨 となる術じゃよ。お主は地面対応術を幾つ持っておるかの?」


 「この術を入れなければ一つですね」


 「そうだろうとも、そうだろうとも、種類が多い割りに地面対応術を幾つも備えておる者は少ない。だから似たフォームから2種類使う事で、フェイントにもなるし、重ねて使って相手に効果を通す事も可能になるのじゃよ。いい嫌がらせだろう?ちなみに 獅子錨 の方はお主を中心とした半球に効果があるから浮いてる敵にも効くぞい」


 おっと!さらっと付け加えてきたけど、空中の敵も重く出来る術って!飛行系のボスを相手にしようとしている自分に誂えたような術じゃないか!


 しかも、この術自分にも掛かると言う事は!更に自分の重量を上げる事も可能!他人からすればデバフだが、筋力のお陰で装備重量に余裕のある自分にとっては寧ろバフ効果でしかない!


 勿論深い雪で使う事は出来ないだろうが、先だって師匠兄弟に決戦術を教えてもらい、雪の中でも沈まない方法を手に入れている自分としては、パズルのピースがはまった様なすっきりとした感覚だ。


 確かにこの術は先に手に入れておくべきだったかも知れない。


 そんな事を考えていると、視線を感じたので振り返る。視線の先には【訓練】をしていたヒト達がこちらを睨んでいた。


 ハッと思い当たり、


 「すみません【訓練】中に!邪魔する気は無かったんです!」


 すぐさま謝ったが、どうやら相手は憤懣やる方ないようで、剣を引き抜いてきた。


 自分はガイヤさんとの闘技が終わったばかりで全くやる気がない。それを示す為に剣と盾を仕舞ったのだが、それが逆に煽る形になってしまったのか、顔を赤くして襲い掛かってくる。


 何とか怪我をさせないように無力化したいので、


鋼鎧術 灰塗鎧


 手に術をまとうと、敵も剣に術を乗せて斬りかかって来たので、篭手で打ち払う。


 その一発で武器の重さが増し、相手が武器を取り落とし、地面に張り付いたかのように重量の増した剣を拾えずに唸り声を上げながら顔を真っ赤にしている。


 だがそれを横目に自分は自分で大事な事に気がついてしまった。灰塗鎧 状態だと術を相殺できてしまうことにだ。


 勿論、相殺した時に相応の精神力を持っていかれてしまうが、 灰塗鎧 が解除される訳でもなし、これだけでも知っていたら、空流鎧 と併用してガイヤさんと戦えたのに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 怒ってるプレイヤー せめて、名乗りを上げてからにすれば良かったのに(笑)
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