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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
237/363

236.ソヘイラ様は未来が分りすぎる

 「赤竜様とその信奉者や眷属は力を奮う事を厭いません。勿論ゆえなく誰彼かまわず暴力を奮うような真似はしませんが、力でもって決着をつけたり、力を競い合う事を好んだといいます」


 ソヘイラ様?は相変わらず、あまり他人の話を聞かずに勝手に赤竜の話を始めてしまうが、多分予言的なアレで、先々の事を知っているヒト独特の感性なのだろう。


 まあ、別に怒ったり咎めたりする事でもないので、素直に話の続きをうながす。


 「リザードマンが眷属だと言う事は聞いてるのですが、信奉者と言うのは?」


 「赤竜様は【帝国】の白竜様と違い、敢えて自分から神の尖兵たるヒトに接触をはかる様な事は偶にしかしなかったようなので、ヒトの側から超越した存在を求める者が信奉者として赤竜様を信仰したそうです」


 「偶にはされてたんですね?」


 「勿論です。そうでなければ、話にしか聞かない赤き河に棲まう赤竜様の存在を知ることはできなかったでしょう。ただ赤竜様は当たり前の様に力奮うのと同じように好奇心のままに好きにあちこち出歩いたそうです」


 なんか、ちょっと誰かに似てる気もするけど、そこは置いておいて、


 「その赤竜様は強力な敵と戦ったと聞いているんですが、その後どうなったんですか?」


 「不明です。何しろヒトと交流が少ないお方でしたので……ただリザードマンは今も赤竜様は生きていてどこかに身を潜めていると信じているようです」


 「その、先祖伝来の力で分ったりとかは?」


 「私の能力は未来を見通す物です。しかも全てを自由に好きに見えるわけではありません。今の所私のヴィジョンに赤竜様に関する物はありません」


 との事だ。しかし未来が見える特化って、もしかしてあの確定未来のNPCか?ゲーム運営が必ず起こすような現象とかを予言で告知するヒト?魔将復活とか……。


 「すみません、ちょっと話は変わりますけど、邪神の化身って知ってます?」


 「勿論です。全てを知っている訳ではありませんが、近くに迫ってきているかつて十二英雄が封印したたとされる邪神の化身復活は既に予見し、各国に通達しました」


 やっぱり確定未来のNPCだ!なんかやばそうと言う事だけいわれて、散々脅されているのだが、どんな敵なのか教えてもらえるだろうか?


 「あの……」


 「そうですね。赤竜様の化身の話ですね。赤竜様に似て自由奔放なお方で、また同様に力を奮う事に何の疑問も持たず、更に多くの者に力を与え、より強くする事を趣味としたとか」


 うん、未来は見通せるけど、自分が何を聞きたいかは全く見通せないと!でも今の自分にはこっちの方が重要だし、何の問題もない。


 「その赤竜の化身が何故、どういった敵に取り込まれたとか、そういうのは?」


 「それは激戦だったそうです。邪神の化身こそ現れていなかった様ですが、まだヒトは弱く、この砂の地で戦えるのは赤竜様の眷属ばかり、勿論リザードマンも大いに奮戦したのですが、邪神の尖兵は特殊な武器がなければ倒せず、敗れる者達を取り込んでは強力に育ち、最後は赤竜の化身様が敵と同化する事で、コントロールする事にしたとか」


 「コントロール?じゃあ、北辺の怪物は倒しちゃいけないんじゃ?」


 「そんな事はありません。あまりにも育ちすぎた邪神の尖兵を何もない死の大地に埋めて、その力を削ぐ事を決めたのは赤竜の化身様自身です。勿論コントロールしきれずに多くの犠牲を伴った事も事実ですが」


 「でも、あの極寒の地で【砂国】のヒト達が戦えたんですか?」


 「この辺の夜は極寒です。勿論北の果てほどではないですが、しかし私も幼い頃は療養の為住んでいた位ですから、装備さえ整えれば戦う事も出来たのでしょう。白竜様を信仰する【帝国】人達と、赤竜様を信奉する者達はとても気が合ったと言います」


 まあ、確かに白い砂と白い雪、気温こそ違えど足場の悪さは変わらないし、意外と適正があるのかもしれない。今度自分も砂漠で戦ってみよう。


 大体来歴も分ってきたし、あとは核心を知りたい、赤竜の化身の姿と能力だ。


 「最後にこれだけは聞いておきたいんですけど……」


 「分っています。リザードマンではなく私が話した理由ですね。それは私にも見えていない未来があるからです。つまり赤竜様との決着及びさっき話にも出た邪神の化身との決着です。これらは不確定です。ですが、あなた方ニューターに賭けるしかないのです。なので最大限協力をさせていただこうと言う事が一つ、そしてリザードマンとあなたでは筋肉の話になってしまう未来が見えました。なので先に重要なことを伝えたのです」


 うん……未来は見えてるんだけどな~それを聞きたかったんじゃないんだよな~。


 「それは、お気遣いありがとうございます。それで北辺の怪物の姿や能力は?」


 「既にあなたが知っている通り、熱による攻撃が主とした能力です。姿は表現の仕様がないですね。羽の生えた爬虫類を見た事がありますか?」


 プテラノドンか?まあ、こんな所か?あとはリザードマンを探して話を聞いてみよう。


 「ありがとうございます。それでは他にも情報がないか、都で聞き込みをしたいんですけど、いいですか?」


 「どうぞ、母に代わって私が許可を出しますので、ご自由に。その羽飾りがあればどこへ行っても邪険にされる事はありません」


 そして、ちょび髭のヒトに借りた建物を辞去すると、さっきの【兵士】が【巡回】している所に行きあった。


 「先程はどうも!リザードマンじゃないですけど、ソヘイラ様?に会って話を聞けました。このあとはもうちょっと聞き込みをしてみます」


 「そうだったか、ソヘイラ様なら話もよく分って下さるだろう。しかも羽飾りまで与えられるとは、見かけによらない身分だったのだな。同じような羽飾りや、輿に乗った貴人がいたら道を譲っても、下に見られる事はないからな」


 先に言って欲しかったんですけど?

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― 新着の感想 ―
[一言] (笑) ちゃんと聞き歩いて、情報を集めないとね… ソタローは周りの人がいい人ばかりの国にいるから、待ってても説明してくれるのに慣れちゃってるからな~(笑)
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