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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
235/363

234.【砂国】の都へ

 <八陣術>の取得がなると、国務尚書はさっさと行ってしまった。ちょっと実家に寄って帰るらしいので、お邪魔しても申し訳ないし、あっさりと解散。


 本日はまだログインしてからポータルで【帝都】に移動して国務尚書と話して、【旧都】に移動して<八陣術>を取得しただけだし、まだ余裕がある。


 一先ずはクラーヴンさんの所へと向かい、


 「例の術対策の件ですが、やはり火精の熱っぽいです」


 それだけ言えば、すぐに伝わり、


 「そうか、大量生産できる耐熱素材となると仕入れだけでも中々手間がかかる予定だったが、国務尚書が既に手配されていて、さっき運び込まれてるぞ」


 本当に仕事が早いというか【帝国】は上に行く程おかしいって言うのはこういう事なんだろうな~。


 「じゃあ、自分は赤竜の情報を集めに行くので、装備の件はお任せします」


 「確か、奔放にして思うままに力を奮う存在だったか。【砂国】にあるとされる赤い河に棲み、己の住まう環境に合うヒトを作ろうとリザードマンを生み出しただったか?」


 「そうです!よくご存知ですね。そのリザードマンに赤竜とその化身と呼ばれた存在について話を聞きに行くつもりなんです」


 「リザードマンか……赤い河の苛酷な環境に適応できる種族だったが、逆にそれ以外の環境に適応できず、寒い場所に行くと強制的に眠りに付いてしまう欠点を抱えているってのが一般的なイメージだ。アースゥイマに行ってみるといい、あそこは割りと安定した地だし、リザードマンもいるだろう」


 「そうなんですか?賭博の都に行ってみようと思ってたんですけど、あそこではリザードマンを見かけなかったので、情報だけ集めるしかないかと考えてました。より確実な都があるならそっちで、情報収集してみますね」


 「ああ、気をつけてな」


 そう言って、送り出されたが偶にクラーヴンさんって性格変わるよな?そんな事無いか?


 取りあえずポータルに向かい、アースゥイマに飛ぶ。服装は白装備だ。


 何しろ向こうは暑くて寒くて砂で埋る土地ときているのだから、耐性兼歩きやすい白装備がいいだろう。


 前回賭博の都に行った時はフォーマルの必要があったから黒装備だっただけだ。


 そして、飛んだ先の都はこれこそ砂漠の都!という自分の中のテンプレイメージそのままの明るくて華やかな様子に気分が浮つく。


 白壁や土壁にカラフルな窓の家が立ち並び、どこが何の施設なんだかよく分らない。しかし歩いているだけで気持ちが上がるし、凄く活気があるのは間違いない。


 ラクダの横を通り抜けて、取りあえず情報収集してもヒトの邪魔にならなさそうな開けた場所を探す。


 偶々すれ違ったヒトが、自分を避けずにぶつかるように向ってきたので、思わず通り横の建物に入ってしまった。


 扉もない簡素な建物は、何か暗く中にいる人達もちょっと陰鬱だ。


 しかし、それでも体を鍛えている最中のよく引き締まった体を見ただけで只者じゃないのが伝わってくる。


 どうやらそれは向こうも同じだったらしく、こちらを警戒しているようだ。


 「すみません、ちょっとヒトを避けた拍子に入っちゃいまして」


 「それはいい、よくあることだ。だが一つ疑問なのは、あんたなら避けずともよかった筈だぞ?」


 「普通ヒトとすれ違う時はぶつからないように避けませんか?」


 「ふむ、この辺の者ではないと思ったが、だったら気をつけた方がいい。通りに二人しか歩いていなくても道の真ん中でぶつかるのがこの土地だし、避ければ弱いと思われ舐められる可能性もあるぞ」


 「舐められると、不利がありますか?」


 「それはな。弱い相手には平気で理不尽を押し付けていいと思っている輩は少なくない。お前ほどの力の持ち主なら、寧ろ押し退けろ。それが最もトラブルが少ない。この地を守る【兵士】からのアドバイスだ」


 「すみません。それはご丁寧にそうなるとここは【兵舎】だったんですか?なんでこんな暗い感じで?」


 「前にも同じ事を聞いた奴がいたな。この辺じゃ術の方が持て囃されるのさ。街中じゃ術を使うのは禁止されているし、そういう奴を取り締まるのが俺達肉体労働者の仕事の筈が、街中に限ればリザードマンの方が体の丈夫さや造りでは有利だからな」


 「そのリザードマンに聞きたい事が有って来たんですけど、どこで会えますか?」


 「高級住宅街の方へ向えば、護衛や門番なんかをしているぞ。暑さに対する強さは俺達の比じゃないから炎天下でも何の苦もないらしい。日中ならすぐに見つかるが逆に夜になったら諦めるんだな。この辺の夜は寒い。リザードマンは眠りにつく」


 「そうでしたか、じゃあ日が落ちる前に会えるように動きます。色々ありがとうございました」


 「いや、いい。都を守る者としての義務だ気にするな」


 ちょっと暗い感じだが、堅実そうな筋肉の持ち主だったな。


 さて、高級住宅街というのはどっちだろうと、見回すと広い道が見えるので、そっちに出る。


 そして道の真ん中に立ち遠くを見ると、何となく水の音が聞こえる方が綺麗な建物が多い気がするので、そちらに向う。


 すると、正面から御神輿のようなものが向かってくるのが見え、その先頭に明らかに爬虫類の顔と体を持つヒトがいる。


 移動中のヒトに話しかけるのも、どうかと思ったが、何とか話を聞けないだろうか?


 そんな事を思っている内にどんどん近づいてしまい、完全に向き合う形になってしまった。


 避けるなって言われたけど、どうしよう?

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― 新着の感想 ―
[一言] ヤバい、ソタローが人を筋肉で覚えてる気がする(笑)
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