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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
228/363

227.ティラノサウルスからの撤退

 ステゴサウルスを倒しきった所で、一瞬の静寂が場を支配する。


 元々雪が音を吸い喧騒とはかけ離れた土地だが、それでも剣戟やそれを振るう気合の声がないだけで、一気にここが世界の果てなんだと自覚させされる。


 そんな感傷に浸りつつも回復は欠かさない。何しろ生命力強制徴収される地の上、次に何が出てくるのか分らない状況だ。


 現状戦闘可能要員は元の半数という所、次回に向けて考えなければならない事それはビーム対策!


 装備に耐ビームコーティングでも出来ればいいんだけど、クラーヴンさんに頼めば何とかなるのだろうか?


 全員戦闘区域ギリギリまで下げさせている内に、地面が揺れ始め次の相手が視界に現れる。


 全身のサイズ比で明らかに大きな頭部と肉食だとアピールするかのような大きな口、ティラノサウルスだ。


 少年知名度100%を越える最強恐竜ティラノサウルスが現れたところで、逃げようと思う。明らかにレギオン級と見られるサイズのティラノサウルス10体相手に500人では足りない。


 逃げていいというのは、つまりこういう事だったのだろう。まだ準備足りないのは分ってるから、お試しで一回強敵見せてあげるよみたいな。


 そう考えると、ヒント探しからやっていたとは言え初見で魔将を倒した隊長や、隊長が集めた精鋭達は本当の実力者だったんだなと、今になって思い知らされた。


 あの時と比べれば個人戦闘能力も上がったと思うし、集団戦も慣れたつもりだったが、もっと情報収集と準備に時間をかけなければいけないと分った所で、


 「じゃあ、撤退します!自分がしんがりで率いるのは【重装兵】隊とします。念のため【偵察兵】隊は潜伏して待機、全員逃げたところで全力で脱出してください」


 【衛生兵】をまず逃がし、その間を【弓兵】の攻撃で稼ぐ。


 【弓兵】を逃がす間につっ込んできたティラノサウルス一体を【重装兵】隊で抑えつつ【歩兵】の攻撃がどの程度効くのかも確認しておく。


 【重装兵】が一人噛み砕かれ、一撃で生命力を全損したので、


治療術 救急


 状態固定をして放置する。


 放置しても多分脱出が完了すれば勝手に救助状態になって、数日で復帰してくれるだろう。多分そういう術の筈だ。


 更に次の獲物とばかりに自分の隣の【重装兵】に襲い掛かってきたところを


壊剣術 天荒


 鼻先を殴り斬る。


 その攻撃で完全に自分にターゲットを定めたティラノサウルスが、顔を近づけ荒い鼻息を吹きかけてきた。


 自分は両手に持った盾と重剣を天に掲げるように、万歳をして、


鋼鎧術 彩光鎧


 至近距離で目潰しを食らわせてやる。


 目を潰されたティラノサウルスは驚いたように仰け反るが、それにあわせて間合いに入りこみ、足まで到達すると、爪先に刃を差込むように重剣をつっ込み、爪を破壊。


 不用意に足を上げ、バランスを崩したティラノサウルスの尻尾に剣撃で追い討ちをかけ、数人がかりで斬りまくっていたら、尻尾が落っこちた。


 横に転がり立ち上がったティラノサウルスだったが、バランスがおかしいのかフラフラしている。


 それでも、無い尻尾で薙ぐように、横回転してきたが、無いものは無い。尻尾の根元の下を抜け、足首を斬りつけてまた転ばせた。


 そこで味方に肩を叩かれたので振り返ると、殆どの人員が既に戦闘フィールドを脱出している。


 正確な線など引かれてはいないが、慣れると分かる戦闘範囲を抜け出れば、普通の魔物ならいざ知らず、このサイズの魔物は流石に追ってこないだろう。


 追ってこない事を願って、自分も脱出をはかりダッシュで逃げると、急に背後が明るくなった。


 チラッと振り返ると、ティラノサウルスの口が物凄い光ってる。


 これは絶対喰らっちゃいけないと、警戒心が引き上げられ、鳥肌が立ち髪の毛が逆立つ感覚のまま、ただ全力で逃走。


 突如背中に熱を感じたと思ったら、そのまま爆風で飛ばされ天地左右全く分らない状態で転がされ、


 気がついた時には目の前が真っ暗だ。


 しかし、手には重剣と盾の重さがあるので、まだ生きているなとすぐに確信し、一旦武器から手を放すとどうやら自分はうつ伏せに倒れていたようだ。そりゃ何も見えない。


 頭を振り、周りを見ると倒れているのが自分だけという事は、他の皆は無事退避できたのか?【偵察兵】は?


 「ソタローは一番重かったからここで済んでますけど、一緒に巻き込まれた【偵察兵】たちはもっと飛ばされていきましたよ」


 「じゃあ、すぐに救助に向おう。ちなみに最後は何をくらった?」


 「何か光る玉の様な物を吐き出して、それが地面にぶつかるなり爆発しましたよ。ただ玉の飛ぶ速度はかなりゆっくりでしたけどね」


 なる程ティラノサウルスは爆発する光玉を吐き出すのか、しかも吹き飛ばす距離と巻き込む範囲が広いときた。


 一旦重剣と盾を鞘と背中に戻して、吹き飛んだ仲間の救助をして回ろう。


 案の定ティラノサウルスは一定ラインから追ってこないし、次に戦う時の事を考えつつ作業し、最終的に半減した大隊を引き連れて引き上げだ。


 残念ながら今回は失敗という事で!

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― 新着の感想 ―
[一言] あ、尻尾、切れたのに~剥ぎ取ると尻尾から尻尾が手に入るかも~←マテ
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