表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
224/363

223.薬作り

 山から帰りの道中、薬草を取りに来るヒトが使用すると見られる簡素な山小屋でログアウト。


 再ログインしてから麓を目指す。


 薬草は薬霊トナカイのおかげであっさり手に入ったが、次は薬の作成だ。カピヨンさんは自分なら色々作れると言っていたが、料理と手入れ以外の本格的な生産は初めてだし、ちょっと楽しみにしている。


 熟練度はイベントの賞品で一気に手に入れてしまったので、何か実感ないままだがさてどうなる事か。


 とりあえず北砦まで戻り、カピヨンさんに薬の調合に付いて尋ねる。


 「顔を見る限り、無事薬草は手に入ったようですね。何が手に入りましたか?」


 「薬霊トナカイに会えたので、何か一通り色んな種類のものをいただけましたよ」


 「な!神に代わって世界を支える一柱である霊鹿様に会ったというのですか!」


 「トナカイだって本人が言ってたから、鹿って言わない方がいいんじゃないですか?気にしないとも言ってましたけど一応」


 「そ、そうですか!なる程それは知らない者もいるでしょうし、私の方から周知するように軍に報告を上げておきますが、まさか姿を御見かけするどころかお話して、薬草までいただけるとは運がよかったですね!きっと日頃の行いがいいからでしょう!」


 「何か普通に向こうから話しかけてきて、薬草渡して去って行きましたよ?特にこだわりがある様でもなかったし、普通に会いに行って、欲しい薬草を頼めば貰えるんじゃないですか?」


 「何を言っているのです!恐れ多い!それこそ家族や身内の為にあの危険地帯に入りこみ、命がけでお願いしてやっと手に入る霊草ですよ!そんな気軽にお願い事をするような相手ではありません!」


 「その割りに大昔は角が薬になるからってあの山のトナカイを乱獲したみたいですけど……」


 「確かにそういう歴史はあります。ただ過ちを認めて今では尊重し、大人数であの山に入りこむような事は禁止されていますし、ただでさえ強力な魔物が跋扈する地ですから、それこそソタロー並みの能力がある者でなければ、あっさり魔物にやられてしまうでしょう」


 「……何の説明も無く送り出されましたけど?」


 「ソタローの能力を信じたからです。慢心さえなければ問題ないだろうと、もし何かあればそれは油断した証拠ですから、それも仕方ないかと」


 意外とカピヨンさんはスパルタだった。基本的に真面目でいいヒトだけど、こういう突き放す所は突き放すのが【帝国】っぽくもある。


 「ところで、薬の作り方なんですけど?」


 「そうでしたね。〔調合セット〕は持ってますか?」


 「一応<治療術>を取得した時に、軍の支給品を借りましたけど?」


 「ふむ、もし今後も霊草を手に入れる機会があるなら、ソタロー専用の〔調合セット〕を手に入れてもいいかもしれませんね。何しろ素材の質が良すぎます」


 話しながらも、手近にあった机に貰った色とりどりの薬草を並べていくと、徐々に口をつぐみ何かを悩むようなそぶりのカピヨンさんに、


 「何かありましたか?」


 「素材が良過ぎますね。気軽に練習で使えるレベルのものではないのですが、ここは一番難易度の低い物から作ってみましょうか」


 そう言って、青色い薬草を取り出して急須の様な道具に草と水を入れて煎じはじめる。


 十分煮出すと、金属の管に移して5本分作った。それで終わり。


 「終わりですか?」


 「ええ、材料の質が良過ぎて、煎じるだけで十分な効果の液薬になります。ちなみにこれは大抵の下級身体状態異常に効く〔下級万能薬〕ですね。凍結には多少和らげる程度ですが、凍傷なら完全に治せる位の効果があります」


 「えっと、他の色の草は?」


 「緑は生命力、紫は精神力、黄は体力、青は状態異常、赤はそれぞれの効果上昇という基本ながら、効果の高いものばかりですよ。普通状態異常なんかは種類別に色んな生薬を手に入れてくるものなんですがね」


 「赤がそれぞれの効果上昇と言う事は、混ぜても使えると?」


 「その通りです。本来は複数の生薬を混ぜ合わせて効果を調整する筈なんですが、まあ仕方ないですね。液薬はすぐに効果が出て回復するものになりますが、丸薬にすると効果時間持続する代わりに、ジワジワと効く様になります。状態異常なんかも丸薬を服用して事前に掛からないように対策する事も可能ですよ。最後にバンテージと一緒に使う膏薬ですけど、これは<治療術>として使用不可です。数は作れますが平常時の回復用と割り切ってしまった方がいいかもしれません」


 「じゃあ、とりあえず自分はそれぞれの薬草単体から抽出して、液薬、丸薬、膏薬を作って熟練度を溜めればいいですかね?」


 「それがいいでしょう。これだけ質がいい物だと、あっという間に熟練度も溜まりそうですが、まあやってみましょう。質のいい薬があればソタローの戦い方にも幅が出る事でしょうし」


 そう言われ、カピヨンさん指導の下、薬作りに没頭する数日を過ごし、十分に準備が出来た所で、また招集がかかる。


 前回海で傷ついた仲間達が復帰し、最後の一匹を狩る準備ができたとの事だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] お薬作りはハーブティー……………
[一言] バイオなおハーブではないか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ