20.【下士官】
クラーヴンさんに装備をお願いしてからは、毎日制限いっぱいまで追い込むようにクエスト及び魔物狩り。
正直な所、新しいただの鋼の剣を装備しただけで、攻撃力が数段増して魔物狩りがサクサク進む。
そして、次に出来たのは盾。上半身を隠せるサイズの丸みを帯びた長方形の盾のおかげで連続狩りが可能になった。
最後に出来上がった蠍鎧フルセットは、どうやら蠍の甲殻をベースに形を作って鉄板を張って作っているようだが、割とすっきりした見た目の板金鎧風で、なんか一気に中世風ファンタジー感が高まる。
冑の装飾が立ち上がる蠍の尻尾を模していて、ちょっとだけちょんまげっぽいと思ったのは胸に秘めておく。
元々装備してたチェインメイルより、よっぽど防御力が高く魔物に囲まれてもなんのその!余裕を持って対応できるし、ダメージも怯みも軽減されている。
ちなみに鎧の下は毛皮の服を着ているので、金属で体温が奪われるとかそんな事は無いみたい。
何より外に出ても温かい。今までの服とは大違いの保温性に快適この上ない!幾らでも出掛けたい!
しかし装備変更に応じて重量が増したことで、新アビリティの出番だ。
<重甲>にくっついてた重量許容で、何とか動ける状態を維持している。
そして、魔物を狩りまくった結果、スキル熟練度もあっという間に溜まってしまった。
まあ、どんなゲームでも初めは経験値が溜まりやすいって事なのだろう。
<噴気>=気配+筋力+闘争心+不屈
奮力・・・周囲に敵が多いほど筋力上昇補正
激高・・・周囲に敵が多いほど士気上昇補正
と、まあ<察知><身体強化><戦意><逆境>をくっつけたが、今後どう効いてくるのだろうか?
あとは<感覚強化>をくっつけた方がいいって話だったんだけど、状態把握っていう自分のバフ・デバフが分かるアビリティを取得した結果……合成できなかった。
<重剣士>=<片手剣>+<中盾>+<重甲>+<防御>
重戦士心得・・・重装可能
鎧防御・・・防具金属部ガード可能
重量許容(中)・・・装備重量許容量補正
なんか重戦士心得は固定だったのだが、重装備で戦うには必須だからなのだろうか?
スキルを4つ組み合わせると、アビリティ3つに対して選択できるのが二つ。実質三つのアビリティを装備できるのだが『職業スキル』と言うらしい。
アビリティ3つなら職業スキルの方がお得じゃん?と思うが、職業アビリティの場合更に合成すると元に合成されていたスキルを失う事になるそうだ。
逆にアビリティを合成した場合はどんどんくっつけていけるそうなので、最終的にどっちがお得なのか?
<武技士>=<剣技>+<盾技>+<蹴技>+<戦技>
武技士心得・・・武技効果補正
残り二つは保留にしておこう。いずれにしても4つの<○技>の内どれを特化するかって話みたいだ。
<治療士>=<手当て>+<基礎知識>+<回復>+<感覚強化>
治療心得・・・治療用道具使用可能
回復量・・・回復効果補正
診察・・・敵以外 状態把握
<噴気><重剣士>
<位取り><戦形><武技士>
<治療士><蹴り>
控え
<簡易調理><言語><体当><手入れ>
ここまで、まとまったと喜んだ矢先の事、<身体操作><重剣><方盾><総金属>と取らされる羽目に……。
なんでも折角戦闘職なんだから、どんどん戦闘用スキルを取得しろってことらしい。
<身体操作>・・・瞬発力
<重剣>・・・打撃力
<方盾>・・・範囲拡大
<総金属>・・・重量軽減
うん、重量軽減は装備がだいぶ重いので一応設定。
範囲拡大は隣接する仲間を守る事ができる。
瞬発力は<戦形>の関係上一瞬のスピードや力が物を言うかなって選んでみた。
最後に<重剣>だが、初めは長剣にしようと思ったのだ。
しかし余り聞き覚えの無い<重剣>と言う単語に興味を覚えて聞いてみれば、いわゆる幅広剣らしい。
武器の事なのでクラーヴンさんに聞いてみれば、ゲーム内解釈として、長剣より重量があるがサイズはロングソード範疇の物という事だ。
斬ると同時に殴るのにも向いてる剣だからと勧められたので<重剣>を取得。
そんなこんな身の回りの準備が急速に整い、【古都】周辺ではそれこそ部隊級ボス、いわゆるユニオンボスでもない限りは単独で倒せるようになってきた。
まあ、スタート地点周辺で何を言ってるんだと言う感じだけど。
そんなある日普通にログインして受付に行くと、
「おう、最近頑張ってるようだな。戦闘のみならず他の任務も真面目にこなしてるってな」
「ええ、お蔭様で何とか慣れてきました。それで今日の任務は?」
「ああ、それなんだが、ちょっと北砦まで行ってくれ」
「了解。それで任務内容は?」
「ああ【下士官】になってもらう」
「え?いや幾らなんでも早すぎますよね?まだ半年も経ってないですよ?」
「ああ、だがソタローはサブ職取ってなかったろ。だからこれからは【下士官】兼【重装兵】になってもらう。一応通過儀礼として向こうの砦に顔を出して来い。そんでそこからは小隊を率いて任務に付いてもらうぞ」
「通過儀礼としてって……、手抜きもいいところじゃないですか!」
「いずれ指揮するって話だったろ?まあ決まった事だから一回やって来い。向いてないと思ったら、いつでも来たらいい。別の道を考えるとしよう」
と言うわけで、北砦に向かい強制的にスキル<指揮>をセットされるのだった。