164.五関一人駆③
[難なく二ノ関も越えた遍歴の指揮官だが、三ノ関は多く魔物の出る地域で通行者の安全を守る事を仕事とする者達が駐在している]
「我らは日々の戦闘経験の量が違うぞ。心して参れ」
「人と魔物では戦い方も違います。そちらこそ努々油断されぬ事なきよう」
何かだんだん台詞回しが引っ張られてきたけど、三戦目。
[三ノ関戦Fight!]
早速始まってしまったが、今回は【狩人】系の相手って事で間違いないだろう。
何しろ二人共明らかにファンタジー寄りの大型武器。
獣の皮を加工したと見られる防具は要所に毛皮が配置されているのがワイルドで格好いい。
一人は棒に球がくっ付いたシンプルなハンマーだが、サイズが大型魔物仕様。
ぶん殴る用のヘッド部分の球のサイズは、何かもうオブジェ。到底球技とかに使えるサイズじゃないし、例え様がない。何しろ人間の頭の数倍はあるのだから、人間がアレで殴られたらトマトの様に潰れてしまうだろう。
もう一人はデカイ刀。
日本刀にしては身幅が広いのだが、片刃の物は基本的に刀分類の筈なので、巨大刀と言って間違いないだろう。
刀身の長さは軽く身長を越えているのだが、どうやって振り回すのか考えただけで意味がわからない。
何なら僕の考えた最強兵器なんじゃないかと疑ってしまうサイズ。
さて、どう考えてもまともに打ち合える相手じゃないし、どうするか……なにしろ盾で防御しても吹っ飛ばされそうだし。
ここはスピードで撹乱と行きたいんだが、重量筋力タイプの自分にやれるか?
剣を地面に突き刺し、盾を剣に立掛け、バフを発動。
壊剣術 天沼
鋼鎧術 多富鎧
鋼鎧術 天衣迅鎧
鋼鎧術 空流鎧
真っ直ぐ走って間合いを詰めると、自分のスピードが意外だったのか、初動の遅れる二人。
取り合えず狙いは巨大刀使いから行ってみよう!
大きく振りかぶって薙いできた巨大刀。軽量の人ならジャンプして避けるのだろうが、残念ながら自分のジャンプ力は知れている。
鋼鎧術 耐守鎧
術を発動しつつ腕で受け止め、そのまま巨大刀を擦るように真っ直ぐ更に進み、
武技 鉄擁
武技 鐘突
抱きつき拘束からの頭突き。何故か抱きつきだけでもダメージが出てるのは……。天衣迅鎧か!鎧がぶつかるだけでもダメージはいるとか師匠が言ってたはず?
更に相手の股がちょうどいい位置なので、膝で蹴り上げると多分急所判定。ご愁傷様です。
そこに後ろにハンマー持ちが迫ってきたので、巨大刀使いを抱きかかえたまま振り返ると、
丁度ハンマーで自分の背中を殴りつける気だったのか、巨大刀使いの頭にハンマーがヒット。
ゲームなので頭が潰れたトマトにはならなかったが、状態異常が発生。
拘束を解いて床に転がった所を
武技 踏殺
踏みつけてトドメ。天衣迅鎧で重量増している所為か、ダメージ量がその分出る。
敵の重量武器にちょっと気持ちが引き気味だったけど、よく考えたら自分は全身重量武器だった。
ハンマー使いが警戒してちょっと距離を取り直し、地面をハンマーでぶん殴ると、
強い衝撃波が発生しエフェクトに押されるが、まあ自分を動かすにはちょっと足りない。
ただ地面が揺れていて、気持ち悪いと言うか、移動ができない。
そして自分が移動できないのを分っているか、体を軸にハンマーを振り回して回転を始める。
その回転状態を維持しながらじりじりと近づいてくるのだが、さすがにコレを喰らったら吹っ飛ぶか大ダメージ?
こうなったら出来る事はただ一つ。
両手を広げて上に挙げ、待機。
まるでクマの威嚇ポーズの様だが、相手はそのまま回転して突っ込んでくる。
もう当る!という所で、
鋼鎧術 彩光鎧
自分から発せられた光で、一瞬周囲の色が失われた。
と同時に自分は仰向けにそのまま倒れこむ。
ハンマー使いはというと、そのまま回転を止めない。ということは自分を見失ったなと確信。
何しろ自分の目の前をさっきから何回かハンマーのヘッドが通り過ぎている。
まさか仰向けに倒れているとは思っていないのだろう。
彩光鎧で視界を潰されて、それでも反撃を食らわないように回転を続けるしかないハンマー使い。
後ろを向いた一瞬を狙って、下からお尻を蹴り上げるとそのまま前につんのめって倒れた。
回転中にバランスを崩し、重いハンマーに体を持っていかれたという所だろう。
直ぐに立ち上がって、そのままお尻を蹴り飛ばす。
そのままうつ伏せに倒れた所を腰に、
武技 踏殺
その時呻きながらも自分の脛に一撃入れてきた。
どうやらちょっと大振りなトンカチを隠し持っていたようだ。
サブウエポンっていうのも格好いいな~。
転がって逃れたハンマー使いはそのままトンカチで戦う様なので、
自分は両手を前に伸ばし、いつでも防御出来る様に懐を深く構えて待つ。
相手がトンカチにエフェクトを纏うと、大きなトンカチのシルエットが発生。
この期に及んで大型武器で勝負する気だったのか……。
思い切り振ってきたそれを腕をクロスして両腕で受け止める。
鋼鎧術 耐守鎧
防御からの踏み込んできた相手へカウンター。相手の脛を踏み抜く。
上は防御下は攻撃。
衝撃に耐えかねて前のめりになった相手の顔面を膝で打ち、上半身をもう一度強制的に打ち上げ、
武技 撃突
ふっ飛ばし転がった所で、一旦剣を取りに戻り、重剣と盾を構え直すと、
やはり巨大化したトンカチで一発狙いの様子。
それならばこちらも、
壊剣術 天崩
デカイ剣のエフェクトでぶん殴る。
デカイトンカチとぶつかり合ったが、お互いエフェクト同士が相殺して消失。
更に踏み込みながら重剣を振り下ろせば、トンカチで応戦してくるが、重量が違う。
力づくで押し込み、相手の体勢を崩した所でトドメの一撃。
三戦目も勝てる相手だったが、幾らなんでも疲れてきたぞ……。