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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
162/363

161.コローナファミリア

 「おっ?新入りか?おっ?」

 「中々骨がありそうじゃねぇか、俺が味見してやるよ」

 「いや、俺だ。見ろよこのガチガチの防具、相当のビビリじゃなきゃこんな格好しないぜ。うちで一番優しい俺の出番だろう?」

 「対人やりに来てそんな動きのトロそうな防具ってお前……本気で素人だな?俺が素手の戦闘教えてやるからよ。俺と遊びに行こうぜ」


 ガイヤさんと約束したので【闘都】にある『コローナファミリア』を訪ねたら、速攻でガラの悪そうな人達に絡まれた。


 「たく!お前達の脳味噌は蟻以下かい!魔将戦の時中央で張ってたソタローだよ!」


 奥から出てきたガイヤさんの一喝で大人しくなるガラの悪い人達。


 「すみません急に訪ねてしまって……」


 「何言ってんだい、来なって言ったのは私だよ。さて今日は一個頼みがあるんだけどね」


 「何かクランメンバーの方と戦うって話ですが」


 「おっしゃー!俺がやるぞ!」

 「いや!俺!オレオレ!俺だよ俺!」


 「黙ってな!特にあんたらなんて雑魚もいいところなんだから、先ずは【訓練】しなってんだよ!」


 また怒られてシュンとなってる人達は戦わないらしい。となるとどういう事だ?


 「先日クエスト手伝ってもらった事もありますし、別に【闘技場】で戦うくらい別に構わないんですけど、何か理由があるんですか?」


 「うん……本当は私がこいつらの相手してやりたいんだけどね。どうしても【闘士】はランクってもんが足枷になって自由に戦えない部分があるんだよ」


 「あまり格下相手だと闘技するのにも制限があるって事ですか?まあ自分は【兵士】ですし、特にランクはないので全く構わないですけど」


 「そうかい!それは助かるよ!」


 「じゃあ、自分のマネージャー連れてきますね」


 「もういるっすよ」


 いつの間にか自分の後ろに立ってた鼠のヒト。どこで自分がコローナファミリアに行くことを察知したのか……。


 「ふ~ん、中々面白い相手に目をつけられているようじゃないか。試合形式は任せるよ」


 「え?今回はコローナファミリアの闘技なのに譲っちゃっていいんですか?」


 「そりゃ私自身が出るような闘技なら私のスポンサーが黙っちゃいないだろうけど、あくまでうちの連中に客の入る試合で戦わせてやりたいだけだからね」


 「お客さん入らないんですか?」


 自分が聞くと、何か居心地悪そうにソワソワし始めたコローナファミリアのメンバー。堂々としてるのはガイヤさんだけ。


 「まあ何人かはちゃんと【訓練】するようになって少しはマシなのもいるけどね、どうにも術やら武技やらぶっ放す所から成長できない奴がまだいてさ。ちょっと余所者のアンタに揉んで欲しいんだよ」


 「自分も術や武技は多用しますし、当ればいいんじゃないですか?」


 「そうだよな!当ればいいんだよ!」

 「分ってる!お前は分かる奴だって、俺は思ってた!」

 「いや~よく見ればいい鎧だな~。そんな重い物着て戦えるなんて、立派なもんだ!」


 何か自分に対する評価が手のひら返しなんだけど、なんか怪しい。


 「ソタローは当るから術も武技も使うんだよ!あんたらは当りもしないのに神頼みでぶっぱしてるだけだろ!」


 そりゃ怒られる。ちゃんと【訓練】を重ねて適宜使えばいいだけなのに、なんで当らないんだか?


 「まぁでも自分は避けるの苦手ですし、当るでしょうから、逆に術や武技を極めた相手に弱いですよ」


 「まあそこも含めてだね。当ればいいけど当らないから勝てない。そう思ってるうちの連中の鼻っ柱を叩き折って欲しいのさ。取り合えず相手して欲しい奴らは奥に集めてるから、そっちのマネージャーに見てもらって、カードを組もうじゃないか」


 「本当にいいっすか?正直ここに集まってる【闘士】じゃ相手にならないと思ってたっす」


 「なんだこの鼠が!ああん?」


 一人が騒いだ途端、ガイヤさんのボディブローでその場に崩れ落ちて動かなくなった。


 「悪いね」


 「今のは自分も悪かったす。頑張って強くなるっす」


 ん~どういう事なのか良く分からないけど、鼠のヒトはガイヤさんが忖度する相手だって事か。


 また随分大物にマネージャーになってもらっちゃったのかな?


 話を聞く間もなくクランホームの奥に連れられ、そこには10人程人が待っていた。


 入り口にいた人達とは明らかに空気感が違うが、お客さんが入らないって事あるのかな?


 「タイプは違うが術と武技で戦う奴を集めた。事情はさっき言った通り、人気ないんで客の入るソタローと戦わせて、新しいファンがつけたいってのが、こっちの希望さ」


 「派手なのは人気あるっすけど、全部外してたらそれは見放されるっす……」


 そう言いながら一人一人吟味する鼠のヒト。


 「どうですか?誰と戦いましょうか?」


 「多分それぞれの持ち味を生かせてないのが一番の原因っす。一回の戦いでファンをつけるのは無理かも知れないっすけど、気づきを得られれば変われると思うっす」


 「そうかい、アンタがそう言うならそうなんだろう。それで誰とやらせる?」


 集められた人達の緊張が何となく伝わってきて、自分も息を飲むと、


 「全員っす。ソタローも人気はあるっすけど、ここらでもうちょっと追い詰められるといいっす」


 「え?自分結構しょっちゅう追い詰められてますけど?」


 「なるほどね!こいつらの為に呼んだのに、それを寧ろソタローの為に利用するって事かい」


 「お互いにとって利益になる様に試合を組むのが、腕っすから」


 「そうですか、じゃあ一日何戦かづつ消化って事ですかね。次はいつにしましょうか」


 「違うだろ。全員いっぺんにやれって事さ。アンタら舐められてるよ!気合い入れな!」


 「そうりゃそうっす。じゃなきゃソタローの試練にならないっす」


 何言ってるのこのヒト達?


 何故か殺気が充満するかのような緊迫した部屋。本当に意味が分らない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 練習試合だと思ったら、本番で、しかも、全員と戦う事になったみたいなソタロー 動かない堅牢な砦に、侵入できる強者はいるのだろうか? ってか、一対多数は、動きが遅いソタローにはキツ…
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