155.新装備デザイン問題
毎日のように【古都】から【闘都】に通いトーナメントを見続けたが、優勝は何か戦闘員だった。
ガイヤさんが、ネタグループのBトーナメントの中でも一番のネタにしか見えなかった『戦闘員A』に敗れた。
もう何がなんだか分らないが、実際の試合はかなり緊迫していた。
明らかに奥の手と見られるガイヤさんの高速機動、圧倒的手数に対処する戦闘員ってのは中々シュール。
それでも状態異常を与えて、優位に立ったガイヤさんが大爆発に巻き込まれ、耐え切った所を追い打ちかけられるという、ネタ的決着。
このゲームまだまだ底が知れない。
高い技量を保持していて【闘技場】において圧倒的アドバンテージを持っていた筈のガイヤさんが敗北する。
あの爆発が物理とは思えないので、やはり対術についてもっと真剣に追及せねば。
そんな事を考えていたら、クラーヴンさんから連絡が入り、すぐさま新たな装備の受け取りに向かう。
「お久しぶりです!装備できたって……」
「お、おう、随分勢いづいてるな……まぁいいか。色々迷ったんだが、まだ素材が足りなくて中途半端になっちまってな~」
「そうだったんですか?必要なら狩ってきますけど」
「いや、確かソタローの中隊は今動かせないんだろ?ここまで来るとそん所そこらの魔物の素材じゃ物足りないぜ」
「そうなんですか……確かに性能が色々おかしいとは思ってました」
「まぁ、なんだ。一旦装備を渡してから今後狙うべき必要な素材の事も解説するから、ゆっくりしていくといい」
「はい!お願いします」
「まず、手袋に関しては今迄普通の皮の物だったが、白毛象の手袋素材を使った事で筋力及び耐性効果のある物になった。更に靴も作ったが、残念ながら雪上で使えるものじゃ無い」
「え?巨大マンモスは雪の上を歩いてたのに……、ああでも大きすぎて逆に自分達が深いと思った雪原の雪も物ともしなかったのか……」
渡された靴はかなり重厚なつくりの鉄ブーツが膝までがっちり守られていて、膝蹴りが捗りそうだ。更にそこから腿に厚い革装具が腰まで繋がり腰から吊る形になっているので、腿周りの防御力も上がったに違いない。
手袋の方もちょっと厚手だが、使いづらいってほどでは無い。
色はマンモスの色そのままに白って感じ。
「まあでも鉄靴の代わりに履く分にはかなりの性能上昇だし、悪いものじゃ無いから、うまく使うといい」
ふむ、巨大マンモス装備はかなり良さそうな手応え、特典装備は伊達じゃ無いな~。
「それで、耐性装備に関してはどうでしょう?」
「預かった白い長い毛を使って装備の性能を上げたかったんだが……しっくりこなくてな~」
「しっくりですか?」
「本当はクワガタ冑にあの白い毛を付けて髪の毛状にすりゃいいかと思ったんだが、角も生えてるし洋風武田信玄って感じだろ?」
「いや全然イメージ湧かないですけど」
「まあ、デザインは悪くないと思ってるんだがよ。今使い込んでる軍狼装備との互換がな~デザイン的にどうにもしっくりこなくて……」
「ああ……デザインの問題なんですね。まあ軍狼装備って黒いですからね。白い毛と合わないですか?」
「モノトーンはいいんだよ。ただサーコートが毛皮だろ?毛のイメージが強すぎて何か違うんだよな。サーコートをもっとさらっとしたやつにした場合、今度は耐寒の問題が出てくるだろ?更に全身その象の装備にすると何かシルエットがもっさりするし、白くするなら膨張色だしすっきりしたデザインの方がいいだろ?そうに違いねぇ!」
うん、何かいつも冷静なクラーヴンさんが興奮し始めた?もしかしてデザインの事になると結構こだわりが強いのか?
「つまり温かくてすっきりしたデザインになるような素材で尚且つ毛っぽくなければいいんですかね?」
「そうだ!もしくは一番下に着ている全身タイツをもっと性能のいい奴にして、耐寒耐暑を気にせずに済む様にするかだ」
「性能のいい全身タイツ……。分りました自分は素材の事について全く分らないので兵長とか師匠とかに相談してみますよ」
一応話はまとまり一通り装備を返却してもらうと、何気に貝の胴体防具に貝の肩当てがついていて、代わりに今まで犀の角がついていた筒籠手は前腕だけの篭手になっていた。
「その辺の防具は少し弄ったぞ。犀よりそっちの貝の方が性能が良かったから、胴体防具と一体化させた。貝同士で水精系の能力がちょっと上がったし、悪くないだろ」
「じゃあ、篭手用の素材も探した方がいいわけですか……」
これは素材探しの為に魔物狩り頑張らないとな。
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古貝胴当・・・斬・突耐性(小)
回復補正(小)
<防御>補正(小)
白毛象手袋・・・筋力補正(小)
耐性補正(微)
白毛象鉄長靴・・・重量許容補正(中)
筋力補正(小)
生命精神補正(微)
耐性補正(微)
犀籠手・・・斬・突耐性(小)