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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
152/363

151.巨大マンモス討伐

 焼き物用の赤い瓶の調味料が絡んだ薄切り肉は、しょっぱさの中に甘みがあって、濃い味ながら辛すぎず、食べやすい。


 それがパン職人希望の【重装兵長】の作ったパンが受けとめて、それはもう良くマッチしている。


 どっしりとした味を受け止めながら、ぼやけさせず、ボリューミーながら途中で食べ飽きない不思議。


 隊員が横隊を組んでいる間にもどんどん食べ進める。


 何しろ食べなきゃ剣がもてないのだから仕方が無い。


 そして、敵も何故か待ってくれているので、この間に食べてしまわねば勿体ないだろう。


 「はい!慌てずに移動しながら、さっさと食べちゃってくださいね!食べきれないようなサイズじゃ無いんだから!」


 風に揺れる雪国特有の濃い靄と吐息が白く混ざり合う。きっと靄は今焼肉臭いだろう。


戦陣術 壁陣


 自分を含む【重装兵】に防御術をかける。


 ほぼ同時に振り上げられた巨大マンモスの鼻が地面を抉りながら薙ぎ払われた。


 白い毛が生える太い管が次々と【重装兵】を薙ぎ払いながら近づいてくるので、


 しゃがむ様に膝を折りつつも、盾で打ち上げるようにぶん殴ると、何とか鼻の下をくぐれた。


 重量も質感も幻覚などでは無いと今更はっきり自覚し、対策を考えるが……。


 何にも思いつかない。


 一発で防衛ラインを崩してくる攻撃。巨体はそれだけで凶器だ。


 靄を通して影の様に見える巨大マンモスが大きく息を吸うのに合わせて、


 「体勢立て直し急いでください!『いきます!』」


戦陣術 激励


 バフォォォォォォンとまるで自然現象のような深い地の底から響くような音と共にダメージの無い衝撃がぶつかって来る。


 勘で士気低下攻撃だろうと思って対処したが正解。上手く術で中和できたので、次の手を繰り出さないと……。


 「ソタロー!何にしても離れてりゃ、こっちが不利だぞ!どれか足一本に集中してまずは胴体を落としてやろう!あの巨体で足一本やられたら立ってられないだろう!」


 チャーニンの言葉が、正解だな。


 「全員敵左後足に集合!先ず一本後ろ足を潰す事に集中します!」


 防御力は上がるが、移動力が下がる壁陣を解除しつつ、走り出す。

 

 行軍のしづらい足場にやきもきするが仕方ない。


 その時何となく場の空気が変わったので、


 「全員集合!防御体勢!」


戦陣術 岩陣


 全員で一塊になって、防御体勢を取った所に、再び鼻攻撃。


 今回はお互いがお互いを守るように配置し、尚且つ防御専用の岩陣を使用したことで、鼻を止めることに成功。


 すぐさま岩陣を解除からの鼻への総攻撃。


 話に聞いたとおり動きが遅く、鼻を引っ込めるのにも時間が掛かっていたが、どれだけのダメージになったのかも微妙。


 しかし攻撃対象を引っ込められたら、自分達は大急ぎで移動。


 何しろ目標は後足。象の鼻は自在に動くらしいが、後足には届かないだろう。と言うか届かないで欲しい。


 ひたすら走り前足の横を抜けていくと、突然氷の柱が大量に落ちてくるゾーンが発生。


 隊の左側が巻き込まれた。


 位置的に言うと敵の体の内側に向かって足を廻り込んだ部隊に被害が出たようだ。


 つまり、相手の胴体の下は氷柱落下ゾーン……形状が三角錐だし、ツララ落下ゾーン?


 この攻撃だけで10人がリタイヤ。


 巨体から繰り出される大味な術は威力も十分。巨大マンモスの外側を走るように気をつけて後ろ足を目指す。


 吹き付ける突風と拳サイズの雹。


 完全に巨大マンモスの方向から吹き付けてきていることから、敵の術なのだろう。


 【重装兵】を左に集め雹を受け止めながら、ジワジワと進み続ける。


 そして何とか目標の敵左後足に辿り着いた時には残る【重装兵】は隊長のムジークのみ。


 敵を回りこむだけで被害が大きすぎる相手に頭を抱えるしかないが、ここで諦めたら先にリタイヤした仲間に申し訳が立たない。


 「自分を戦闘に凸隊形!『行きます!』」


戦陣術 激励

戦陣術 突撃


 後足に一斉攻撃。とにもかくにも一心不乱にビルのような太さの足に攻撃を仕掛ける。


 すると、ゆっくりと足を持ち上げ始めたので、


 「全員大急ぎで退避!」


 大急ぎで走って逃げると、背中から追ってくる轟音と衝撃。


 幸いダメージこそ大した事無かったが、それでも全員衝撃で吹っ飛び雪原に転がった。


 それでも、すぐに起き上がり自分が率先して再び足に向かうと、ついてくる隊員たち。


 ふと気がつくと、地面が抉れて足場が凍りついている?


 固い足場に移動速度が乗り、ぐんぐん近づいていくと、後ろでは転倒する隊員が何人かいる。


 なるほど滑る術なのか!と納得したが、スキルで<悪路>なんかを付けていれば、無効化できる範疇らしい。


 再び後足に取り付いて攻撃していると、空が歪むような重圧と緊張感を感じ再び退避命令。


 「全員もう一回退避!」


 距離を取ると今度は巨大マンモスの全身が落っこちてきて、先までとは比にならない衝撃で吹き飛ばされた。


 雪の上を何度も転がり、深い雪のおかげで痛くも何もないが、ひたすら転がるのは気持ち悪い。


 気がついた時には目の前が真っ暗。


 コレはやってしまったか……。

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― 新着の感想 ―
[一言] ( ̄□ ̄;)!!マンモスに、マンモスに踏まれても壊れな~い(//∇//) って、された?
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