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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
151/363

150.雪原の化け物

 雪原の村で一旦ログアウトし、中隊を一旦休息タイム。


 再びログインした時には皆リフレッシュして、やる気が満ち溢れている。


 何にもない村で、何もしないでいたらすっきり爽快全快したらしい。


 ならばと早速、村を出ると魔物の生息地まで雪原の豹が案内してくれるとの事で、本当にありがたい。


 一応雪原全域が生息地ではあるらしいが、集団でまとまっている場所は一箇所。


 雪原の池。


 案内されたその場所は、遠目から見ると何があるんだかさっぱり分からないが、魔物がたくさん集まっているのは間違いない。


 その姿を見て思わず出た言葉が、


 「マンモスだ~……」


 「ここいらじゃ、あいつらの肉を食べて、皮を加工して着る物なんかを作ってるんだ」


 そこにいたのは毛長の象。


 まさか雪原の民がマンモス食べて生活してるとは思わなかった。それにしても……。


 「あんなに大きい奴らが住んでたんじゃ、森も雪原になっちゃうか」


 「いやいや、確かにあいつらはよく飲みよく食べるが【帝国】の森はもっと懐が深い。問題は『森喰い』の方さ」


 「モリクイ?」


 「ああ、姿はあいつらに似ててもサイズは桁違い、一度見れば絶望するかもしれないな」

 

 「見渡す限り雪原なのに、影も形もないんですけど?」


 「まあ、それも怖い所さ。雪原を歩いていると急に暗くなり、それが森喰いの影だと分かった時の恐怖。不運と諦めるしかない」


 「そんな魔物倒せるんですか?」


 「一応記録はある。まだ【帝国】が統一される前の事、遥か東の果て、大霊峰を越えてきた異邦人はこの大陸を巡り、最も貧しくそれでいて力強いこの地を終の棲家と定め、バラバラだった人々に声を掛け力を合わせ、この雪国一帯の危険な魔物を打ち倒したそうな」


 「その事跡をなぞらされるのなら、流石に荷が勝ちすぎるんですけど……」


 「まあその後も挑戦した者は多くいるし、討伐に成功した者もいる。俺は倒した事無いが、基本的にサイズが大きいだけあって動きが鈍いらしい、代わりに氷を生み出して攻撃してくるから、それに気をつけるしかないって、話だ」


 「ふぅ……仕方ない。そいつの所向かいましょうか」


 「ああ、それが何しろ急に現れる魔物なもんで、雪原をあてどなく歩き回るしか出会う方法は無い。寧ろ出会えたら、お前が相対するに相応しいと運命が引き合わせたんだと思うんだな」


 なんと、運任せのレギオンボス!


 あてどなく歩き回れば、会えるかもねって何それ!


 言うだけ言って雪原の豹帰っちゃうし!


 それでも黙々と歩き始める自分の中隊ときたら、真面目で本当にありがたい。


 それにしても、異邦人ってアレかな?この前【座学】で聞いた<戦陣術>の原型の話と繋がってない?


 どっちも遥か東から来たって話だったような……?


 ……アレ?よく考えたら遍歴の指揮官の本ネタってそれ?


 世界を巡って色んなヒトを助けて歩いたんだろうけど、終の棲家が【帝国】だからって、自分に勝手にその名前覆い被せた?


 そんなこんな、あてどなく雪原を適当に歩き、時々マンモスを狩って肉を集める。


 しかし、足が埋ってただでさえ距離が稼げないストレス行軍。辺り一帯雪原でどれだけ進んだかよく分らないし、しかもゴールが分らない。


 いや『モリクイ』に会えればゴールなんだけど、運頼り。


 隊員達に疲れが見え始めたので、早目に休憩と食事。


 こういう疲れる行軍の時は、こまめに休憩を取っていつボスと遭遇しても良い様にリフレッシュしておいた方が良い。


 雪原の中セーフゾーンがあったので、すぐに火を起こして食事タイム。


 簡単なものでいいだろうと、マンモス肉を薄くスライスしていく。


 それを赤い瓶で味付けする係、焼いていく係、パンに挟む係と分けて、流れ作業で焼肉サンドイッチを作っていく。


 出来たそばから配り、冷めない内に食べてもらう。一応この隊の代表である自分が最後だ。


 次から次へと肉を削ぎ落としている内に、何となく暗くなってきたが雨が降るわけでもなし、気にしてもしょうがない!


 「そこ!手が止まってるよ!もうすぐ全員分出来るんだから急いで!」


 流れ作業はリズムが大事、どこかで一人が止まると全体のリズムが狂う。


 「ほら!そこ食べ終わったら片付け手伝って!休憩時間は短いよ!」


 出来たそばから配っているので、食べ終わった【兵士】達が空を見てボーっとしているので注意する。


 そりゃ休憩なら休みたいのも分るが、先に食べたら片づけを手伝うのがうちの中隊のやり方。


 「グォォォォォン!」


 突然空が唸るような音をたてたので、見上げると目の前には巨大なシルエット。


 何しろいつの間にか薄靄が出てる上、ちょっと薄暗い。


 しかし、大きい……。生き物で存在しちゃいけないサイズ。大型ショッピングモールが襲ってくるかのような重圧に思わず息を飲む。


 セーフゾーンにいた筈なのに、レギオンボスが出てくるなんて……。


 ああ、でもセーフゾーンだから攻撃してこないのかな?


 それじゃあ、今作ってるので最後だしご飯食べてから……。


 いや、無理か……折角運よく出会えたのに、また見失ったら事だ。自分がセーフゾーンの外に出ると中隊が後に続く。


 「皆さん『行きます!』食べながら隊列組んでください!」


戦陣術 激励

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― 新着の感想 ―
[一言] 食べながら隊列を組む え、食べながら? もぐもぐしながら? お皿持ってパクパクしながら? 帝国兵なら、パクパクしながらでも、隊列組みそうだな……………ww
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