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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
148/363

147.今更術の基本

 「氷の術を使う相手と戦ったんですけど、術士との戦い方が分らなくて苦戦しちゃいました」


 今日は先日の苦戦からもう少し対術戦を教えてもらおうと【訓練】に時間を費やす事にした。


 その事を伝えると師匠兄弟は嬉々として、じっくり話を聞こうじゃ無いかと【帝国】の曇天の下、訓練場の片隅にお茶を飲めるスペースを作ってしまったので、そこでティータイム中。


 「確かにソタローには対術の戦闘を教えてこなかったが、何でか分るかい?」


 「自分が術に向いてないからですかね?」


 「いや、集団戦においては術士の攻撃は術士が相殺するから、ソタローは指揮や剣を振ることに集中すればいいからだよ」


 「そうですか……集団戦の戦い方を学んできたのに、何でまた【闘技場】で上官達と闘わなきゃいけないんだか」


 「多分上官達がソタローに興味があるからだろう。やはり拳を交わした方が多くのことを語れるからね」


 うん、脳筋国家的解決方法だった。


 「でもそんな事しなくても出世するヒトもいますよね?」


 「うん、だがニューターはある意味この世界では新参だ。出世するにはそれに応じた成した事業なり仕事なり実績が必要になるのもまた自明の事さ。ソタローの追ってた隊長だって表向きにはされていないが大変な仕事をしたんだから【上級士官】でも足りないと思うよ」


 「まあ、自分は自分の中隊で【帝国】中の困った中隊級ボスを倒す事と自分に興味のある上官を殴れば出世できるんだから、優遇されているとは思いますけど」


 「それだけじゃ無いさ。対魔将戦で一翼を担い、白竜様の楔の内二つまで解放している。コレだってとても大きな実績だよ。多分だけど白竜様復活までさせたら、それだけで【帝国】の幹部だと思うよ」


 「いや政治の中枢に登る気は無いので、それは勘弁してください」


 「ホアン!そんな事よりソタローは術の事を知りたいんだろ?是非教えてやろうではないか!弟子が望むものを師匠が持っていなかったらガッカリされてしまうぞ!」


 「兄さん……ソタローはそんな薄情な弟子じゃ無いよ。でも確かに対術戦について教えてあげなくてはね」


 「よろしくお願いします。そもそも術と精神力をコントロール習ったんですけど、術そのものの事をよく知らなかったなと」


 「術の種類はかなり多く、全てについて解説する事は出来ないが、共通するのは媒介が必要で精神力を消費する事だ。だがソタローは術を掛けてくる相手に対抗する方法を欲しているのだろう!」


 「術は術で相殺するのが基本。もしくは耐性を高める装備で我慢するかだね。基本的にそれしかないんだが、<鋼鎧術>耐守鎧はまさに耐性を上げる。しかしその他の術はこれと言って術に対抗する物じゃ無いね」


 「<壊剣術>天荒 は剣を自在に扱う術で術によるダメージを与えるものでは無いが、敵の防御術を破壊したり、敵の術と当れば相殺する等、対術性能はある。範囲術などは 天崩 で相殺可能、地面に影響を与えてくる術は 天沼 と実は対術向きなのさ」


 「そうだったんですか、いつの間にか対術の【訓練】も受けていたんですね……。じゃあ自分の使い方が悪くて苦戦したんですね」


 「いや、相手が雪原の豹だったのなら、仕方ないだろう。何しろ手数が違う。寧ろよくアレだけ早い相手に勝てたものだ」


 「素早く、術の使用が上手い相手などソタローが最も苦手とする相手だったと思うよ。勿論【闘技場】用に本気の装備じゃなかったから勝てたような薄氷の勝利だと思うけど、それでも立派なものだ」


 「そうですか、相性上不利だけど、何とか勝てたのならいい結果だった訳ですね」


 「そうさ!だが!我らの弟子ソタローはこんな所で留まるほど軟弱では無いと、そういう事だろう?だから今日という時間を作ったそうだね!ならば全力で答えるのが師の務め!」


 うん、何かセサル師匠のテンションが上がってきたけど、大丈夫なやつかなこれ?


 「兄さんの言うとおり!ソタローは鉄壁にして不屈!術にはちょっと弱いなどと言われたら、名折れもいいところだ!ここは完璧に仕上げる必要があるよ!」


 「あの、それで術の事を教えていただきたいんですけども……」


 「さっきも言ったろう?術は沢山あるんだ!1個づつ攻略など出来ない。ソタローはソタローのやり方で打ち破らねばならないんだ!そしてその方法は一つ!」


 「そう!絶対的な防御力と筋力こそソタローの強み!『<総金属>だから物理には強くても術には弱いだろう』などと考える者の心をこそ圧し折るべきだ!」


 「それって【訓練】でどうにかなるものですかね?」


 「無理だ!ソタローの剣は打ち砕くものだから、相手の術を相殺する方法は教えられる」


 「僕は耐守鎧で術を体で受け止める方法なら教えて上げられるけど、それだけだね」


 「じゃあ、防御力はどうなるんです?」


 「ふっふっふ、装備で何とかしよう!」


 「その通り!中隊級ボスの中には氷を使う魔物がいる。氷精装備は言ってみるならば耐性装備。術のみではなく状態異常にも強くなれる装備が出来るという物。これがソタロー強化計画さ!」


 いつの間にか師匠達の中では自分の強化計画が練られていたらしい。

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― 新着の感想 ―
[一言] ソタローが頼りにしている師匠も実は脳筋国家の一角(笑)
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