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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
147/363

146.雪原の豹は皇帝派

 盾を拾ったところにすかさず、氷片の範囲攻撃が飛んできたので、


殴盾術 獅子反射


 盾で氷片を受けて、代わりに獅子のエフェクトが盾から飛び出して相手に襲い掛かる。


 体を丸めて受ける相手をそのまま強力なノックバックで吹っ飛ばす。


 相手が転がってる内が距離の詰め時と、


殴盾術 獅子追


 直線に高速で進むだけの術で真っ直ぐ追えば、追いついて轢いてしまう。


 それでも立ち上がった相手は中距離攻撃を危険と判断したのか、両手の平を見るように目の前に掲げて構え、


 エフェクトが指先に集まっていき10指に氷の爪が形成された。


 更にそこから左手の上に氷塊を形成、そのまま投げつけてきたのを


殴盾術 獅子反射


 流石にそれは既に見た術とばかりに避けられてしまったが、今度は相手から積極的に距離を詰めてきた。


 盾を再び奪われるのは避けたい所だ。ならばやる事は一つ。


殴盾術 獅子打

壊剣術 天荒


 両手に持った武器で力の限りぶん殴る事。


 相手の引っ掻きと剣がぶつかり、盾を掴んできた所を寧ろ殴る。


 更に近距離で膝蹴り同士がぶつかり、重量のある自分が優勢。


武技 撃突


 肩でぶちかまし、そのまま尻餅をつかせ、


武技 踏殺


 踏みつけたが、それは転がって避けられてしまい、


 逆にその隙を突かれ横合いから脇腹を氷の爪で抉られた。


 相手の膝の内側から蹴りを引っ掛け、もう一度転ばせ、剣を突きこむ。


 氷の盾で、それも一瞬止められ、また避けられ、今度は冑越しに顔面を抉られた。


 視界が歪み、相手をちゃんと認識できなくなった所に、大技を喰らったのか何か超重量の塊に押しつぶされ、目の前が真っ暗に……。


 気がつくと、うつ伏せに倒れていたので、顔を上げ様子を見る。


 起き上がった所で、相手が何故か慌てたように高くジャンプしながら襲い掛かってきたので、


殴盾術 獅子打


 盾で応戦、体が妙に軽い。何かこの前もこういうことあったなと、剣を地面に突き立て、


壊剣術 天沼


 盾を捨てた所で相手が距離を取り直そうとするので、


鋼鎧術 空流鎧

鋼鎧術 天衣迅鎧


 そのまま真っ直ぐ距離を詰め、いつ爪を解除したのか殴りかかってきたのをそのまま抱きかかえ、


武技 鉄擁


 密着状態からの攻撃は頭突きと蹴りだけ、


武技 鐘突


 あとはひたすら膝蹴り、


 自分の重量と筋力から逃れる術は無いのか、拳でガンガン殴ってくるが、何しろ脇の下に手を差し込んで完全にホールドしているので、大したダメージにならない。


 もうどうにもならないと判断したのか、相手がギブアップして終了。


 妙に疲れたな~と、鼠のヒトの喫茶店に引き上げ、


 何となく力を抜いてだらっと過ごしていると、皮服の【上級士官】が現れた。


 試合後会いに来るのがルールなんだろうか?


 「いい腕だな。噂に違わぬ実力だ。どうだこのまま【帝都】に仕えないか?」


 「お誘いありがたいんですけど、自分は現場でやりたいので……」


 「そうだろうな、それだけの腕があれば最前線で力を試したいだろう。断られてもちゃんと【上級士官】には推すから安心していいぞ。ところでソタローは宰相派と言う噂を聞いたんだが、本当か?」


 「よくは分らないですけど、いつの間にか派閥争いに巻き込まれてるみたいです。でも隊長とかもそういうの特に興味なかったと思うんですよね」


 「ああ、勝手にそういう事を言ってる奴がいるだけだ。そりゃ意見の食い違いは個人だってあるし、国ともなれば尚更だ。磐石な一枚岩とは言い難いが、国務尚書と皇帝は元々仲が悪い訳じゃ無いし、なんで敢えて乱を生むような事言う奴がいるのか俺には理解出来ん」


 「そうなんですか。じゃあ白竜様復活の件とかも別に反対とかもないんですね」


 「無いな。寧ろ俺の先祖だって白竜様を信奉してたし、もっと積極的に復活に動いていいと思うぞ」


 「白竜様が皇帝になる事に付いては?」


 「別にいいんじゃ無いか?皇帝陛下が軍のトップ国務尚書が内政のトップ。その方が上手く行く気がするほどだな。何しろ一般の国民は未だに初代皇帝は白竜様だと信じてるくらいだし、いつか復活すればもっと幸せな国になると思ってる」


 「何で白竜様が復活すると、幸せになるんですか?」


 「そりゃ、白竜様の力は絶大だ。俺達では手の出ないような強敵も蹴散らしてくれるだろう。そうなればもっと安全に暮らせる。つまり労働力を稼ぐ事に使えるわけだ。幸せになるだろうよ」


 「でもその働き手を軍に出さないといけないほど、東部は貧しいんですけど」


 「あ~東部のことはちょっと分らないんだよな~俺も先祖も西部の何にも無い雪原に住んでるし、満足に商業が成り立たなかった頃は相当貧しかったらしいからな。寧ろ木も鉄も農地に出来る土地もあって何で貧しいんだ?」


 「入り組んだ地形の所為で物流が悪い事と、農作物を育てる土地はそこまで広く取れないからですかね」


 「なるほどな。それでもっと国を富ませなきゃならないって奴がいるのか。でも富むのは商業地の西部だけだから偏りがあって、東部から【兵士】を集める状況を生んでると……。じゃあ結局何が悪いんだ?」


 「それが分らないんですけど、自分はもう少し自由に夢を追える環境だったらいいなと思います」


 「夢ねぇ……」


 多分このヒトは皇帝派かもしくは現体制派なんだろうが、別に嫌われている訳じゃ無いらしい。

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[一言] 夢ね…………… NPCというか、AIというか、プレイヤー以外は実は長男以外は夢を叶える為の最短距離が、家から出て、兵になって、希望する技術を得ながら金を貯める と言う、健全な生活を…
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