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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
139/363

138.湖上のペンギン戦

 もし、自分に隊長の様な隊全体を高速で移動させるような術があれば……、そんな事を思わないでもない。


 しかし、実際ないのだから仕方ない。決戦は湖中央の島!目指す先には大きな木が一本。


 固まっていれば全員まとめて吹っ飛ばされる。それ故湖を囲むように中隊員を並べ、一斉に集合する作戦だ。


 作戦と言うにはあまりに稚拙だが、全員が全力で走り、バラつきがあるからこそ被害を最小限に減らせるのでは無いかという試み。


 滅茶苦茶なのは承知の上で、やるだけやってみる。失敗した時はまた考え直せばいいのだ。


 「皆さん配置につきましたね。じゃあ『行きます!』GO!」


戦陣術 激励


 一斉に湖中央を目指し走り始める中隊。


 自分は圧倒的に遅いが、どこからペンギン出てくるかな~と様子を確認しつつ、走る。


 そんな折、ふと遠目に見えるタテガミの派手なペンギン!イワトビペンギンだ!

 

 話しに違わず、腹で滑って中隊員に突撃していく。


 ギザギザと滑り、中々上手い事轢き跳ばせなくてイライラしている様子が、見て取れる。


 そして、何を思ったのか自分の方へ向かってくるペンギン。


武技 衝突


 イワトビペンギンに吹っ飛ばされ宙を舞う。


 背中に感じる雪とその下の氷の感触……硬質で厳しくも頼りがいのあるその感触は自分の目を覚ませるようかの痛み、


 「ああ……生きてるな~。まだ全然いける」


鋼鎧術 天衣迅鎧

鋼鎧術 多富鎧

壊剣術 天沼


 集団戦と言う事で、集団戦セットに切り替えテンションMAX!!


 仲間の士気も十分!つまり自分の防御力も攻撃力もMAX!!!


殴盾術 獅子打


 単体中隊級ボスの巨体に轢き跳ばされ、宙を舞うがまだまだ平気。ちょっと轢いた位じゃ何ともないぞ!


鋼鎧術 彩光鎧


 自分の光に引き寄せられる様に向かってくるイワトビペンギン。お次は……剣を引き抜き、


壊剣術 天崩


 また轢き跳ばされるが、全然大丈夫!!もう一回、


壊剣術 天沼


 更に盾もそこらに捨て、身一つでイワトビペンギンを待ち構え、突っ込んで来た所に、


武技 鉄擁


 適当にイワトビペンギンの頭辺を抱え込み、そのまま取り付いて視界を全身使って塞ぎ、


武技 鐘突


 からの膝蹴り連打で、嫌がらせをしてやる。


 いつの間にか天沼の範囲外まで運ばれ振りほどかれたので、剣と盾を拾いに返り、また湖中央を目指してダッシュ!


 なんか自分がテンションが上がっている内に、皆結構いい所まで進んでるので、頑張って決戦の地にたどり着いて欲しい。


 今一番遅れてるのは自分なのに、何故かイワトビペンギンは自分を追ってこない。


 折角だし、ここはもう一つやってやろうじゃん。


 「皆さん『行きます!』防御力を上げますので、一人でも多く中央に辿り着いてください」


戦陣術 激励

戦陣術 戦線維持


 イワトビペンギンに轢かれてもめげずに、中央を目指す中隊員に心強さを覚えつつ、中央を目指してダッシュ!


 クーリングタイムが終わった、


鋼鎧術 彩光鎧


 を使用してイワトビペンギンを誘い出す。


 もう、小細工はいらない!


 寧ろ、普通に歩いて中央を目指す。


 いっそイワトビペンギンは自分だけを狙えばいいのに、と思いながら。


 圧倒的な体格とサイズ、どうあがいてもぶっ飛ばされる相手。


 技巧でもなんでもない、力で自分を上回る敵を今は好きでしょうがない。


 今ならチータデリーニさんが熊を絞め殺した気持ちが分る。


 自分の全力の筋力をぶつけていい相手、どれだけ血を回し、盛り上げた筋肉で突っ込んでも、轢き跳ばしてくる強敵に、高まる気持ちを止められない。


 自分の前に立ったイワトビペンギンが、翼で打ち付けてくるのを


殴盾術 獅子打


 盾で迎撃する様に殴り返しながらも押し潰され、それでも自分の目に写る短いペンギンの黄色い足に、


壊剣術 天崩


 剣の射程を延ばして斬り払う。


 足を狩られて転ぶイワトビペンギンに、


武技 踏殺


 飛び起きたイワトビペンギンが嘴で突いてくるのに、クワガタ冑で受けながら片目を剣で潰してやる。


 そのまま湖中央を目指すと既に中隊メンバーは辿り着いて、隊列を組んでいた。


 自分が前線でボスと戦ってた所為か、士気は既に十分。


 何なら少し視線が痛いが、そんなに皆もあのイワトビペンギンとやりあいたかったのか……。


 まあここから!


 全方位に対処できて、尚且つ攻防共にバランスよく、移動は苦手だが拠点防御に向いた陣形な~んだ!


戦陣術 円陣


 島の中央で、周囲を警戒するように円く陣取りをし、イワトビペンギンを迎え撃つ。


 湖面の氷を使い、滑って加速するイワトビペンギンが、障害物に乗り上げ、そのまま陣の真ん中に飛んできた。


 全周囲に対応する陣形の弱点は中心。


 そしてその中心にいるのは自分。


 吊り上がる口角に気が付かぬまま、涎を垂らさんばかりに待つ強敵。


 周囲は仲間が囲み、まさに決闘のリングだ。


 どうあがいても単独では対応できないその巨体、攻撃力、無尽の生命力を自分が一番堪能できる。


 陣の中央弱点地帯は、最高のポジション。


 中隊長だからいる事の出来た。最も危険で甘い誘惑が、昂ぶらせてくる。


壊剣術 天沼

鋼鎧術 多富鎧

鋼鎧術 天衣迅外

鋼鎧術 空流鎧


 さあ、自分も無手だ。殴り合おう!

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