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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
137/363

136.【帝国】北西部巨大湖

 自分の中隊は【古都】を北に抜け【帝国】北部を流れる川を西に流れに沿って下っていく。


 途中周辺の村に立ち寄り【往診】したり、結構な量の物資を任されているので【輸送】をしたり、近隣の魔物を間引いたりとやる事は多い。


 その為、進みは遅いが元の任務に戻った安楽な気持ちで行軍している。


 今回向かうのは【帝国】の西部と言う事で、自分も行ったことが無い土地だ。


 おおよその地理で言うと、【古都】が東側の要所、【旧都】が【帝国】大河沿いの中央に位置する要所、【帝都】が西側の要所って事らしい。


 しかし【帝国】北部は基本的に田舎。村があればいい方の不便地帯となっている為、行軍するついでに出来る事はやっておけとの命令。


 本当は南側国境となっている大河沿いを歩けば速いし、便もいいだろう。


 しかし元々辺境もいいところの【古都】出身者達にとっては別に北側を歩いたから困るような事も特に無い。


 寧ろ似たような境遇で生活しているヒト達と自然と付き合ってて、現状の行軍は順調そのもの。


 途中カトラビ街に立ち寄った時は周囲を囲む絶壁に唖然とした。


 下から見上げただけでは全貌の掴めない、高い崖に囲まれた街。


 どうやら、遠い昔崖に穴を開けて内側の盆地に街を作ったのだとか……。


 一体誰が、盆地になっている事を発見したのか聞いたが、13英雄の一人がなんとかかんとか……。一応街ができてから、この街は天然の要害として守りやすい地形として存在しているのだという。


 ちなみに【帝国】成立時はまだここはただの絶壁地帯だと思われていたらしく、誰も住んでいなかったんだって。


 数日逗留した後、また移動。


 カトラビ街は【帝国】北側のほぼ中央なので、ここから西側が【帝国】北西部って事になる。


 西側に入ると地形がなだらかで、自然と行軍速度が上がる。


 田舎村すら、何となく豊かそうと言うか不便さを感じないのは、多分流通がしやすく物の行き来が上手くいってるからだろう。


 何でそう思うのかと問われれば、普通の行商風のヒトが、当たり前の顔をして滞在してるから。


 東部とは大違いだ。


 まぁ、東部は山や谷だらけだし、大変だよな。


 変わらないのは、やたら木がいっぱい生えてる事。木の所為で視界が悪い道を進んでいくと、いきなり開けたので、急に明るくなったのかと錯覚するほどだ。


 年中曇り空の【帝国】で、眩しいほど明るいなんて事は無いのだが、それでも木々の間よりはずっと明るい。


 何でこんなに開けたのか不思議に思い周辺を確認すると、どうやらここが目的地。


 足元が凍って、普通に歩けるのでただの雪原にしか見えないのだが、凍った湖の上に雪が厚く積もっているだけのようだ。


 まさかこのままつっ込んでいきなりレギオン級ボスと対峙と言う訳にも行かないので、周辺の町を探して逗留及び、情報収集。


 湖の周りの町はログハウス調の暖か気な一軒家が大半。そもそも【帝国】の建物は木造建築が多いんだけど。


 中隊の逗留先が決まり情報収集を始めると、早速チャーニンがやってきて、


 「ソタロー!情報提供者が見つかったぜ!」


 との事なので向かうと、透明なお酒を片手に湖を眺めながら倒れた巨木に腰掛ける一人のおじさん。


 「ふん、あんたがこの湖の魔物を始末してくれるんだって?そりゃ俺達も一時この湖が静かになってくれればありがたいことだが……さて、そう上手くいくかな?」


 「そんなに手強い魔物なんですか?」


 「ああ……飛ばない鳥はただの化け物だ……」


 「相手は鳥なんですね?」


 「ふっ……翼は飛ぶ為じゃなく、目に映る邪魔なものを弾き飛ばし、異様なほど鋭い嘴はあらゆる肉を抉る。その腹で氷を滑り高速で近づいて全てを轢き潰し、危険を感じれば湖に潜って足元から襲ってくる狡猾さも兼ね備えている。そんな化け物さ」


 こんな事言っているが、多分相手はペンギンだ。何しろイベントの時クラーヴンさんが、どこからか情報を仕入れて来ていた。


 ただ、クラーヴンさんは戦闘職では無いので、弱点やそういった情報収集に付いては苦手なので、こうして現地で聞き込みしている訳だが、現状攻撃手段だけ理解したって所かな。


 しかし湖に潜れるとなると厄介だ。泳げるメンバーがいればいいが、こんな北の最果てで<水泳>するおかしなヒトもいないだろう。


 「ちなみに、この辺のヒトってどうやって生活してるんですか?産物とか」


 「もう少し南に行けば商業が盛んなんでそっちに出稼ぎに行く者が多いが、この辺だと湖に穴を開けて釣りをしたり、他の国からの観光とかだな。海周りで【帝都】に入ってある程度規模の大きな商隊と一緒に来れば別に危険もないし、逆にここより東に行けば森が深すぎるし、更には山や谷がどんどん出てきたら一般人には到底入り込めないだろ」


 「なるほど、ここって結構【帝都】に近い場所だったんですね。まさかレジャースポットとは……」


 「ただし、でかい魔物が住んでるんで湖の縁しか入れないけどな。一時的でも魔物が大人しくなってくれれば、結構賑わうし稼ぎ時なんだが……、しかも【帝国】北辺ってのは魔物さえ発生しなければ、病にかからないって言われてるし、結構子供が病弱な家庭は【帝国】で育てたいってヒトもいる位だしな」


 自分のイメージでは渓谷から連鎖的に病毒が発生している様に思ったんだけど、普段なら療養地としても使われる土地柄だったのか……。

 

 ここは一つ、頑張ってみますか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 病毒が、蔓延……………ww そりゃあ、イベントやクエストでしかこないからな~(//∇//)
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