135.【帝国】魔物討伐隊結成!
「チャーニン!スルージャ!久しぶり」
「久しぶりだなソタロー!何かちょっと会わない内に出世しやがって~~!」
「おい!チャーニン上官だぞ!しかも今回は更に昇進の為、皆で中隊ボスを倒して回るんだから、もうずっと雲の上のヒトだよ?」
「いや、そんな事はどうでもいいけど、スルージャは絵の勉強進んでる?」
「うん、おかげ様でちゃんと勉強させてもらってるよ」
「スルージャは凄いよな~。俺なんてまず自分が飯食えて、ついでに家族も食えていければそれでいいもん。他に強いて言うならもてたらいいな~位」
「それでも立派だと思うよ。特に何するわけでもなく、普通にしてれば普通に食べれるから、何をしたいかも分らないままより、ずっといいと思う」
「それで、そんなに出世されたらたまらんわ~」
「うんうん!【王国】の【闘技場】でも既に有名だって聞いてるのに、相変わらずだねソタローは!」
「そうかな?そう言えば国務尚書は、なんかもっと農家のヒトでも色んな道に進める方法を知ってるみたいだけど、他にも色んなことが出来るとしたら何がしたいの?」
「俺は別に【兵士】が結構性格にあってるからな~このまま強くなりたいかな」
「自分も絵の勉強させてもらってるからな~……弟は農家があってるみたいだし、まあ飢饉でも皆がちゃんと食べれればそれでいいかな」
そんなこんな話している内にヒトが次々集まってくる。
今日は自分が率いる中隊の顔合わせの日。これから【帝国】中の中隊ボスを倒すのに、魔物討伐隊を編成し、今後一緒に戦う仲間達と意志の疎通をする訳だ。
最初に現れた二人は自分が【熟練兵】の頃から顔を知っている【歩兵】チャーニンと【偵察兵】スルージャ。この二人も既に部隊は率いる立場らしいので、諸々頼む事になるだろう。
全員集まった所で中隊編成の内訳だが、【歩兵】【偵察兵】【弓兵】【重装兵】【衛生兵】各20人の自分にとって一番なれたスタンダードな内容。
そして各隊【歩兵隊長】チャーニン、【偵察隊長】スルージャ、【弓兵隊長】クラーク、【重装隊長】ムジーク、【衛生隊長】ミールが、取り仕切る事となった。
「さて、チャーニン、スルージャは知ってるけど残りの三人も一応経歴とか得意な武器とか聞いておいてもいい?」
すると、【弓兵隊長】クラークが前に出て、
「自分は元々ルーク隊にいました。得意武器はクロスボウ。出身は【古都】近くの農家です。父の弟の叔父達はじめ、先祖代々【弓兵】が多いので子供の頃から最低限ちょっとした魔物は狩れる位には親戚から習ってます」
ふむ、ルークみたいな貴族出身じゃなくとも幼少期から【訓練】してる家庭もあるのか。
「あとそうだ。何かやってみたい事とか、今後なってみたい職業とかあれば、それも一緒にお願い」
「しいて言うなら【狩人】ですかね?叔父達は【兵士】引退後大体【狩人】をやって近隣農家の安全を守ってる人達だし、割りと安定的な路線なんですけど」
うーん、なるほど。先祖代々ある程度安定的に暮らせてるからそれを受け継ぐ感覚なのか。
「次!」
「【重装隊長】を拝命しましたムジークです。出身は渓谷沿いの氷麦農家、得意な事は氷麦を使ったパン作りです。得意武器は実家でよく使っていた長柄鎌です。やってみたい事はパン職人です」
パン職人くらい都なり街に出て修行すればなれると思うのだが、やはり家族を食べさせてからって言う発想になるのか、はたまたそこそこいい給金を貰いつつ、料理修行も出来るから【兵士】になったのか。
しかし長柄鎌って、てっきり死神が持ってそうな大鎌かと思いきや、本当に柄の長い普通の鎌だった。
「その鎌ってどうやって使うの?」
「両手で持って、思い切り振れば切れるし、刺さります。あとは引っ掛けて使う事が多いです。形状的に首とかに引っ掛けやすいので、立ったまま倒れた相手の首に引っ掛けてもいいですし……。盾を持ってる時はこっちの手斧を使ってます」
結構えぐかった。想像したら結構戦いやすい。突きに向いてないだけで、別に殺傷能力が低い訳でもなしか。使い慣れた農具を武器として使ってるっていうのが、手に馴染んでるように見える所以か。
「次!」
「【衛生隊長】ミールです。ソタローとはカピヨン隊の時に近隣村の【往診】任務に付いてました。【衛生兵】は給料貰いながら勉強させてもらえるので、志願しました。将来の夢は農学者ですね。実家のマルコーフィの品種改良と収穫量を増やしたいなと思ってます。得意武器は警邏隊が使ってる警棒です」
覚えてない。
一緒に働いてたのに顔を覚えてないとか、言い出せない。
しかし、勉強したいから【兵士】になって、将来は農学者じゃ遠回りのような気もするがそんな事無いのかな?
まあ、大体部隊長の顔と雰囲気は分った。
全員農家出身だ!
しかし、そこは実力(筋力)主義の【帝国】だし、戦闘能力は大丈夫だろう。
お互いが連携することで、強固な陣形と粘りで戦うのが持ち味なんだから、個の武勇より仲間との助け合いの方がよっぽど重用。
兎にも角にもこの中隊の先頭に立って、ボス狩りと行きますか。