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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
129/363

128.隊長行方不明とモチベーション

 「隊長……今頃どうしてるでしょうね?」


 「あ?なんだ?邪険にしてた割には隊長の事気になるのか?」


 「そりゃそうですよ。別に邪険にしてるとかでもないですし、ただ変わり者過ぎて思考が読めなかっただけで、実力で言えば追ってて良かったと思える人でしたよ」


 「そうやって、余りあわない相手でも認められる所がお前のいいところだな。でもお前に出来る事といえば、あいつの代わりに少しでも仕事を請けることくらいだぞ?」


 「はぐらかしましたね?変だと思ったんですよ。あの日は自分同様【古都】にいた筈。いつもの行動パターンなら【兵舎】で休んでてもおかしくないのに、どうやって抜け出したのか、兵長のいるこのカウンターをどうやって抜けたのか」


 「あ~なんか捨てる予定だったオンボロのマントが一つ無くなってたが、それ位しかあの日は異常がなかったなー」


 AIの筈なのにめっちゃ演技が下手なのは、どういう事なんだろうか?


 「分ってますよ。ニューターはヒュムを殺せない。神の作ったルールに違反は絶対に出来ない。つまり隊長は何かの陰謀に巻き込まれたんですね?今回の手配相手は【教国】です。つまり【教国】に隊長を陥れたい誰かがいるってことですよね?自分は誰を倒せばいいですか?」


 「そうだな……俺に言えることは、余計な事はするなだな」


 「自分では、何も出来ませんか?」


 「いざ、戦うとなればお前に頼る事もあるだろうよ。だがな、上は上で権謀術数張り巡らしてるし、何より当本人は、そう簡単に捕まる気がない。なんなら自分で解決するつもりだぞ?あの悪夢の様な腹の据え方と人脈。金遣いの遠慮の無さと、何より個人及び集団の戦闘力を使う瞬間を見えない場所で狙ってやがる。俺には分る」


 「そう……ですか。考えるだけで悪寒が走りますね……。【教国】は存続できますか?」


 「それは、保障できないな」


 隊長の件を兵長にちょっと聞きたかっただけなのだが、ただのホラーでしかない。


 もしかしたらゲーム内で一国が消える瞬間を目の当たりにするのだろうか?


 それでも隊長からいつ救援要請が来るとも知れない以上、自分に出来る事は……。


 【教国】を滅ぼす先方となるだけの実力を蓄える事?


 駄目だ……足に力が入らない。こんな日は何も考えずに過ごしたい。


 【帝国】にいれば当然隊長の噂が入って来るし……。しかも物騒そのもの……召集があればいつでも【教国】を滅ぼすとか、目がマジなんですよ。NPCの目がマジってつまりマジだから……。


 【海国】はなんだかんだ隊長なら逃げ切れるって言うか、世界征服するんじゃないかって言う……。


 自分一人敵に祭り上げたこのゲーム及びNPC達に徹底的に復讐を企み、裏社会から絶対的強権を発するとか、何系の発想ですか!


 『騎士団』に到っては、隊長を狙ってPKの動きが活発になってきたので、これを機にPKに実力と言うものを思い知らせるとか。


 一応隊長は世界的指名手配で、プレイヤーでも当然狩る権利はある。でもゲーム的イベントなので別に悪い事して無いよって言う事も明言されている。


 つまり隊長一人が逃げ子の鬼ごっこな訳だが、徹底的に隊長に味方する勢力が尽く世界の上位陣。


 噂にしか過ぎないが、最強のPKが隊長に敵対する連中を容赦なく皆殺しにしてるとか……。


 詳しい事は分らないが、PK最強は何だかんだ正々堂々とPKを宣言してから対決するスタイルだった筈なのに、今では一歩でも街や都から出ようモノなら、容赦なく皆殺しの暗殺状態とか……。


 これは嘘だと思うが、忍者のような黒い影が『ゲンバの邪魔はさせん!』と小さな声で呟いていたとか……?何の事かさっぱり分からない。


 そんな中唯一心休まる場所が、まさかの【闘都】だとは思わなかった。


 何でもガイヤ姉さんの鶴の一声『隊長に挑みたい奴は私に勝ってからにしな!知ってるだろ!今の所私は負け越してて下風に立ってる以上、露払いは私の仕事だよ!誰であれ挑戦は受け付ける!』とまあ男前の……女前の宣言により誰も隊長に挑もうって言う人はいなくなった。


 逆に言えば、自分が挑戦しやすい状況でもあるが、隊長を利用する事に気後れもある。


 いや、何だかんだ隊長なら別に気にしないとも思うのだが、それこそ自分は【教国】滅亡の先方を預かるかもしれない身であり、隊長に楯突きますなんて言うと色々波紋が広がるかもしれない。


 一回だけPKと思われる人に隊長に組する者として、情報を引き出そうとしたんだろうが、絡まれた。


 正直【闘技場】でもないのに戦うのは気遅れしたが、軽く突き飛ばしただけで吹き飛ぶあまりの弱さに、逃げ惑うPKを追いかける気にもなれなかった。

 

 正直アレに負けるほど隊長は落ちぶれてない筈。なんなら瞬殺未満だろう。


 こうして、何か妙に緊張感張り詰める日常が始まった訳だが、気心知れたアンデルセンさんに相談して気持ちが落ち着いた。


 「隊長だろ?大丈夫だっつうの国を滅ぼすとかそんな事無しに全部上手い事丸め込むって!今頃世界中の綺麗な景色見ながら毎日その地方の特産品で晩酌してるって!今迄毎日クエストやってたんだぞ?偶の休暇くらいで目くじら立てんなっての!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 隊長は何もしないのよ ってか、目の前の問題を解決していくだけなのよ まぁ、教国が、衰退するか、踏ん張るかは、教国の頑張り次第なのよ 隊長より、隊長の事を気にして…
[一言] アンデルセン 理解しすぎて 嫁の域
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