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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
127/363

126.金のレギオンは目立ちすぎ?

 「まぁ、何だ金が手に入るだけで、これと言って面白みもないイベントなのは分るが、折角だしここは楽しんでいこうぜ!」


 「いや、だから自分は【輸送】の方がよっぽど儲かるんだって」


 「日頃から無駄使いしないで、必要な物だけ買っていれば、寧ろ溜まっていくと思いますけど」


 「そういう事じゃなくてな~!折角の2周年記念イベントだぞ?ルールに違反する奴がいて、皆テンションガタ落ちなんだよ!だからここはちょっと無理してでも楽しい雰囲気作っていくのが他人を率いる者の勤めだろ!」


 「うん、全く心が動かない」


 「お金は大事にする物であって、一発軽く当ててやろうってのは何かちょっと違うと思います」


 「なぁ、お前達いつからそんな心から潤いを失ってしまったんだ?そりゃ俺だってお金は大事にしてるさ!でもなちょっと浮いた金ってのが、心をウキウキさせるってもんじゃねぇのか?」


 「ちょっと何言ってるのか?」


 「ええ、何かやりたい事があるなら、その為にお金を貯める物であって、浮いたっていうのがちょっと、他力本願というかなんと言うか」


 「分ったよ!頼むから協力してくれよ!うちの連中だって好きで金を失ってるわけじゃないんだよ!色々試した結果遠回りしちゃう事だってあるだろうがよ!」


 「最初からそう言えばいいのに。それでどんな相手なの?」


 「ええ、嵐の岬にはお世話になってるし、クランメンバーが困ってるなら手伝いますよ。別に人でなしじゃないんだし」


 「あ、ああ……なんでお前らそんな良い奴なのかね。まあ俺達も正確に分かってる訳じゃないんだが、銅と銀はある程度ランダム配置なのは気がついてるだろ?」


 「いや、全然。銅とか銀とか美味しそうじゃないから、特攻武器外してる」


 「ああ、やっぱりランダムだったんですか。銀を二体くらいは倒しましたよ」


 「そうなのか。それでなレギオンは全部金っぽい。まあ集団を率いれるプレイヤー自体かなり少ないから当然なのかもしれないが、うちとしては金のレギオンを倒しておくことは箔をつける意味でも無意味じゃない」


 「ふ~ん。事情は何でもいいよ。お金に困ってるクランメンバー率いてレギオンボス倒そうよ。やっぱり海の相手なの?」


 「海ですか……一度戦った事がありますけど、ちょっと合わない相手だったので、勉強のためにも頑張ります」


 「いや、それが今回は島は島なんだが、島の密林に住むレギオンなんだ」


 と言う事で、アンデルセンさんに連れて行かれたのは、うっそうと木が茂る視界の悪い森の島。


 船は少し沖に停泊して小船で島に向かうものの、上陸地点が既にちょっと暗い。


 抉れたような形の砂利の敷き詰められた狭い湾に小船を上げて、嵐の岬の面々と森の中へ。


 「自分はちょっと向こう行ってくるわ」


 急に何故か海の方を指差して出かけてしまう隊長。


 海しかないのにどこに行くのかと思ったら、本当に海に潜ってどこかに泳ぎ去ってしまう。


 レギオン倒しに来た筈なのに、あと言う間に目的を忘れて謎の単独行動。相変わらずだ。


 まあ、ここは任されたと思って、頑張ってみよう。陸上なら少しはまともに戦える筈だし、塔みたいな貝の時よりはもう少し上手く戦うのが目標。


 「いたぞソタロー……」


 アンデルセンさんから声を掛けられ、指差す方向に目を凝らすと、確かに金色の影。


 森の中で金色は目立ちすぎてすぐ気がついてしまったが、どうやら爬虫類の様だ。カメレオンほど目が出っ張ってないから、トカゲかヤモリかな?


 金の魔物の弱点が、擬態してもすぐ見つかるってのは、なんとも……運営さん狙い通りなのかな?こんな所にも魔物がいたんですよみたいな?


 敵はまだ気が付かれてないと思ってるんだろうな。全く動かないもん。


 「じゃあ皆さん一気に行くので、初撃の力を溜めてください。合図は出します」


 自分が言うなり、トカゲ?とある程度の距離を保ったまま散開し包み込む嵐の岬。


 相変わらず、指揮官がいないだけでちゃんと統制の取れたクランだよな~。皆自由人らしいのに。


 空気がピリッと変化した所で、


 「それでは『行きます!』」


戦陣術 激励


 士気上昇と同時に攻撃開始、しかし敵も然る者。森中の木の葉が振動するような超高周波で応えてくる。


 ダメージの無い衝撃が全身にぶつかり、全員一斉に攻撃の手が止まってしまうが、どうやら士気を振り出しに戻されたようだ。


 密度の高い木の間をすり抜けるように逃げていくトカゲ?を全員で追っていき、ちまちまダメージを加えて行くが、


 やっぱり見えない敵を追跡するタイプなのだろう。


 時折舌で反撃してきて掴まってしまうメンバーがいるが、都度近くの人間が助けに入り。


 逃げていくトカゲを完全に捕捉して追い掛け回し、特攻武器で攻撃を繰り返す。


 そこいらに倒れていた木を舌で絡めとり投げつけてきた時は思わず、その場に伏せて回避。


 何人か巻き込まれ大変だったが、それ以外は何も苦戦しない。


 何なら余裕過ぎて、一旦見えなくなったフリをしてたら相手が動かなくなったのは、見つかってないと判断したのだろうか?


 その後タイミングを合わせて一斉攻撃したが……。


 結局自分の出番は士気回復だけ。何ならそれを目当てに呼んだらしい。だったら隊長と自分どちらかひとりでいいのに……。


 倒したあとも特にMVP発表とかそんな物は無い。そりゃそうだ見えないレギオンだから価値があるので、ずっと金色で姿目立ちすぎのレギオンを特攻武器で殴るだけなんだから、何かもらえるほうがおかしい。


 金のレギオンだけあって、お金だけは随分とまとまった額が手に入ったけど、やっぱり何かむなしい。


 海に潜って行った隊長は、何しているんだろうか……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 海産物を収穫(ぶっ飛ばして倒す)していって、レギオン踏破記念で宴会の食材確保とか~ 蛸と、相撲を取るとか~←え
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