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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
125/363

124.銅の魔物

 新装備は悪い物ではなかったが、当面鞄の奥に仕舞い込む方向になる。


 何しろ防具は能力の少し被った上位互換になるので、今後もっと強い敵と当るようになるまで、取って置きたいというのが人情だろうし、剣は集団戦専用なので、隊長に押し付けられた盾と一緒に運用する事になるだろう。


 ただ一個絶対使う物がある。金属バットだ。


 まだ武器カテゴリ未定と言う事で、近接職の武器使いなら誰でも使える。重量もそこまで重い物じゃないし、鈍器使いから剣使い迄使用可能。


 イベント開始初日、相変わらず過疎の【古都】は平和。


 もっとイベントで皆そわそわしてるかと思いきや、別にいつも通りの雪国。


 真っ白なのに曇天に覆われて何かちょっとグレーにすら見える街並み。


 自分は白竜の楔関連イベントで結構な金額の報酬を貰ってるし、実はそこまでお金に困っていないのだが、まあ稼いでおいて困る物でもないかと取り敢えずフィールドへ。


 ちなみにNPCは特に特攻武器など持たず、いつも通り生活?している模様。どういう認識なのか分らないが、別段騒いでいる様子も無いから、イベント魔物から瘴気が出てるとか言う事でもないのだろう。


 念の為一応一番狩り慣れていて、周りの魔物に邪魔されても怖くない【古都】南側の川沿い。


 懐かしの鼠ゾーンからはじめて行きますか!


 かつては盾が無くて、足に噛みつかれては包帯で回復してた懐かしの狩場。


 剣の扱い方を理解してからはあれよあれよと言う間に卒業してしまった狩場だが、任務で横を通る度、自分の原点を思い出させられる。


 そして、今日そこには何かブロンズ色の鼠がうじゃうじゃ。


 自分と同じような考えなのか、様子見で銅鼠を狩る人が、何か納得したような顔で何処かに去っていく。


 見たところ苦戦してる風の人は一人も見当たらないので、自分も軽い気持ちで銅鼠を殴ると一撃。


 まあ今の自分の攻撃力なら一撃か。しかしお金が見当たらない?


 もう一匹倒しても落とさない????あれ~おかしいな~と思って念の為鞄を覗いたら勝手に入ってた。


 どうやら納得した顔で何処かに言った人は、ちゃんと鞄にお金が入ってた事に納得したのだろう。


 鞄の中を事前確認していたとは言え、ちゃんと額が動いてるのが分る程度には貰えてた。


 銅の鼠だから銅貨一枚だよ!とか、だったらどうしようかと思ったものの、結構割りは良い。


 はっきり言ってクエストやってるより数段儲かる。勿論クエストを儲けの為にやってたら心折れちゃうんだけどさ。


 一撃で倒せる鼠でこれだと、もっと強い魔物だとどうなっちゃうんだ?


 ああ、そうか……、皆同じ事考えてどっかに向かっちゃったのか。自分ももう少し強い魔物の出るゾーンへと向かうとしよう。


 【古都】を北に抜けて【北砦】に向かってみる。ある意味この移動時間も鼠倒してたら割がいいんだろうが、自分はどちらかと言うと好奇心に突き動かされてる。


 シンプルに敵が強いほど沢山お金を落とすなら、落とす額によって運営はこの魔物は強いぞと思っているのだろうから……。


 リスとかどうなんだろう?前は数人がかりで倒したけど、ある程度動きにも慣れたし、銅のリスとかいるなら特攻武器の金属バットで戦ってみたい気もしなくもない。


 そんな事を考えている内に道中、銅鳥蜥蜴が現れたのでこいつも頭をぶん殴れば、一撃。


 まあ、そりゃそうだ。今や重剣で一突きすれば倒せる相手だもん。特攻武器なら一撃よ。


 やはりと言うかなんと言うか、鞄を確認すれば鼠より多い。


 そのままプラプラ歩いて適当に魔物を狩るが、この辺だと一撃で倒せる魔物しかいない。これなら魔物がもっと密集している地域を探した方が絶対儲かるな!


 ついつい儲けの事を考えてしまうが、今回のイベントはとにかくプレイヤーに稼がせようって物らしいので、これが正義だ!


 そのまま渓谷の方へ向かい、川沿いの銅蠍を狩ってもまあ一撃。何か早速面倒になってきた……。


 これなら【闘技場】で戦ってた方が楽しいんだけど、どうしよう切り上げて普通に任務受けちゃおうかな……。


 一旦【古都】の【兵舎】に引き上げて、兵長に任務を受けられないか聞いてみる事に。


 「何か任務ありますか?」


 「ん?ニューターは特殊な魔物を狩って稼いでるんじゃなかったのか?」


 「自分は別にお金に困ってないし、いつも通りで良いかなと思いまして、ところで何でヒュムの方は特殊な魔物狩らないんですか?」


 「ああ、それは何も持たずにこの世界にやってくるニューターに破産する奴が出てきたから救済として神様が与えてくれたチャンスだって聞いてるぞ。何より特殊魔物を倒してもニューターの鞄にしか金が入らないってな」


 「神様って意外と現金と言うか、そういう面でも助けてくれるんですね」


 「まあな~かゆい所に手が届くよな。神が送り込んで、国が仕事の面倒見てやれは分るんだが、破産者まで面倒見てやれだと困っちまうよな」


 「自分は破産してないどころか、そこそこ溜め込んでますから普通の任務下さい」


 「そうだな~何しろ特殊魔物をニューターが狩ってるから、邪魔しないように【兵士】達は各拠点で待機してるだろ?久しぶりに手が余ってるんだよな」


 「じゃあ、村とか町とかの【診療】は?」


 「勿論いつもよりは余裕がある。戦闘従事者を他に回せるから、平和そのもの。体動かしたい奴は【訓練】受けに行ってるから多分込み合ってるだろうし、大人しく金稼いで来い」


 まさかの任務を受けられない状態。


 普通任務受けたくないのに、受けなきゃいけないから悩む物じゃないの?

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― 新着の感想 ―
[一言]  こういうときは、有志を募って大人数でないと倒せないようなやつを倒しにいくのが指揮官の勤めなんですが……期待するだけ無駄というものでしょう。  知り合いの方から声をかけてくれれば、そういう展…
[一言] まぁ、作業ゲーは飽きるよね~ でも、仕方ないので、金属バットでホーラン続けるしか無いのよ、ソタロー(笑)
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