122.救済の主
[かつて非道の領主がいた。外面と付き合いがよく誰にも気が付かれる事は無かったが領民からは鬼とも邪神とも言われる残虐非道の領主]
[民達のほとんどは産まれた地で畑を耕す時代、圧政を圧政とも思わず生きていた民達の前に現れたのは一人の遍歴の指揮官]
[遠く北の厳しい土地で身分関わらず協力して生きる事が当たり前の指揮官の目に映るのはただの地獄]
[義憤に駆られた指揮官のやるべき事は一つ。虐げられた民達を解放する事。他者を虐げるヒトの仮面を被った邪悪なる者を打ち倒す事]
周囲には金で塗装されたやたら金持ち感漂う馬車?の兵が3組。
屋根も何も無い馬車は、御者と乗り手の二人だけの簡素な物、しかし馬車の胴体に付く刃物が何ともいやらしくギラつき威嚇してくる。
そして自分が率いるのが初級と思われる服と剣と盾だけの10人って言う。超貧弱チーム。
徐々に速度を増す馬車チームに対して自分のチームは中心に固まるだけ。
別ルールとは聞いたけどまさかハンデ込みの集団戦とは……、何とも酷い。でも受けてしまった物はやるしかない。
「では皆さん『行きます!』」
戦陣術 激励
まずはビビッてろくに動けない仲間の士気を高める。
敵は余裕とばかりの笑みを顔に貼り付け包囲を徐々に狭めてくるが、これはもしかしてアンチの策略か?
しかしよく見ると馬車の造りは形だけって言うかハリボテ?馬車に付いた刃物もあまり良い物には見えないのはクラーヴンさんの薫陶かな?
次に敵の馬車の刃物が当りそうな場所に剣と突き立て、
壊剣術 天沼
剣は地面に刺したまま、手を組みバフを追加。
鋼鎧術 多富鎧
自分が生命力と精神力を高めている間に、馬車が近づいてきたが地面に刺さった重剣に引っかかって、大破。
馬車から投げ出された御者と後ろに乗ってた武器持ちを一応部下扱いの仲間たちが袋叩きにしている。
後ろに乗っていた【闘士】は槍を持っていたので踏みつけ、攻撃を封じると後は一方的な展開となった。
残りは二台だが、距離を取って円形の壁沿いを走っている。
多分変に近づいてくると地面に刺した重剣に引っかかるのが目に見えているのだろう。
動かない展開に観客の熱気が冷めてきたのを感じるし、ここは場面を動かす所かな。
天沼を解除して剣を引き抜き、馬車の走る外周にゆっくり向かう。
すると、仲間が、
「俺達の方が足は速いだろうから、進路上に盾を投げ込んでくる。だがその後は頼めるか?盾無しで槍とやりあうのは難しいんでな」
「分りました。もし追われる状況になったら自分の方に誘ってください」
と言う事で、方針は決まった。とは言え仲間は盾無しになるので、最低限の防御だけでもと、
戦陣術 戦線維持
仲間達がバラバラと盾をそこらに投げて中央に戻ってくると、二台の馬車は大破して投げ出されるのを嫌って、その場に止まり、武器を手に向かってくる。
御者は短弓、後ろに乗っていた槍使い。
絶妙に長い間合いの武器を使ってくる辺がいやらしいがやるしかない。
真っ直ぐ二人組に向かうと、短弓を撃ち込んでくるが盾で弾く。
連射される矢がカンカンと音をたてるが、許容範囲。問題は自分が近づいた分距離を取って絶対間合いに入らないように逃げ続ける事。
仕方ない……。盾無しはしんどいけど自分の手札は限られている。盾と剣をその場に置くと客席がざわめくが、今はこの手しかない。
鋼鎧術 空流鎧
一気に走り寄りるのを槍持ちが妨害してくるが、構わず篭手で<防御>しながら進む。
矢が何発か突き立つもやむをえない。
槍持ちに組み付いて、膝蹴り。呻いた所で、
武技 撃突
突き飛ばして一緒にいた短弓使いを巻き込み、その場に倒すと、
何人か自分を盾にしてくっ付いて来ていた人達が、剣を片手に囲んでボコボコにし始めたので任せる。
もう一組の方を振り返れば、盾を回収した数名が囲んで粘っているものの、足なんかを短弓でやられて、結構まずそう。
折角なので空流鎧のまま走って距離を詰め、そのまま短弓使いに飛びつく、
武技 鉄擁
腕ごと固めて拘束し、顎の下に冑を当てたまま、
武技 撃突
首が持っていかれ、そのまま倒れたので、放置。
残るは槍使い一人!と思ったら、ギブアップ終了。
[かくして無辜の民の脱出はなった。しかしこれからもその領主は裏と表の顔を使い分け、魑魅魍魎の如く【王国】を生きるのだろう]
てっきりその残虐非道の領主がラスボスで出てくるのかと思ったら、そういうストーリーじゃなかったらしい。
無辜の民を逃がすのが目的で、追っ手を皆で協力して防いだよって事かな?
まあいいか闘技は娯楽って言ってたし、芝居めいた戦いもあるんだろう。
仲間が持ってきてくれた剣と盾を納めて会場を後にするが、闘技って本当に剣と盾使う場面が少ないな。
ガントレットで殴る技でも教えてもらおうかな?
鼠のヒトに今日もお世話になったので、お礼を言って引き上げる。
今回の闘技で手に入れた武技は 潰首 盾の縁で首を攻撃すると重量と筋力でダメージ量が決まる。
これは一戦目の中堅【闘士】とやった時のやつかな。
まあ一日二戦くらいがちょうどいいや。