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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
107/363

106.大将一騎打ちな訳ない

 -隊長-


 やる事はやったんだから休んでてくれればいいのに、大急ぎでこちらに再び向かってくるソタロー。


 目の前には黒い甲虫を模した鎧の大柄な騎士、魔将。


 体格に見合わぬパワーを感じさせるランスの突きは防御に一切気持ちを置いていない分、異様なプレッシャーを放つが、自分は微動だにしない。


 何しろ騎士殿が追いついてきて、文字通り横槍を入れてきたから。


 騎士殿の全身を捻り上げた全力一撃必倒のランスと魔将のランスがぶつかり合い、周囲に衝撃波が走る。


 お互いのランスは撥ね飛び、一瞬の怯みも無しに剣を引き抜き打ち合う二人。


 折角出てきたのに、やることなくなっちゃった。


 剣と剣、いつの間に出したのか盾と盾がぶつかり合い、都度衝撃波が走る様は幾らなんでも過剰演出なきもするが、回りの虫達が吹き飛ばされてるって事はちゃんとノックバック判定があるって事か。


 まあなんか二人の世界だし、一旦魔将の装備でも観察しておくか、何しろクワガタ冑が結構いい。


 かなり巨大な角を冑につけているが、まさに戦国時代少しでも自分の功を誇るため目立つ冑を装着した感覚じゃなかろうか?


 他のパーツも甲虫を模しているが基本はファンタジー西洋鎧。黒地に彫られた意匠が甲殻や神経、棘なんかをアレンジしている。


 しかしまあ、一応1000人ボスの筈なのに、一騎打ちやれちゃう騎士殿はやっぱり只者じゃないな~。


 天騎士装備の恩恵もあるのだろうが、バチバチやり合ってて到底入り込めないぞこれ。

 

 そんな事を考えている内に、一瞬の隙を突いた騎士殿の大技が炸裂。十字の巨大なエフェクトが魔将を吹き飛ばす。


 「ぐわ~~~~!よくも!」


 「いや、自分の剣じゃないと効かないって言ってたじゃん……」


 「ふん!骸骨に落ちぶれてしまった、あやつと決着をつけるためにこの姿で戦っていたからな。しかし、あやつと同格の敵にその剣を持ったお前のような指揮官もいるのだ最早出し惜しみはしておれん」


 はいはい、なるほどボス特有のパワーアップ残してた発言。


 まああるとは思ってたけどね。


 ここから戦闘に集中する事になるし、今のうちに戦場全体を確認して置きますか。


 まずバルトの所は二体目のレギオンボスを倒した所。嵐の岬の名前に相応しく何故か雷雨と一緒に移動してるのが何とも派手だね~。


 逆サイドの騎士団も二体目のレギオンボスといい感じ。もうちょいで押し切れるか?


 騎士団側はなんか攻撃的な虫が多いし、被害を最小限に戦ったら多少時間かかるのも已む無し、安定感はあるし任せておいて問題ないだろう。


 「あっ!変身終わった?」


 「え?お前今見てなかったのか?」


 「いや、見てたけど、戦況も確認してたからさ」


 戦況を確認している間、魔将の後ろのカブトムシが黒い煙に包まれそのまま瘴気の塊になって魔将に吸い込まれた。


 そして見る間に鎧一式と一体化した魔将はヒト型の虫に変身。剣と盾も肉体と一体化して、なんかよく分かんない存在になってしまった。虫人間?


 「ふん!この姿の意味が分からないとは悲しい事だ。冥土の土産に教えてやろう。我は部下の虫達の命を吸う事でその力を我が物と出来る。つまり部下を吸収すればする程強くなるぞ?」


 「でも10体いた中隊級ボスは半減してるじゃん。もうすぐ6体目も倒すよ?」


 「ふっ!大勢で群がってやっと我が部下を倒せる程度の者共が、この形態の我の敵となるか?否!そもそも我が大将である以上、部下共より強いのだ。その上に更に部下の命と能力が加算されるのだから、お前達に勝ち目はないと知れ」


 「……嘘っぽいな。さっき騎士殿に吹き飛ばされてたじゃん。つまりあんたの能力は精々部下と同じ程度。そこに能力が加算されるんだろうけど、はじめから他の虫を全部吸収しなかったのには訳があるんだろうね。だって最強の存在として最初から君臨した方が多分有利に戦えるもん」


 「くっ!小賢しい!ならばまずこの姿の我に勝ってみよ!」


 あ~あ~キレちゃった。おかしいからおかしいって指摘しただけなのにさ。


 いきなり背中の羽を展開し、突撃してくる魔将。


 直線スピードは中々だけど、十分避けられる範疇。横に転がり躱す。


 そこらにいた虫を轢き飛ばしながら飛び上がり、ゆっくりホバーリングするように降りてきた。


 流石に騎士殿任せにするのはちょっと速い敵か。自分も加勢する為に天騎士装備と一緒に安置されていた剣を展開する。


 元々安置してあったのは剣の柄の部分だけ、だが説明によると味方の士気を吸って剣身を作れるって話。


 「じゃあ、そろそろ自分も始めるので、皆の士気ちょっとづつ貰うよ『行くぞ!』」


戦陣術 激励


 全隊の士気を高めつつ、剣身を展開白いエネルギー波が迸るが、やたら長い。


 これもしかして士気が高ければ高いほど長いタイプなのか?だったらもうちょい士気下げ目で使うべきだったわ……。


 しかし後悔してももう遅い。剣身を展開した事で本気になった魔将が襲い掛かってくる。


 「やっとやる気になったか!だがその薄っぺらい装甲で我が攻撃を受けきれるかな?あやつですら、天騎士の装備で足りず、その剣を手に入れたというのに……本来は両方揃って我と互角よ!」


 「受けずとも避ければいいじゃない。何なら剣で受けてもいいし」

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