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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
105/363

104.ウスバカゲロウからの甲虫ゾーン

 蟻地獄ゾーンと言う事はつまりレギオンはウスバカゲロウ。


 薄い羽の体の細い虫はすでにその薄い羽を穴だらけにされてぼろぼろの状態で、目の前に現れた。


 ある意味トンボっぽいがトンボじゃない。


 既にフルフル震えて限界にしか見えない理由は、どう考えてもいつの間にか頭上を抜ける矢の嵐。


 正直これ以上踏み込むのが怖いのだが、レギオンを倒さねば先に進めない。


 矢を撃つ仲間を信じて前に出てウスバカゲロウを殴りつけひたすら削る。


 なんかこう余り手ごたえを感じない内に倒してしまい、微妙な空気だ。


 目標は魔将だし、ここは進むしかない。


 お次は甲虫ゾーン。カブトムシは明らかにユニオンレギオンサイズ。通常魔物はコガネムシか、ゴミムシか?


 角がない甲虫の群れという事だけは分かる。しかし虫ばっかりでさすがに気持ち悪くもなってきた。ソロソロ勝負を決めたい所。


 しかし、どうやら甲虫は敵主力なのだろう。防御力が高く、パワーもあり、尚且つ素早い。


 殲滅速度が大分遅くなってきたのは勘違いではあるまい何しろ飛んでくる矢も刺さったり刺さらなかったりで、効果が微妙。


 魔将が明らかに巨大カブトムシの上に鎮座している以上、避けては通れない事もまた確か。騎士殿と自分の重量系攻撃だけは何とか通る状態で、じりじりと押し返され始めてしまう。


 無理に二人で斬り抜ければ、敵甲虫の群れの中で孤立してしまうことは明らかなので、どうしても周りに合わせて下がらざるをえない。


 「ったく仕方ないね。今回はアンタ達を送り込むのが仕事だし、ここはアタシが一肌脱ごうか」


 ただでさえ露出が多いのに何を言うのかと思えば、赤い尋常じゃないオーラのようなエフェクトを背負い、一気に広範囲の地面を焼く。


 さらには巨大な炎弾を連射し、そこらじゅうの虫を焼き殺して行く。


 防御力は高くとも術には弱いのだろう。次から次へとひっくり返っていく虫達の間を抜けて、まだ息ある虫にトドメを刺す簡単なお仕事。


 熱で揺れる視界。自分がダメージを貰っているわけでもないのに、くらくらしてくる。


 そこに現れるユニオン級はカブトムシ型さぞかし強いのではないかと警戒したのだが、PKの人が空中に現れ、


 「じゃあこいつは僕が……」


 巨大なエフェクトを纏い刀を一輪挿しのようにカブトムシの羽の間に差し込み、猛烈な衝撃波が一帯を薙ぐ。


 花のようなエフェクトだな~なんて思いつつ、吹き飛ばされないように盾で身を守り、様子を伺う。


 怒ったのかカブトムシが姿勢を低くし、羽を少し広げたと思ったら、ここぞとばかりにPKの人はエフェクトを纏った剣で柔らかい腹を滅多斬り。


 カブトムシが闇雲に角で一帯を攻撃しようとすれば、騎士殿が盾で押さえ込み、動きを封じた上、頭を剣でぶん殴る。


 片手でも両手でも扱えそうな長めの剣には相当の重量がかかっているのか、カブトムシは地面にめり込むように顔面をぶつけ、動きが止まってしまう。


 あとは一斉攻撃、硬そうな甲殻の上からだろうがなんだろうが滅多殴りにして倒す。


 子供達のヒーローカブトムシを滅多打ちにするのはちょっと心が引けるがやむをえない。


 しかし防御力の硬い虫達によくダメージの通る火の術は羨ましいな。騎士殿は規格外だから置いておくとして、やっぱり手札が多いに越した事はない気がする。


 筋力でひたすら突破と言うのも一つのロマンだろうが、範囲殲滅攻撃ってかっこいいと、自覚してしまった。


 やっぱり、この戦いが終わったら【闘技場】も見に行ってみよう。自分に合った精霊術があるなら身につけて一対多数戦闘に備えるのも悪くない筈だ。


 何しろ今の自分のスタイルは大人数を率いての多人数対一のあからさまに数の暴力プレイだし。


 今回の敵のように大人数を率いてくる敵が相手なら、勿論多数対多数でイーヴンなんだけど、いずれ卑怯とか言われそうな気がしてきた。


 卑怯って言われた時に一人でも戦えるようにもっと鍛えないと……。


 隊長も気が短すぎるけど、いざとなれば一人で多人数を斬って捨てるし、やっぱり実力が伴ってない指揮官ってのは格好悪いよね。


 しかし殲滅力のある術だと術士専門みたいなスキルを取り直して鍛えなおす必要があるのかな?


 だとしたら、自分が出来る事はなんだろうか?相手が強くなれば成る程術の相殺も上手くなるみたいな話を師匠がしてた気がするしな~。


 セサル師匠の術をもう少し覚えられれば手札は増えるんだろうけど、味方強化と敵弱体化とかいってた様な……。


 うん!やっぱり術ダメージが欲しい!


 なんか考え事している内に、カブトムシ討伐も慣れてきた。


 やっぱり二つ名に最強と付く人達の戦闘力が高すぎ問題。


 そして、あと一息と言う所で、わざわざでっかいカブトムシから下りてくる魔将。


 「ふむ、ここまで来れるとは骨のある奴もいる様だな。折角復活したのに虫ケラ以下の相手をせねばならんのかと、飽いていた所だ。ちょっとだけ遊んでやろう」


 なんかもう、とことん性格悪そうだな。そして隊長と絶対相容れないタイプだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 置いておかれたお爺ちゃん(笑) あれ、カブトムシから降りちゃうんだ 最後は一騎打ち的な? そうして、意外と余裕があるソタロー(笑)
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