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MONOローグ~夢なき子~  作者: 雨薫 うろち
西帝国動乱編
102/363

101.騎士団/嵐の岬

-【王国】騎士団-


「中央は最初のユニオンを倒したみたいよ。まあ50体いるわけだし氷山の一角だけど」


 「うるせぇ!向こうは最高戦力集めてるんだから当然だろ。何よりこっちは相手がカマキリなんだからよ!ちょっと油断すると……アブねっ」


 「そう熱くなるな赤!そもそも敵戦力を横から攻めて削るのが俺達の受け持ちだ。進む事より少しでも引き付けることを考えるべきだろう」


 「そんな事は分かっています。戦闘に没頭して周りが見えてないようだったから、ただの状況報告です」


 「金!余裕見せているが、誰が守ってると思ってるんだ!少しはフォローしてくれ!」


 「はいはい、白は切羽詰まってくるとすぐ口調が乱れるんだから、変なロールは止めたらいいのに」


 そう言いながらも、騎士団術士隊の火力でカマキリの動きを鈍らせ、追い込んでいく。


 そしてユニオン級カマキリの出現。


 巨大な鎌のヒト薙ぎを青騎士隊が大盾を並べて防ぎ、赤騎士隊が一斉に襲い掛かるが、何しろ背が高く、足元ばかりに攻撃が集中して、中々大打撃とは行かない。


 金騎士隊も火力を集めるが妙に細長いシルエットに、当てる面が限られて思うような痛撃を加えることは難しい。


 「は~ったく、やっぱり俺がいないと駄目か?」


 そう言いながらいつの間にか蟷螂の背を登っていく黒騎士。


 「いやさっきまで伏せてたんだからこういう時に活躍しろよ!」


 「言われなくてもやるっつうの!」


 細長い蟷螂をせっせと登りきり、目をナイフで一刺し。


 暴れるカマキリに振り落とされないように掴まる黒騎士とチャンスとばかりに一斉に攻撃を仕掛ける騎士団。


 何とかユニオン一体目は倒せたが、先はまだ長い。ソタローと鈍色の騎士を魔将の所まで送り届けるには、まだまだ敵の引付が足りない。


 騎士団は一応元々最低限の任務だけはこなしてきた集団。最近は特に【訓練】打ち込んでいることもあってプレイヤー内ではかなり強い方に入る。


 ここで活躍できなくては面目が立たない。


 しかし、運がいいのか悪いのか、偶々配置された場所は蟷螂ゾーン。


 今回の魔将の部下の中ではかなり攻撃力が高い部類の敵を相手に苦戦は必死、何しろレギオン級カマキリも控えているのだから……。


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-嵐の岬-


 「ごふぇ……オェ……くっさ!」


 「うるせぇ!状態異常が出てるわけじゃねぇんだから、我慢して黙って戦え!」


 「分かってますって……にしたってなんで俺達の担当カメムシなんすか。まあちょっと硬い程度だから、軽量の俺達でも何とかなりますけど」


 「配置は偶々だろうが!うちはクラン一塊でやった方がやりやすいんだから、仕方ねぇ。おらアンデルセン!とっとと術かけろ!」


 「分かってる。分かってるが、どうするか……隊長が既に攻撃力の上がる術を掛けてるだろ?んで俺達の敵はちっと固め。ここは攻撃力を上乗せか?防御力高めても元々軽量が多いから高が知れてるしな~……いやだからこそ補強しておくほうがいいのか?」


 「おら!早くしろよ!」


 「わーってるって!とりあえず雨で臭いを流そうぜ」


天候術 破天候


 あっという間に空が曇り、雨が降り出し、雷が鳴る。


 普段から船の上や海岸等で戦い慣れてる嵐の岬としては、多少足元がぬかるむくらいどうという事は無い。


 カメムシの臭いに気をとられ中々集中できなかったクランメンバー達の動きがやっと冴え始め、カメムシの群れを圧す。


 「ユニオンまでもう少し、ここで一旦陣形を整えて攻め込みます。横隊!」


 ここで、アンデルセンと一緒に後ろに引いてた女性プレイヤーから指示が飛ぶ。


 戦列を整えた事で、ユニオン級とぶつかるまでに一瞬の間が空いたが、


 それが幸いし、ユニオン級の毒ガスが周囲に充満したもののその中に突っ込む者はいなかった。


 本来なら嵐の岬が不用意に入ってきた所を巻き込んで状態異常にするはずだったのだろうが、不発。


 「あのガスは明らかにまずいから、離れて戦うぞ。手の空いてる奴は周りの小物をやる組と樽爆弾用意する組に分かれろ」


 バルトの指示一つで、めいめいが勝手に判断できるのが、このクランのいい所なのだろう。


 何しろ自分のやりたい事をやってるメンバーばかりなので、シンプルに出来る事をやるだけだ。


 樽爆弾に点火し、転がせばユニオン級カメムシにダメージが入る。


 何しろ海で使う代物なので、雨対策位なんて事無い。いつの間にかカメムシのガスも雨で流されてしまったが、爆弾転がすだけの方が楽なのか次々とぶつけて、倒しきってしまう。


 嵐の岬の名に相応しい嵐のフィールドを作り出し、次から次へとカメムシを屠る。


 臭いで邪魔をする事が基本のカメムシにとっては天敵だったようで、嵐の岬の快進撃は続く。


 ただし、天候の所為で矢の応援は見込めない。


 自力でユニオン級そして先にいるレギオン級を倒さねばならない事になりそうだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] カマキリと、カメムシ( ̄□ ̄;)!! まさか、ハリガネムシとか、住んでないよね(>_<)
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