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少女は歌う

作者: 炎華 焔

少女は歌う。

この世がどんなに非道で残酷な行いをしたとしても、少女は誰かの幸せのために歌い続けるのだ。


一度少女が歌いだせば、周りの人々は足を止め、少女の歌に酔いしれる。

美しい少女の歌声に誰もが歓喜の声をあげる。


ある日少女は歌ではなく、舞を踊っていた。

人々はとても驚いていた。

毎日毎日、美しい歌声を響かせていた少女が今度は美しい舞を踊っているのだから。

人々は舞を終えた少女に声をかけた。

「いつもは歌を歌っているのに、どうして今日は舞を踊ったのか」と。

少女は人々にこう答える。

「私は人のために歌い続けてきた。でも、それは人々の幸せを祈るためのものであって、人々から金銭を貰うためではない。だから、今日は歌ではなく人々のために祈りの舞を舞ったのだ」と。

人々は少女に言った。

「なぜ君は、人の為に、人の幸せを祈るためだけに歌い、踊るのか」と。

少女は人々の声を聞き、笑った。

「私は自分を育ててくれた人から、人は人の為に生きていると教わった。人は必ず誰かを助け、誰かに助けられるものだと。だが、その輪から出て、助けられずに消えてしまうものも居る。だから、人から助けられたお前は、わから外れてしまった人々が輪に戻れるように祈りなさい。そう教わった」人々に言うのだ。

人々は少女の言うことを聞いて、「でもね……」と続けた。

「君が言っているような事は、正しいのかもしれないが、この世界でできることかと言われれば、違うと言われてしまうようなことなんだよ。どれだけ助けを待っても助からない人達を自分を犠牲にしてまで助けたいという人より、見て見ぬ振りをする人の方が多い上に、人は助けてもらったからと言って万人が恩返しや助けてもらったからと別の誰かも助ける何てことはしないんだよ」そう言った。

少女は大きな声で言った。

「それでも! それでも、私は人々の為に祈る。たとえそれが無駄だろうが、人に無意味だと言われようが、私は人に言われたから自分の大切なものを変えようとは思わないし、変えなければいけないとも思わない!」

人々は笑顔で「それが君の正しさなんだね」そう言って消えてった。


少女は今日も祈りの歌を歌い、舞を舞う。誰かが助かるのだと信じて。


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