うちゅうじんの独り言 一一(ひとつはじめ)の話
老人が好き、いつかたどり着くはずの姿。
老人にこの世界を変えて貰いたい。
老人が、この世を去る前にいろんな事を教えて貰いたい。
老人が、安らかに過ごせる世界が、欲しい。
と、言う事で、一一が、お送りする、老人の活躍物語です。
色々な戦争が、有る、家族を残すために、敵味方に分かれて、争ったり。
直接身体を害せずに真綿で首を絞めるが、如く、じわりじわりと精神的に痛めつけられる、戦闘。
過去の戦闘をあたかも体験したかのごとく、身についている事が有る。
「本日の訓練は、仮想敵に対し、一撃離脱を行う訓練である。」将校の訓示が有り、練兵場が、ざわつき始める。
手拭いを頭にかぶりった者と坊主姿の者に別れて、向き合う。
「あいてを、仮想敵として、正面から小刀で、打ち込んだら、直ぐに横に飛んで逃げろ。」将校の指示である。
「打ち込まれた方は、警棒にて、頭を守れ、打ち込んだ相手をすぐに迎撃する事。」別の将校の指示。
「共に、打ち込まれたり、守りの間に合わなかったものは、連帯責任で、腕立て伏せ100回を命ずる。」
「気の抜けた訓練をした者は、敷地外苑10周とする、訓練開始。」
と、言われて訓練開始したけれど、結局、全員腕立て伏せ200回と敷地外苑20周を命ぜられた。
『アイツらは、自分たちがしたくない事を俺たちにさせている』と、陰口を叩いた者は、数多く居た。
実際、彼らは、訓練工程を自分達仕様ではなく、歩兵全体に課せているだけで、彼らの殆んどは、身体すら動かしていなかった。
律儀に歩兵と行動を共にする上官も居たが、他の上官に妬まれて居た者もいた。
行動を共にする節度のある上官と共に、作戦参加出来た者は、幸せであるが、そうで無い者の方が、多かった。
「撤退、聞ける訳無いだろう、我々は、まだ、敵と遭遇すらしていない、此のまま帰られる分けが無いだろうが、チッ(舌打ち)、アイツらに、何嫌味言われるか分かった揉んじゃ無いからな・・・」最後の方は、尻すぼみにかすれて聞こえた。
「このまま前進だ」若い上官。
「ですが、軍部上層よりの通達です。」老いた下士官。
「上官命令が効けないのかな、ふん」老いた下士官を足蹴にする、若い上官、老いた下士官はその場で腰から転んだ、そのとき、前方より数名の走る音が近づいてきた。
「前方より、接敵の知らせが、入りました。」若い下士官が、重い装備をガチャガチャさせて走って報告に来た。
「軍上層部への返答は、如何致しましょうか」電話を背負った工兵と通信士官が、若い上官の返答を待つ。
「『不意の遭遇戦により、撤退できず、其のまま、開戦する。』と、伝えておけ、以上だ」続けて、「これより、総力戦だ、一丸と成って、私に恥を掻かせるな、突撃」軍刀を構えて、前に勢いよく付き出して、言う。
「早くしろ、私が、後方を固める、突撃だ突撃しろ。」軍刀を振りかぶって、素振りの様に私達を前に進め様とする。
「士官殿どちらに向かえば宜しいでしょうか」二股の路に差し掛かると、機銃の音が、遠い方へ「我々は、此方だ、お前たちは、そちらから挟撃する為、行軍せよ」上官達が進み、機銃の音の近い方へ私達を勧めようとしました。
「上官殿それでは、無駄に戦力が失われます。」老士官が、上官に進言するが、「その程度の攻撃で、我等、〇ー〇〇〇〇帝国軍人は、全滅などしない、我々には、〇〇閣下の銘が、ある、それだけで、この戦争に勝利できるのだ、無駄死には、無い。」高揚した若い上官が、軍刀を指揮棒の様に振る。
振り返ればキリは無いが、確かにこの戦いは、此方側の勝利で、終わった。
戦後処理も適当に行った為、後々ゲリラ等による、略奪、簒奪が、数多く発生した。
戦争を終わらせた切っ掛けは、敵方の食料を略奪して、味方側の補給物資として、補給した為と言う、何ともお粗末な結果だったが、この部隊への挟撃が、若い上官達の初功績で、有った事は、何とも言い難い。
「老士官の発言は、味方の損耗を考えて、一気に若手上級士官と、共に打って出る作戦を立案それを私の独断ではありますが、実行して、この度の戦況と成りました。」若い上官は、苦虫を噛んだような顔を隠して、将校に報告する。
「ご苦労、帰って、休め」将校のねぎらいの言葉と敬礼を頂き、若手上級士官は、「はっ、ありがとうございます」と言って、敬礼をし、ドアから出て行った。
「何とも、まだ、まだ、ですな」隣のドアから、入れ違いに、老士官が、出てきて、敬礼、将校は最上級の敬礼をする。
「まだ、暫らく、見守る心算ですか、そろそろ、元の御自分に戻られては、如何でしょうか。」将校は、老士官を丁寧に扱う。
「うん、まだ、もう少し、此のままで居ようと思う、下級士官の友も出来たしの、もう少し遊ばせてくれ。」老士官、朗らかに笑いながら、将校に語りかける。
「ですが、あの若者は、貴方に暴言を吐いたばかりか、足蹴にまでしたと言う事ですが、それならば、銃殺モノです。」将校は、老士官の体を労わりたいと、思っている。
「これこれ、物騒な事を云う出ない、彼は、我々〇ー〇〇〇〇帝国軍人として、まだまだ働いて貰わないと、いけないからの」老士官は、にこやかに笑いながら、しかし、眼は眼光鋭く、将校を脅えさせた。
老人は、色々な経験をして、此処に生きているのです。
若輩には、老人の言葉をよく聞く事を勧めます。
生きて居る内に生きる手法を聞き出しましょう。
老人を敬いましょう。
老人よ、愁いなきように、健やかに暮らしましょう。
続けたいです、眼が持っていかれました、見え辛いです。
何とかしたいです、今後とも、色々な経験をしていきたいので、老人に成るまでは。